精巣腫瘍(精巣がん)|初期~進行時の症状とは?検査・治療法 - 銀座リプロ外科
COLUMN

精巣のしこりが気になり、「精巣腫瘍の症状ではないか」と疑っていませんか。

精巣腫瘍(精巣がん)は、ほかのがんとは違い、20~30代の若い男性の発症率が高い病気です。進行が速いケースが多い反面、早期発見して適切な治療を行えば、高い治癒率が期待できます。

本記事では、精巣腫瘍の症状・診断方法・治療法などを解説します。精巣腫瘍の発症リスクを高めうる精索静脈瘤にも触れているので、ぜひ参考にしてください。

 

 

男性不妊・精索静脈瘤にお困りのかたへ
男性不妊の40%精索静脈瘤が原因

男性不妊の40%にある精索静脈瘤は、精巣やその上の精索部(精管、血管、神経、リンパ管などを覆う膜)に静脈瘤(じょうみゃくりゅう・静脈の拡張)が認められる症状のことを指します。一般男性の15%に認められ、男性不妊症患者の40%がその疑いであるとされています。

精巣腫瘍とは?

精巣腫瘍とは、精巣内にある細胞が腫瘍化する病気のことをいいます。良性の場合もありますが、90%以上は悪性腫瘍です。精巣は、陰のうという左右の袋の中に1つずつあり、精子をつくったり、男性ホルモンを分泌したりする臓器です。

精巣腫瘍は、男性に生じる腫瘍全体の約1%を占め、乳幼児期と20~30代に発症することが多い傾向があります。進行性の疾患ですが、化学療法が有効なケースが多く、しっかりと治療に取り組むことで治癒が期待できます。

種類

精子になる前の未成熟な状態である生殖細胞(胚細胞)由来の精巣腫瘍は、全体の約90~95%を占め、セミノーマと非セミノーマに分類可能です。

種類 特徴
セミノーマ
(精上皮腫)
・40歳前後に多い
・精巣腫瘍の50%以上を占める
・高い治療効果が望める
非セミノーマ
(非精上皮腫)
・20~30代に多い
・複数の組織型(胎児性がん・卵黄嚢腫瘍・奇形腫など)がある
・進行が速い

 

2種類の混合タイプは、非セミノーマとして扱われます。

セミノーマと非セミノーマでは治療方針が異なるため、種類を明確化することが非常に重要です。

リスク要因

精巣腫瘍の明らかな原因はわかっていませんが、以下のような要因により発症リスクが高まります。

  • 停留精巣を発症している、または治療経験がある
  • 過去に精巣腫瘍(片側)の罹患・治療経験がある
  • 精巣腫瘍になった家族がいる
  • 不妊症と診断された
  • 精液所見に異常がある
  • 精巣が萎縮している(萎縮の要因として精索静脈瘤があります)
  • 精巣に石灰化が起きている

自身に該当する項目がある場合は、精巣腫瘍の発症リスクが高いことを認識し、日頃から精巣の変化に注意を払う必要があります。異変を感じたら、すぐに医療機関で受診しましょう。

病期

精巣腫瘍は、症状の進行具合に応じ、以下のようにいくつかのステージに分類されます。

ステージ 腫瘍の転移状況
I 転移がない
II 腹部(横隔膜より下)のリンパ節にのみ転移している
III 横隔膜より上のリンパ節や肺・脳などの遠い部位に転移している

ほかのがんで見られるステージⅣは、精巣腫瘍にはなく、ステージⅢまでです。各ステージは、腫瘍の広がり具合や転移の程度、腫瘍マーカーの値などによってさらに細かく分けられます。

似ている病気

精巣腫瘍と似た症状が表れる病気は、以下のとおりです。

  • 精巣上体炎
  • 精巣炎
  • 陰嚢水腫
  • 精索静脈瘤

精巣にしこりや腫れをともなう病気は、ほかの疾患と勘違いしやすいので注意が必要です。

精巣腫瘍ではほとんど見られない痛みや発熱がある場合は、精巣上体炎や精巣炎の可能性があります。片方の精巣が小さくなったり、陰のうの表面にでこぼこと血管が浮き出たりしてきたら、精索静脈瘤を疑いましょう。

精巣や陰のうに違和感を覚えている方は、自己判断せずに医師の診察を受けてください。

 

精巣腫瘍の症状

精巣腫瘍の症状を、初期と進行したときに分けて詳しく解説します。

陰部の違和感があっても、「恥ずかしい」「人に知られたくない」との思いから、受診をためらってしまう方もいるでしょう。しかし、精巣腫瘍を早期発見できれば、完治の成功率が高まります。

精巣腫瘍の症状が自身の状態に当てはまるか、ぜひチェックしてください。

初期症状

精巣腫瘍の初期症状は、以下のとおりです。

  • 痛みのない精巣のしこりや腫れ
  • 下腹部の鈍痛・重圧感
  • 急性の精巣痛

初期の段階で精巣の腫れが起きても、大きくなる速度がゆっくりなため、気づきにくいという特徴があります。痛みや発熱といった自覚症状をともなわないことが多い一方で、進行は速く、比較的短期間でがん細胞が増殖・転移しやすく危険です。

精巣腫瘍を見つけるために行われている人間ドックや検診はほとんどありません。早期発見には、日頃から自身で精巣の状態をチェックすることが肝心です。

進行した際に表れる症状

精巣腫瘍が進行して転移した際に表れる主な症状と原因は、以下のとおりです。

症状 原因
首のしこり 頸部リンパ節転移
腹部のしこり・腹痛・腰痛 腹部リンパ節転移
咳・息切れ・血痰 肺転移
頭痛・吐き気・めまい 脳転移
女性化乳房 ホルモン異常

ほかにも肝臓や骨などに転移する可能性があります。しかし、精巣腫瘍は転移が起きていても治療の効果が見込める病気の一つです。少しでも早い段階で治療に臨めるよう、異常を感じたらすみやかに医師へ相談しましょう。

 

精巣腫瘍の診断方法

精巣腫瘍の診断は、以下のような検査方法で行われます。

  • 触診
  • 腫瘍マーカー検査
  • 超音波検査
  • CT・MRI検査
  • 組織検査

手術後の組織検査により最終的な診断が可能です。さまざまな検査を組み合わせることで、効果的な治療へとつなげられます。

触診

医師が精巣や陰のうを直接触り、しこりや腫れがないかを確認する触診は、精巣腫瘍を診断するために行われる方法です。反対側の正常な精巣と比べた際の違いのチェックや、陰のうが腫れるほかの疾患との判別に有効です。

小さな腫瘍であれば、やわらかい精巣の中にかたいしこりを認識できます。腫瘍が大きくなると、精巣全体がかたいしこりとして感じられるようになります。

触診はほかの検査と組み合わせて行われ、診断の確定と今後の治療方針決定に向けた大切な第一歩です。

腫瘍マーカー検査

精巣腫瘍の診断には、腫瘍マーカー検査が用いられます。

腫瘍マーカーとは、体内に腫瘍が発生すると、つくられるタンパク質や酵素などの物質のことです。産生された物質の種類・量により、腫瘍の存在やがんの進行度などを推測できます。

一般的には、血液検査で腫瘍マーカーを測定し、診断の手がかりにします。ただし、精巣腫瘍の組織の型によっては腫瘍マーカーの産生が見られないため、ほかの検査とあわせて診断することが重要です。

超音波検査

超音波検査(カラードップラー法)も、精巣腫瘍の診断には欠かせません。腫瘍の有無や場所を確認でき、陰嚢水腫・精索静脈瘤などの病気との判別にも有用です。

カラードップラー法は、通常の白黒画像の上に、血流の向きや速度を色で表示する超音波検査の一種です。悪性腫瘍は病変部に新しい血管を形成するケースが多く、血流まで視覚化することが腫瘍の発見に役立ちます。

超音波検査のメリットは、痛みがなく体への負担が少ない点です。

CT・MRI検査

精巣腫瘍が疑われる場合は、ほかの部位に転移がないかを調べるためにCT・MRI検査を実施します。

精巣腫瘍は進行が速く、病気に気づいた時点で転移している可能性があります。転移の有無によって治療方針は異なるため、手術前にしっかりと検査することが重要です。

CT検査では、X線(放射線)を使用し、体の断面を撮影します。精巣腫瘍の状態だけでなく、リンパ節や肺といったほかの部位への転移の有無を確認できます。

MRI検査は、X線を使用せず、強い磁力と電波を利用して体の断面を撮影する方法です。被ばくが気になる方や、造影剤が使用できない患者さんに適します。

組織検査

精巣腫瘍の確定診断には組織検査が用いられます。組織検査とは、手術で採取された組織を顕微鏡で観察し、得られた結果によって治療法を決定する重要な検査です。

乳がんや前立腺がんなどでは、手術前に組織を一部採取して調べる「生検」という検査が適用されることがあります。しかし、精巣腫瘍の場合は転移の恐れがあるため、手術前の組織検査は推奨されません。

腫瘍マーカー・超音波・CT検査などで精巣腫瘍が疑われたら、精巣を摘出してから組織検査が実施されます。摘出された精巣を検査し、組織型や進行具合・悪性度などから最終的に診断を確定します。

 

精巣腫瘍の治療法

精巣腫瘍の治療法は、以下の3つです。

  • 手術
  • 化学療法
  • 放射線治療

診察や検査による精巣腫瘍の診断後は早い段階で手術が行われ、術後はがんの進行度に応じた治療法が選択されます。治療には効果のみならず副作用もある点を十分に理解し、慎重に対処方法を検討しましょう。

手術

精巣腫瘍の治療では、病変のある精巣を外科手術により切除します。「高位精巣摘除術」と呼ばれ、腫瘍のある精巣・精巣上体・精索をまとめて摘出する手術です。

高位精巣摘除術では、手術中にがん細胞がちらばらないよう、精巣につながる血管を糸でしばってから処置します。一般的には腰椎麻酔で行われ、手術時間は30~40分ほどです。

精巣摘出後に、腫瘍マーカー値・CT画像・組織検査などの結果で、進行具合やセミノーマか非セミノーマかを診断し、治療法を決定します。

転移がなければ、精巣摘出により治療を終了し、経過観察する流れが一般的です。転移している場合は、化学療法に加え、追加の手術が行われることもあります。

化学療法

抗がん剤による化学療法は、転移が見られるステージⅡ以降の精巣腫瘍患者さんに主に適用される治療法です。一般的には、精巣腫瘍が転移した腹部のリンパ節や肺などに対し、1コース3週間かかる化学療法を3~4コース行います。

使用する抗がん剤により、以下のようにさまざまな副作用が起こります。

  • 吐き気・嘔吐
  • 食欲不振
  • 脱毛
  • 白血球・血小板の減少
  • 腎機能障害
  • 手足のしびれ
  • 男性不妊

「いつかは子どもが欲しい」という場合は、化学療法を開始する前の精子保存を検討しましょう。

放射線治療

放射線治療は、精巣腫瘍のなかでも組織型がセミノーマの患者さんに有効な治療法です。ステージⅠの再発予防や、ステージⅡの腹部リンパ節転移の治療のために行われます。

ステージⅠ(セミノーマ)の精巣摘出後の再発率は約15~20%ですが、術後に予防策として放射線治療をすると5%以下まで低下します。ただし、放射線治療には以下のような副作用があり、注意が必要です。

放射線照射時の副作用 治療の数か月~数年後に生じる副作用
・皮膚炎
・体のだるさ
・下痢
・二次がんの発生
・男性不妊
・神経障害
・腸管の炎症

精巣腫瘍の状態と、副作用や将来的なリスクを考慮して実施するかどうかを決めましょう。

 

精索静脈瘤の治療が精巣腫瘍の予防につながる

精索静脈瘤の治療が、精巣腫瘍の予防につながるケースがあります。精索静脈瘤について、以下の流れで解説します。

  • 精索静脈瘤とは?
  • 精索静脈瘤が精巣腫瘍のリスク因子となる理由
  • 精索静脈瘤の治療法

ぜひ一読し、精巣腫瘍の早期発見に役立てましょう。

精索静脈瘤とは?

精索静脈瘤とは、精巣から心臓へ戻る静脈の中で血液の逆流が起き、血管がこぶのようになる病気です。温かい血液の流れが滞り、精巣の温度が上がると、以下のような症状・変化が引き起こされます。

  • 陰のうの違和感・痛み・腫れ
  • 陰のうの見た目の変化
  • 精子の質の低下
  • 男性不妊
  • 精巣萎縮
  • 精巣の石灰化

精索静脈瘤は、健常な男性の15%程度に認められるものの、初期の段階では自覚症状がないことが多いため、自分では気づきにくい疾患です。

精索静脈瘤が精巣腫瘍のリスク因子となる理由

精巣腫瘍のリスク因子である男性不妊や精巣の萎縮・石灰化は、精索静脈瘤がもたらす変化と一致しています。

精巣の石灰化とは、組織にカルシウムが沈着した状態のことで、成人の発症率は2.0~5.6%で、比較的まれです。精索静脈瘤により起こる可能性も指摘されています。

精索静脈瘤は、精巣機能の低下につながり、男性不妊や精巣萎縮の要因にもなりえます。精巣が萎縮すると精巣腫瘍の発生率が高くなりますが、精索静脈瘤を治療すれば、精巣機能の向上が期待でき、精巣腫瘍の発症リスクを下げることにつながるでしょう。

精索静脈瘤の治療法

精索静脈瘤に対する有効な治療法は、手術です。

精索静脈瘤の手術では、こぶ状の静脈を結紮(けっさつ)・切離し、逆流を防ぐことで精巣機能の正常化が見込めます。血流が良くなり、精巣萎縮・石灰化が起きる可能性を減少させられるため、精巣腫瘍の発症リスク低下も期待できます。

ただし、精索静脈瘤の手術方法や術者の技量により、再発率や、温存できる動脈やリンパ管などの数はさまざまです。手術を受ける際は、専門性の高いクリニックや、十分な経験・技術がある医師を選ぶことが重要です。

 

精索静脈瘤の診断・治療は当院へ

精巣腫瘍のリスクを下げることが期待できる精索静脈瘤の診断・治療を希望する方は、経験と実績が豊富な当院へぜひご相談ください。

当院の「日帰り顕微鏡下精索静脈瘤手術・ナガオメソッド」は、再発率0.1%・精液所見の改善率87%という高い実績を誇る術式です。外精逆流静脈を含め、逆流のある静脈だけを処置し、合併症リスクを下げるために正常な動脈・リンパ管・神経をすべて温存します。他の術式では外精逆流静脈を結紮・切離しないので再発率は5%高くなります(ヨーロッパ泌尿器科ガイドライン2025)。

当院での精索静脈瘤検査で精巣腫瘍が見つかる方もいます。精巣のしこりのような気になる点が少しでもあれば、早めに当院でご受診ください。

精索静脈瘤について詳しく知りたい

この記事の執筆医師

永尾 光一 先生

永尾 光一 先生

一般社団法人日本精索静脈瘤協会 理事長
医療法人社団マイクロ会 理事長
銀座リプロ外科 院長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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