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男性不妊治療・手術の前に行うクラミジア感染検査について

 

男性不妊・精索静脈瘤にお困りのかたへ
男性不妊の40%精索静脈瘤が原因

男性不妊の40%にある精索静脈瘤は、精巣やその上の精索部(精管、血管、神経、リンパ管などを覆う膜)に静脈瘤(じょうみゃくりゅう・静脈の拡張)が認められる症状のことを指します。一般男性の15%に認められ、男性不妊症患者の40%がその疑いであるとされています。

クラミジア感染とは?

クラミジア感染症は、性感染症の1つで「クラミジア・トラコマティス(Chlamydia Trachomatis)」という病原菌が原因でおこる感染症です。国内の性感染症の中で、最も感染者数が多い性感染症で、クラミジアに感染している人との性行為によって感染します。

クラミジアの病原菌は、感染した人の精液・膣分泌液などに存在するため、性交時などにおける接触によって感染します。

具体的な感染経路は以下のとおりです。

  • ・膣性交により、性器に感染
  • ・オーラスセックスで、咽頭(のど)に感染
  • ・アナルセックスで、肛門や直腸に感染

そのほか、感染した人の体液が付いた手で目をこするなどした場合、目に感染することもあります。また、母体が感染している場合、出産時に産道から母子感染することがあります。

クラミジア感染症は、病原菌によって感染場所に炎症が起こりますが、自覚症状が出にくく、感染していることに気づかない人が多い病気であることも特徴といえるでしょう。

 

クラミジア感染の症状について

クラミジア感染症は、症状を自覚しにくいのが特徴です。半数以上の方が無症状ですが、下記のような症状が出る場合があります。

【女性の主な症状】

  • ・おりものの増加
  • ・不正出血
  • ・下腹部痛
  • ・性交時痛

女性は、感染した人の約8割は無症状といわれており、感染したことに気づかずに放置されている場合が多くあります。

【男性の主な症状】

  • ・軽度の性器のかゆみ、不快感
  • ・軽度の排尿時痛
  • ・尿道から少量の分泌物
  • ・精巣上体の腫れ

男性の場合は、同じ性感染症である淋病感染症と似た症状が多いですが、淋病に比べると軽症で、約5割の方が症状に気づかないといわれています。

クラミジアの潜伏期間は約1~3週間といわれています。しかし、男女ともに症状を感じにくいことから、いつ感染したかわからない場合が多く、潜伏期間中でも感染力があるため、症状がなくても性行為等で接触がある相手に感染をさせる可能性があります。

症状を自覚しにくく、自分自身も感染しているかわかっていない場合が多いので、複数のパートナーがいる、不特定多数の方と性行為等の接触がある場合などは、感染のリスクが高いと言えます。

また、精巣上体炎になると精路閉塞になることがあります。

 

症状と経過について

自覚症状がないまま放置してしまうことが多いクラミジア感染症ですが、放置していても身体の中で炎症が広がり、自然治癒はしません。

症状がなくても感染している可能性のある場合は、検査を受けましょう。潜伏期間中でも検査は可能で、菌の存在を調べるPCR検査を行います。

クラミジアに感染したまま放置すると、骨盤内炎症疾患や精巣上体炎などを引き起こして、不妊の原因となることがあります。

女性の場合、軽いかゆみや痛み、おりものの変化や不正出血などの症状が出ますが、感染初期は自覚症状がほとんどなく、気づかず過ごしてしまう方が約8割といわれています。しかし、進行すると子宮頚管炎・子宮内膜症・卵管炎・骨盤腹膜炎などの病気を発症します。

子宮頚管炎は、クラミジア感染により子宮頚管に炎症が出ます。おりものの増加、不正出血、下腹部痛、性交痛などが主な症状です。クラミジアの菌量が多い場合は、激しい下腹部痛を伴うことがあります。

膣から感染したクラミジアは、上へ上へと感染が広がっていきます。感染を放置していると、子宮内膜炎・卵管炎・骨盤腹膜炎と広がっていき、骨盤内炎症性疾患を引き起こします。

骨盤腹膜炎がさらに上行すると、肝臓の周囲にまで炎症が及ぶことがあります。肝周囲炎は激しい上腹部痛を引き起こします。子宮内膜、卵管などの妊娠にかかわる臓器の疾患は、不妊の原因となることもあるので、早期に治療が必要です。

卵管炎が発症すると、卵子を輸送する機能が低下し、子宮外妊娠を起こすことがあります。また炎症によって卵管内で癒着が起こり、卵管がつまってしまう卵管閉塞によって不妊症となることもあります。

また、妊娠中に感染すると、早産・流産を引き起こす可能性が高まり、母子ともに危険な状態になります。感染している可能性がある場合は、検査を受け早期に治療を行いましょう。

症状と経過について

男性の場合は、尿道に炎症が起きると排尿痛がある場合があります。クラミジア性尿道炎症は、感染したあと潜伏期間が1~3週間ほどあり発症します。

クラミジアとよく似た症状の淋病よりも潜伏期間が長く、発症しても症状が軽い、またはほとんど自覚症状がないという場合も多く、感染したタイミングの特定は難しいケースがあります。

その他の症状として、性器にかゆみが出たり、さらさらした尿道分泌液がでたりすることがあげられますが、自覚症状がないからと感染したまま放置していると、精巣上体にクラミジアが侵入し睾丸全体が腫れたり、痛み、発熱などの症状がでることがあります。クラミジア感染で起こる病気によって男性不妊となることもあるので、確実な治療が必要です。

オーラルセックスなどによる咽頭感染は男女ともに見られ、こちらもほとんどの場合が無症状で、のどの見た目も明らかな変化がないことがほとんどです。

咽頭感染が悪化した場合でも、耳閉感、難聴、鼻閉、咽頭痛などが主な症状なので、風邪と勘違いして検査や治療をしないで放置しまうことがあります。さらに悪化すると咽頭炎や扁桃腺炎といった病気を発症します。

いずれの場合も、本人は感染していることに気づかないまま、パートナーに感染させてしまう事例が多数あり、クラミジア感染が分かった場合は、パートナーも一緒に検査・治療を行う必要があります。

また、クラミジアをはじめとした性感染症に感染していると、感染により粘膜に炎症が生じウイルスが侵入しやすくなるため、HIVの感染の可能性が3~5倍高くなるといわれています。

 

不妊症治療・手術前に何故行う?

クラミジア感染症は、先述のように自覚症状がない場合がほとんどですが、お腹の中では炎症が広がっていきます。卵管や卵管采(卵管の先端)が炎症により詰まったり、卵管が通っていても、卵管や卵巣周囲が癒着したりして、卵管性不妊(卵管通過障害)の原因となります。

そのため、不妊治療の最初の検査として、採血によるクラミジア抗体を調べます。不妊の原因は様々ですが、クラミジアに感染している、もしくは感染していた場合、不妊の原因の1つになるため、不妊症治療の初期に原因となる要素を調べてから治療方針を決定していきます。

 

その他に行うスクリーニング検査について

スクリーニング検査(術前検査)は、不妊治療を始めるにあたって、健康状態や不妊の原因となる疾患を調べるために行います。

不妊症の原因は多様であり、なぜ現在妊娠がうまくいかないのか十分に調べたうえで治療を行っていく必要があります。スクリーニング検査の最大の目的は、今現在の身体は妊娠・出産を行える状態なのか、ということを調べることです。

もう少し具体的に言うと、妊娠しにくい要素を持っていないか、妊娠できたとして母子ともに安全に出産できる状態かどうかを確認していくということになります。

クラミジア感染症に今現在感染している場合は、早期に治療が必要です。また過去に感染していたことが判明すれば、炎症による疾患で不妊原因となる症状がないか、的を絞って検査や治療を行っていくことができます。

性行為等による接触によって感染するので、パートナーと一緒に治療を行うことが必須です。片方が感染したままの場合、治療をしても再感染してしまうからです。クラミジア感染症の検査・治療は、男女一緒に行う必要があります。

スクリーニング検査では、クラミジア感染症検査のほか、女性は下記のような項目について検査を行います。

  • ・血液型
  • ・貧血
  • ・感染症(B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIVなど)
  • ・水痘、麻疹、風疹抗体
  • ・抗精子抗体
  • ・肝機能、腎機能
  • ・心電図、血圧
  • ・子宮頸部細胞診(子宮頸がん検査)

これらに加えて

  • ・子宮鏡検査(子宮内ポリープや子宮筋腫の疑いがある場合)
  • ・耐糖能検査(多嚢胞性卵巣症候群や肥満などにより、インスリン抵抗性による排卵障害の可能性がある場合)

なども行うことがあります。

不妊の原因は男女双方にあることが多いので、不妊治療も男女一緒に行います。そのため、パートナーとの妊娠を希望する場合は、男性も不妊治療を始める際にスクリーニング検査を行います。

男性の検査は、下記のような項目で行います。

  • ・精液検査

 精液量、精子濃度、精子の運動率・奇形率、白血球数を調べます。
 検査結果によって、人工授精や体外受精・顕微授精などの治療が必要になる場合があります。

  • ・感染症検査(B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIVなど)
  • ・ホルモン検査

 精液検査で異常があった場合に精子の造精機能をみるホルモン検査を行います。

精液検査で、精子の数が少ない、もしくは全くない、奇形、運動率が悪いなどの所見が見られた場合は、造精機能障害の可能性があります。

造精機能障害の原因は、精巣の周りに静脈のこぶができる精策静脈瘤が約30%~40%あり、不妊の原因となるため、精策静脈瘤手術など男性側の不妊治療を行います。

 

男性不妊治療・精索静脈瘤手術は銀座リプロ外科へ

銀座リプロ外科は、精索静脈瘤手術を主とした男性不妊治療専門のクリニックです。

高度な専門技術により、局所麻酔による日帰り手術を実現しています。精索静脈瘤手術の他、男性不妊や生殖機能に関する手術を総合的に実施しています。

完全予約制で、診察室は個室となっており、患者様のプライバシーには特に配慮しております。

当院は、精索静脈瘤の診断・手術を主に実施しておりますが、その他の治療・手術も数多く手掛けております。その他ご相談事項がございましたらお問い合わせください。

精索静脈瘤の手術に関して詳しくはこちらをご覧ください。

この記事の執筆医師

永尾 光一 先生

永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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