精索静脈瘤治療の第一人者にしてナガオメソッドの開発者永尾光一医師へのインタビュー | 男性不妊治療は銀座リプロ外科            
COLUMN

 

永尾医師について

インタビュアー 本日は男性不妊症の原因の一つである精索静脈瘤と、その治療における第一人者である永尾光一先生にお話をお伺いします。
先生、本日はよろしくお願いいたします。まずは、先生のこれまでのご経歴と、男性不妊症治療の道に進まれたきっかけを教えていただけますでしょうか?

 

永尾光一先生
永尾医師
私は昭和大学大学院医学研究科修了、形成外科学を8年間専攻し、その後東邦大学で泌尿器科学を専攻しました。形成外科と泌尿器科、両方の診療科部長を経験する中で、2つの基本領域専門医を取得しました。マイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術を得意としています。男性不妊症治療の道に進んだのは、男性不妊で悩むカップルを多く見てきたこと、そして、形成外科と泌尿器科、両方の知識と技術を活かして、より良い治療を提供できると考えたからです。

 

 

精索静脈瘤について

インタビュアー 男性不妊症の原因の多くを占める精索静脈瘤について、詳しく教えていただけますでしょうか?

 

永尾光一先生
永尾医師
精索静脈瘤とは、精巣の上にある精索という部分に静脈瘤ができる病気です。男性不妊症の原因の40%以上に見られます。静脈の逆流防止弁がうまく機能せず、血液が逆流することで精巣の温度が上がり、精子の数が減ったり、運動率が低下したりします。

 

インタビュアー 精索静脈瘤には、どのような症状があるのでしょうか?また、放置するとどうなるのでしょうか?

 

永尾光一先生
永尾医師
自覚症状がない場合が多いのですが、進行すると陰嚢の腫れ・でこぼこ、痛み、違和感などが現れます。放置すると、精巣機能の低下、精巣萎縮、精液所見の悪化、精子のDNAダメージ、男性ホルモンの低下などが起こります。また、精巣の石灰化や精巣腫瘍のリスクも高まります。

 

インタビュアー 精索静脈瘤と診断された場合、どのような治療法があるのでしょうか?

 

永尾光一先生
永尾医師
基本的には手術療法が選択されます。薬物療法として抗酸化療法や漢方薬もありますが、精索静脈瘤自体は治りません。男性不妊の補助的なものとして考えられています。

 

 

ナガオメソッドについて

インタビュアー 先生が開発された精索静脈瘤手術の独自の手技、「ナガオメソッド」について教えて下さい。

 

永尾光一先生
永尾医師
ナガオメソッドは、顕微鏡を用いて精索静脈瘤の手術を行う際、精管、動脈、リンパ管、神経を1本1本丁寧に分離・確認し、必要なもの全てを残し、悪い逆流静脈だけを結紮する技術です。マイクロサージェリーの高い技術が必要になります。

 

インタビュアー ナガオメソッドが生まれた経緯を教えていただけますか?

 

永尾光一先生
永尾医師
精索静脈瘤の手術は、以前から行われていましたが、従来の方法では、精巣動脈やリンパ管などの重要な組織を傷つけてしまうリスクがありました。
これは、顕微鏡を使用しても精管、動脈、リンパ管、神経を1本1本丁寧に分離・確認することが難しく、不十分な分離で結紮(しばる)する術者が多いのが原因です。そこで、私は顕微鏡を用いて組織を細かく分離し確認する方法をを研究し、精索静脈瘤の原因となる逆流静脈だけを、すべての精巣動脈・リンパ管・神経などを傷つけることなく結紮する方法を開発しました。さらに逆流の別ルートである外精静脈も結紮するので再発がほとんどなく重要な組織がすべて温存され、精巣機能が改善します。これが「ナガオメソッド」です。

 

インタビュアー ナガオメソッドは、従来の精索静脈瘤手術と比べてどのような点が優れているのか改めて教えていただけますでしょうか?

 

永尾光一先生
永尾医師
従来の方法では、精管と動脈を1~2本残し、その他の組織をあまり分離せずまとめて結紮することが一般的でした。しかし、ナガオメソッドでは、重要な精管、動脈、リンパ管、神経をすべて分離・確認して温存するため、血流障害やリンパ浮腫のリスクがありません。また、再発率も0.5%と非常に低くなっています。さらに、独自に開発した7段階局所麻酔法を用いることで、痛みを最小限に抑え、小学生の患者さんでも日帰り手術を可能にしています。

 

インタビュアー ナガオメソッドは、限られた医師にしか出来ないと伺いました。

 

永尾光一先生
永尾医師
はい、ナガオメソッドは、もともとマイクロサージェリーのプロフェッショナル医師に対して銀座リプロ外科など私が所属するクリニックでトレーニングを行った一部の医師しか出来ません。
「良いものを全て残す手術」と説明する他施設がありますが、手術内容が説明と本当に同じ内容かどうか、注意が必要です。執刀医のマイクロサージャリーの経験や、症例数、治療成績なども参考にされると良いでしょう。

 

 

設立に際しての想い

インタビュアー 銀座リプロ外科の設立には、どのような想いがあったのでしょうか?

 

永尾光一先生
永尾医師
男性不妊症は、男性にとって非常にデリケートな問題であり、一人で抱え込みがちです。しかし、男性不妊症は決して恥ずべきことではなく、適切な治療によって改善できる可能性があります。私は、銀座リプロ外科の設立を通して、男性不妊症で悩むカップルが安心して治療を受けられる環境を提供し、妊娠という喜びを叶えるお手伝いをしたいと考えています。

 

インタビュアー 最後に、男性不妊症で悩んでいる患者様へメッセージをお願いします。

 

永尾光一先生
永尾医師
男性不妊症は、早期発見、早期治療が重要です。陰嚢に腫れ変形、違和感や痛みを感じたら、一人で悩まず、まずは専門医を受診してください。銀座リプロ外科では、ナガオメソッドをはじめ、患者様一人ひとりに最適な治療を提供し、妊娠という夢の実現をサポートいたします。安心してご相談ください。

 

日帰り顕微鏡下精索静脈瘤手術の特別ページ

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