陰のうの違和感や痛み・腫れが現れる病気は？放置すると危険な場合も

「以前からある陰のうの違和感が改善しない」「実は重大な病だったらどうしよう」といった不安を感じていませんか。陰のうの違和感は、精巣腫瘍や精索静脈瘤などの、命や将来の妊娠に関わる病気のサインかもしれません。

本記事では、陰のうに現れるさまざまな異常の原因や、必要な検査・治療について解説します。放置するリスクについても詳しくお伝えするので、病院に行くか迷っている方はぜひ参考にしてください。

男性不妊・精索静脈瘤にお困りのかたへ

男性不妊の４０％にある精索静脈瘤は、精巣やその上の精索部（精管、血管、神経、リンパ管などを覆う膜）に静脈瘤（じょうみゃくりゅう・静脈の拡張）が認められる症状のことを指します。一般男性の15％に認められ、男性不妊症患者の40％がその疑いであるとされています。

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陰のうと精巣（金玉・睾丸）の働き

陰のうは男性の外陰部に位置し、精巣（金玉・睾丸）を包み込む袋状の器官です。陰のうと精巣には、以下の機能があります。

精巣が高温になることで精液所見の悪化が懸念されるため、陰のうの温度調整機能は非常に重要です。違和感がある場合は、早期に泌尿器科を受診しましょう。

陰のうに違和感や痛みをともなう病気

陰のうに違和感を覚えたり痛みを感じたりした場合は、以下の病が疑われます。

・精巣腫瘍
・精巣上体炎
・精索捻転症
・陰嚢水腫
・慢性前立腺炎
・精索静脈瘤

放置すると、精巣の機能低下だけでなく命に関わる事態に至る恐れもあるため、違和感があった段階で泌尿器科を受診して検査を受けてください。適切な検査と早期治療で、大きなリスクを未然に防ぎましょう。

精巣腫瘍

精巣腫瘍は20〜40代の男性に多く発生し、悪性の場合が多いことが特徴です。多くの場合、痛みはともなわず、陰のうに腫れや硬いしこりといった違和感が現れます。

同じ病気の家族がいたり、精巣が陰のうに下りてこない停留精巣であったりする人は、発症リスクが高まります。

検査方法は触診や超音波検査などで、進行している可能性が高い場合は、CT検査や血液検査なども行なって総合的に判断されることが一般的です。

悪性の精巣腫瘍は進行が速いので、精巣全体を摘出する手術が行われます。転移や原発巣（最初にがんが発生した場所）近くに浸潤があれば、化学療法や放射線療法も検討されます。

進行する前の治療で生存率の向上が期待できるため、セルフチェックによる早期発見に努めましょう。

精巣上体炎

陰のうに違和感を覚える病気の1つが、精巣上体炎です。精巣の後ろ～上に位置する精巣上体（副睾丸）が大腸菌やクラミジアといった細菌に感染し、炎症を起こします。

若い方では性行為を通じて感染することが多く、尿道から侵入した細菌は精路を通って精巣上体に至ります。また、精索静脈瘤があるとうっ血しているため慢性精巣上体炎になりやすくなります。ほかには、精巣上体近くでパイプカットされた場合、精巣上体の内圧が高まり炎症を起こすことがあります。

精巣上体炎の代表的な症状は、以下のとおりです。

・陰のうの激しい痛み・腫れ・熱感
・発熱
・精巣上体の圧痛

精巣上体炎を放置すると炎症の過程で精子の通り道が塞がり、閉塞性無精子症を引き起こすことがあり、不妊の原因になりかねません。

診断は尿検査や超音波検査で行い、細菌の有無や腫れの範囲を確認します。治療方法は主に抗生物質の内服で、症状が重い場合は点滴や陰のうの冷却が推奨されます。早期に治療を行えば、数日〜1週間ほどで改善が可能です。細菌性以外の慢性精巣上体炎は、温めない、保冷剤や冷えピタで冷やすなどをおすすめしています。

精索捻転症

精索捻転症は、精巣が精索（血管・神経・精管などが束になった組織）ごとねじれて血流が遮断される疾患です。陰のうの激しい痛みや腫れが特徴で、睡眠中に突然発症することが多いといわれています。

精索捻転症の原因は、先天的に精巣が陰のう内で固定されていない場合や思春期に精巣が大きくなり支持組織が弱い場合などがあります。。

発症から6～12時間以内に医師の手や手術によって正常な位置に戻せば、精巣の温存が期待可能です。一方で、スピーディーに治療しなければ、血流が途絶え、精巣は壊死してしまいます。陰のうに急な痛みを感じた場合は、ただちに医療機関を受診することが重要です。

陰嚢水腫

陰嚢水腫（いんのうすいしゅ）も、陰のうに違和感があるときに考えられる疾患です。陰のう内に透明な液体が溜まり、精巣の周囲が腫れる症状で、体質や外傷・感染、リンパ管温存されない精索静脈瘤の手術などをきっかけに発症することがあります。

陰嚢水腫の多くは、痛みをともないません。徐々に腫れが大きくなり、「陰のうがなんとなく重い・張っている」といった違和感で病に気づきます。

陰のうの腫れが小さければ、治療を行わないケースもあるものの、水腫が大きくなって日常生活で邪魔に感じる場合は、液体が溜まることを防ぐ手術が検討されます。

慢性前立腺炎

慢性前立腺炎は、前立腺の慢性的な炎症によって、下腹部やその下の部分で以下のようにさまざまな症状が現れる病です。

・陰のうや会陰部（肛門と陰のうの間）のかゆみ・痛み
・射精時の違和感や勃起障害
・下腹部の違和感
・排尿時の痛み
・頻尿・残尿感
・鼠径部の違和感・痛み

長時間座っていたり、ストレスが多かったりする生活を送る方に起こりやすいといわれています。トイレが近くなる・陰部に不快な症状があるといった慢性前立腺炎の症状は、QOL（生活の質）を大きく低下させるため、早期治療が必要です。

慢性前立腺炎は、尿検査・採血・超音波検査で診断され、抗菌薬・消炎鎮痛薬の服用や、生活習慣の改善によって治療を行います。座るときに会陰部を圧迫しないクッションの使用も有用です。

精索静脈瘤

陰のうに違和感があったときに疑われる病気の1つが、精索静脈瘤です。

精索静脈瘤は、精巣から心臓に戻る静脈の血流が滞り、血管がこぶ状に拡張する疾患です。進行すると、陰のう内の温度が上がって精巣機能が悪くなり、正常な精子が造られにくくなって不妊につながります。また、精巣で作られる男性ホルモンも低下します。

精索静脈瘤の症状は、以下のとおりです。

・陰のうに違和感や痛みがある
・左右の陰のう・精巣のサイズが違う
・陰のうの表面に血管が浮き出る
・避妊していないのに子どもができない

精索静脈瘤は、視診や触診によって診断が行われます。逆流している静脈の血流を遮断する処置によって完治が望め、手術が成功すれば陰のうの違和感が軽快し、精液所見も良くなるでしょう。

陰のう・精巣のセルフチェックを行い、精索静脈瘤が疑われた際は、泌尿器科で診察と超音波検査を受けることを推奨します。

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陰のうに違和感や痛みがある際の検査方法

陰のうに違和感や痛みがある際に行われる検査の例は、以下のとおりです。

・視診・触診
・尿検査
・血液検査
・超音波検査
・CT検査

問診で可能性のある病気を絞ってから、必要な検査が実施されます。見た目だけでは確実に判断できない病気が多いため、泌尿器科で適切な検査を受けることが重要です。

視診・触診

視診・触診は、医師が肉眼と手の感覚で陰のうの状態を確認する、基本的な検査方法です。主に、以下の項目に着目して陰のうを確認します。

・左右のサイズ差
・腫れ
・しこりの硬さや痛みの有無
・皮膚の色の変化
・熱感

横になる・立つなど、患者さんに体位を変えてもらい、重力による症状の変化や静脈の拡張も観察します。

医師に陰のうを見せることに羞恥心を感じるかもしれませんが、診察は5〜10分ほどで、プライバシーに配慮した環境で行われるので、大きな心配はいりません。

尿検査

陰のうに違和感がある場合は、原因を調べる目的で尿検査も行われます。精巣上体炎や慢性前立腺炎のような感染症を疑う場合に有効です。

尿検査では、尿中に以下の反応がないかをチェックします。

・白血球
・亜硝酸塩
・潜血
・細菌
・がん細胞

白血球が検出された場合は、炎症の疑いがあるため、細菌培養検査を追加し、感染している菌の種類を特定します。

検査の所要時間は、患者さんが中間尿を採取する数分ほどです。検査をする医療機関の設備によりますが、多くの場合、早ければ数十分〜当日中に結果が判明します。

血液検査

血液検査は、陰のうの違和感や痛みの原因を調べるために、体内の炎症の有無や腫瘍マーカーの数値を確認する重要な検査です。

以下のような検査項目により、陰のうの違和感の原因を大まかに推測できます。

採血は5分ほどで終わり、結果がわかるまでの時間は約1～3週間です。検査結果によって、精密検査や治療の方針が決定されます。

超音波検査

陰のうの違和感で泌尿器科を受診すると、多くの場合、超音波検査も行われます。超音波検査は、陰のう内の状態を画像で確認できる検査方法です。陰のうにゼリーを塗布し、プローブという器具をあてて、以下のような症状がないか観察します。

・精巣や精巣上体の腫れやしこり
・血液の逆流
・血管の太さの異常
・陰嚢水腫のような病に見られる液体貯留の有無
・捻転による血流遮断

検査時間は10〜15分ほどで、リアルタイムで結果の確認が可能です。緊急性の判断に適し、放射線を使わないため安全性が高いといえます。

CT検査

陰のうの違和感や痛みの原因をほかの検査で特定できない場合は、補助的にCT検査が行われることもあります。CT検査とは、X線を用いて体内の構造を詳細に映し出す画像検査です。

精索捻転症や精索静脈瘤は基本的に超音波検査で診断可能ですが、急性の症状で、ほかの腹部疾患との鑑別が必要な際にCT検査が使用されます。

精巣腫瘍が疑われる場合は、転移の有無を確認するために胸部・腹部のCT検査が行われることがあります。リンパ節や肺への転移を把握したいときに非常に有効です。

検査は約5〜10分で終わり、結果がわかるまでの時間は数時間～1週間ほどです。

陰のう検査で異常が見つからないこともある

陰のうに違和感や痛みがあっても、泌尿器科で「異常なし」と診断されるケースも少なくありません。デリケートな部分のため、過剰に気にしてしまう方もいるでしょう。

検査で異常がないにもかかわらず違和感が続くケースは、以下のような生活習慣が原因となっている可能性があります。

・長時間の座位
・締め付けるようなズボンや下着の着用

心当たりがある方は、定期的に立ち上がる、ゆったりとしたズボンや下着に変えるといった対策を行なってください。日常生活で注意しても改善されない場合は、セカンドオピニオンを受けると良いでしょう。

陰のうの違和感を放置するとどうなる？

「陰のうに違和感があるが、すぐに治るだろう」と病院に行かずに病気を放置した際に、考えられるリスクは、以下のとおりです。

特に、精索静脈瘤は一般男性の15％に見られる病気ながら、あまり知られていないという現状があります。

放っておくと次第に悪化し、精子の数・運動率の低下や精子のDNA損傷は深刻になるでしょう。病気に気づかないまま、不妊検査で精液所見の悪化だけを指摘され、体外受精や顕微授精へのステップアップされることがありますが、精索静脈瘤を早期に発見し適切に治療すれば精液が改善し、自然妊娠も期待できます。

陰のうに違和感を生じる病気は、手術や治療で改善が見込めるため、放置しないことが大切です。早めに泌尿器科を受診し、重大なリスクを避けましょう。

陰のうの違和感がある場合は当院へご相談を

陰のうの違和感は放置せず、当院へご相談ください。強い痛みがなくても、深刻な疾患のサインかもしれません。

当院では、「日帰り顕微鏡下精索静脈瘤手術・ナガオメソッド」による精索静脈瘤の治療ができます。顕微鏡を使って動脈・神経・精管・リンパ管を1本1本剥離して温存しつつ、逆流している静脈のみを処置する手術です。

見逃されることが多い外陰部逆流静脈まで1本ずつ処置することで再発率0.1％を実現し、精液所見の改善率は87％を誇ります。局所麻酔を使用するため体への負担が少なく、日帰りが可能です。

当院では、高倍率の顕微鏡を用いた精度の高い術式を採用しており、保険適用のない自由診療で手術をしています。

陰のうの違和感は、精索静脈瘤が原因かもしれません。ぜひ一度、泌尿器科領域の手術実績が豊富な当院で、診察と超音波検査をお受けください。

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