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リンパ浮腫の治療にかかる費用は?

リンパ浮腫はリンパ液の循環が滞り、腕や脚にむくみが生じる病気です。悪性腫瘍(がん)の治療後に発症することが多く、重症になると歩行困難に陥ったり合併症を引き起こしたりします。

発症してしまうと完全に治すのは難しい病気ですが、軽度の段階で発見できれば、適切な治療を受けることで症状の緩和が可能です。

本記事はリンパ浮腫の基礎知識に加え、治療にかかる費用について解説します。「どんな治療があるの?どのくらいの費用がかかるの?」と思っている方は、ぜひご覧ください。

 

リンパ浮腫とは

リンパ浮腫とは、リンパ管の損傷や閉塞により、リンパ液が組織内に溜まってしまうことで生じるむくみのことです。

血液は心臓のポンプ機能により、動脈を通って体全体に届けられたあと、静脈を通って心臓に戻ります。ただ、一部の血液は組織外に浸み出し、リンパ液としてリンパ管を通って心臓に戻る仕組みです。このリンパ液の循環が滞ることで、むくみが生じてしまいます。

リンパ浮腫は進行性の病気なので、自然治癒するものではありません。一度重症化したリンパ管は修復できないため、完治が難しい病気です。しかし早期から適切な治療を行うことで、むくみなどの症状を軽減でき、進行を防げます。

 

リンパ浮腫の原因・症状

精索静脈瘤は痛みが少なく、目立った自覚症状は現れません。
がんなどのように、悪性で放置すると命に関わるということがない良性の病気であるため、精索静脈瘤が発見されても治療をせずに放置されがちです。

自覚症状がないために「自分は大丈夫だろう」と思っていても、実は精索静脈瘤だったということがありえます。

不妊治療中の男性にはとても深刻な病気であるにも関わらず、医師の診察と、検査を受けなければ正確にはわかりません。

良性の病気とはいえ進行性であるため、気になったら診察・検査を受け、精索静脈瘤だと診断されたらすぐに治療を始めましょう。

原因

原因は以下の2パターンに分かれます。

原発性リンパ浮腫

生まれつきリンパ管低形成(構造や機能)に問題がある場合に生じるリンパ浮腫です。脚にむくみが生じることがほとんどですが、稀に腕に生じることもあります。

続発性リンパ浮腫

リンパ浮腫患者の90%以上が続発性で、がん治療や怪我などの後に生じます。乳がん・子宮がん・卵巣がん・前立腺がんなどの治療で、リンパ節郭清(かくせい)や放射線治療を行うことが主な原因です。

リンパ節郭清とは、手術の際にがん細胞を摘出するだけではなく、周囲のリンパ節や転移している可能性が高い組織も切除することです。がん再発を防ぐ効果は見込めるものの、リンパ管が損傷を受けることでリンパ液の流れが悪くなり、リンパ浮腫を招いてしまいます。

症状

症状

進行性の病気で、放置すると以下のように症状が変化します。

進行度 症状の分類 主な症状
0期 潜在期 リンパ液輸送が障害されているが、浮腫が明らかでない潜在性または無症候性の病態。
Ⅰ期 軽度 比較的蛋白成分が多い組織間液が貯留しているが、まだ初期であり、四肢を挙げることにより軽減する。圧痕がみられることもある。
Ⅱ期 中等度 四肢の挙上だけではほとんど組織の腫脹が改善しなくなり、圧痕がはっきりする。
Ⅱ期後期 組織の線維化がみられ、圧痕がみられなくなる。
Ⅲ期 重度 圧痕がみられないリンパ液うっ滞性象皮病のほか、アカントーシス(表皮肥厚)、脂肪沈着などの皮膚変化がみられるようになる。

引用:病期分類(国際リンパ学会)

代表的な症状として、主に片側の腕や脚がむくんで徐々にボリュームが増大します。0期では自覚症状がないか、軽いだるさや疲労感といった軽い症状しか出ないことから、リンパ浮腫だと気づけない方が多いようです。

腕や脚のボリュームの左右差がはっきりと確認できるようになると、すでに中等度まで進行している可能性があります。中等度以降は以下のような違和感も出てくるでしょう。

・衣服がきつい
・指輪や腕時計などが装着しにくい
・靴が履きにくい
・正座しにくい

重度になると、歩行困難や指先で細かい動きがとれないなど、日常生活に影響が出るようになります。また「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」という発熱を伴う強い炎症を起こしたり、蜂窩織炎を繰り返すことで「象皮病(ぞうひびょう)」という、皮膚が象の皮のように厚く硬くなる病気になったりすることもあります。

 

リンパ浮腫の診断・検査

リンパ浮腫の診断は問診と診察(触診)のみで行うこともできますが、進行度をより詳しく把握するために、以下のような検査を行うのが一般的です。

インドシアニングリーン(ICG)リンパ造影

インドシアニングリーン(ICG)という物質を皮下に注入して、リンパ管に取り込まれていく様子を確認する検査です。リンパシンチグラフィーと違って、皮膚の浅い部分のリンパ管しか見られないものの、細かい部分まで確認できるのが特徴です。

超音波検査

実際のリンパ管や、逆流のない良い静脈を観察することができます。その他、皮下のリンパ液の溜まりや、ICGで観察しにくい部位を見ることもできます。

リンパシンチグラフィー

リンパシンチグラフィ―を行える施設は限られますが、放射能をもつ薬剤を注入して、その物質がリンパ管の中に取り込まれていく様子を確認する検査です。手や腕がむくんでいる場合は手の指の間、脚がむくんでいる場合は足の指の間へ注射します。リンパ液が流れている部分は筋状に、むくみが生じている部分は雲のように写り、深い部分のリンパの流れが分かります。

 

リンパ浮腫の治療方法

複合的治療

リンパ浮腫の治療において以下の4つを合わせて行うことを、複合的治療と言います。

スキンケア

むくんだ皮膚はバリア機能が低下しており、乾燥によるひびわれや細菌感染などを引き起こす可能性があります。日常的に保湿クリームを使用し、肌トラブルを予防しましょう。

用手的リンパドレナージ

やさしくマッサージを行うことで、たまったリンパ液を正常なリンパ節に流し込む方法です。基本的に、心臓に近い部分から体の先に流します。美容目的のリンパドレナージとは全くの別物なので、医師の指導のもと行うようにしましょう。

圧迫療法

用手的リンパドレナージなどで正常な部分に流したリンパ液が、手足の先に再度流れてこないように維持する方法です。弾性包帯や弾性ストッキングなど、締め付ける力が強い専用の製品を用います。

圧迫した状態での運動療法

弾性包帯や弾性ストッキングを着用しながら、ストレッチなどの軽い運動をする方法です。筋肉の動きが皮下組織のリンパ管を刺激するため、リンパ液の流れの改善が期待できます。

手術

リンパ浮腫治療で代表的な手術は「リンパ管静脈吻合術」です。流れが滞ったリンパ管を途中で切って近くの静脈につなぎ、つないだ部分からリンパ液が静脈に流れ込むことでむくみが改善します。

当院での手術は局所麻酔で行い、切開するのは1cm程度なので、身体への負担が少ない治療です。ただしリンパ管を再生させる手術ではないため、リンパ浮腫を完治できる訳ではありません。手術後も継続的に複合的治療を続ける必要があります。

費用

リンパ浮腫の治療にかかる費用は、従来は公的保険が一切適用されませんでした。

しかし2008年4月以降は弾性包帯や弾性着衣の購入、2016年4月以降は複合的治療で公的保険が使えるようになりました。

複合的治療は、弾性包帯や着衣による圧迫・圧迫下での運動・リンパドレナージ・スキンケア・セルフケアを組み合わせた保守的治療です。ただし適用されるのは一部の患者のみなので、ご自身が対象になるかは医療機関等でご相談ください。

なお、外科的治療である「顕微鏡下リンパ管細静脈吻合術」も公的保険の対象です。しかしリンパ浮腫と診断される前に、予防的に行う手術には保険が適用されません。

当院での診療費用

当サイトを運営している銀座リプロ外科では、全て保険適応での診療を行っております。
保険適応のないICGの検査は、無料で行っております。

銀座式リンパドレナージは、当院で手術を行う方のみ、無料で指導しております。

弾性着衣については、年間2回まで、1回に2着まで療養費(3割負担)で購入できます。医師の指示書が必要です。
>>弾性着衣について

用手的リンパドレナージは連携施設をご紹介しています。費用については、各施設にお問合せください。

 

まとめ

リンパ浮腫はがん治療後などに腕や脚にむくみが生じる病気です。治療せずに放置すると蜂窩織炎などの合併症を招くため、早期に治療を開始しなければなりません。

銀座リプロ外科でもリンパ浮腫治療を行っています。銀座リプロ外科は東京 銀座にあり、マイクロサージャリーやスーパーマイクロサージャリーなどの高度な外科手術を行っている医療機関です。

リンパ管静脈吻合術は難しい治療ですが、当院ではリンパ管静脈吻合術の経験が豊富な外科医が手術を担当するため、高度な技術をご提供できます。切開部分は小さく、痛くない局所麻酔を行っており、日帰り手術が可能です。手術が終われば歩いてお帰りいただけます。術後の痛みの心配も殆どございません。ぜひお気軽にご相談ください。

銀座リプロ外科では、ICG蛍光管リンパ管造影によって、早期診断・早期治療を行っております。四肢の重だるさや皮膚の知覚過敏、浮腫みなどが気になる場合には、ぜひ受診してみてください。
また、保存的治療では、自宅で気軽に行える、銀座リプロ式リンパドレナージの指導やオーダーメイドによる着圧ストッキングのご提供を行っております。

リンパ浮腫の治療は早く取り掛かるにこしたことはありません。症状に心あたりがあれば、早めに受診しましょう。

この記事の執筆医師

永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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