早期発見・治療が重要なリンパ浮腫(ふしゅ)。
「そもそもリンパ浮腫ってなに?」
「何が原因なの?」
「改善方法はある?」
と考える方もいるのではないでしょうか。
今回は、腕のリンパ浮腫の原因と改善方法についてわかりやすく解説します。この記事を読めば、リンパ浮腫とは何なのかを把握できますよ。
セルフケアや専門医による治療についても紹介するので、リンパ浮腫で悩んでいる方は参考にしてみてください。
腕のリンパ浮腫とは
そもそもリンパ浮腫とは、皮膚の下のリンパ管に流れるリンパ液が過剰にたまって、むくみが生じた状態のことです。
治りづらく、そのままにしていると症状が悪化していきます。悪化すると関節が曲げづらくなったり炎症を起こしたりするため、早期発見・治療が重要です。
腕のリンパ浮腫が起こる原因
リンパ浮腫の予防
リンパ浮腫は、がんの手術などによってリンパ節を切除することで生じます。リンパ節を切除すると、リンパ液の流れが停滞して過剰にたまってしまうからです。
生じる場所はどこを手術したのかによって異なりますが、ワキの下のリンパ節を切除した場合は、腕や胸、背中がむくみやすいといわれています。
ただ、手術をしたら必ずしもリンパ浮腫が生じるというわけではありません。発生時期には個人差があり、手術直後に生じる方もいれば、数ヶ月、数年と時間が経ってから生じる方もいらっしゃいます。
なってしまった時のセルフケア方法
ここからは、リンパ浮腫が生じたときのセルフケア方法を6つ紹介します。ただし、正しいセルフケアを行うためには専門医の指導が必要です。
まずは、専門医に状態を診てもらい、相談のうえで、これから紹介するような方法できちんとケアをするとよいでしょう。
スキンケアを行う
リンパ浮腫が生じた皮膚はダメージを受けやすいため、毎日のスキンケアが重要です。乾燥や傷によって細菌が侵入してしまうと、炎症が起こりやすくなります。
たとえば以下のような対策があります。
- 怪我をしない
- 虫に刺されても掻かない
- 外出時は日焼け止めクリームを塗る
- 入浴後に保湿クリームなど塗り薬を使用する
服装に気をつける
皮膚へのダメージを抑えるためには、身体を保護する衣類も重要です。アイテムやサイズ選びに注意しなければいけません。
たとえば以下のような対策があります。
- 虫刺されや日焼けを防ぐために長袖を着用する
- 下着は皮膚にくいこまないゆったりしたものを選ぶ
- 指輪はつけない
肥満を予防する
脂肪が増えるとリンパ管が圧迫されるため、リンパ液の流れが悪くなります。そのため、リンパ浮腫を改善するためには太りすぎないことが大切です。標準体重をキープし、バランスの良い食事を心がけましょう。
なお、標準体重の計算方法は以下のとおりです。
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
(例)165㎝の場合
1.65(m)×1.65(m)×22=59.9(kg)
また、適度な運動も重要です。運動によって筋肉のポンプ作用が働くと、リンパ液の流れが改善します。ただし、無理をするのは禁物です。どの程度の運動が必要なのかについては医師の指示を受けましょう。
なるべく体に負担をかけない
リンパ浮腫を発症している方は、なるべく体に負担をかけないように生活をする必要があります。普通に生活をするだけでも意外と負荷がかかっているため、意識することが大切です。
たとえば以下のような対策があります。
- パソコン作業を長時間するときは肘枕を置く
- 腕に負担が掛かったら休憩する
- 長時間お風呂に入らないようにする
- 寝るときにクッションを置いて腕の位置を高くする
シンプルリンパドレナージを行う
リンパドレナージとは、リンパ浮腫専用のマッサージです。リンパ液をリンパ管へ流していきます。
リンパドレナージには2種類あり、専門家に行ってもらう「用手的(ようしゅてき)リンパドレナージ」とセルフで行う「シンプルリンパドレナージ」があります。セルフで行う場合も医師の指導を受けて正しく行いましょう。
圧迫療法を行う
リンパ浮腫には、専用の弾性包帯や弾性着衣をつける圧迫療法も有効です。圧力をかけて、むくみがない状態を維持します。
効果を出すためには、体に合ったサイズの弾性包帯や弾性着衣が必要です。医師に相談すれば適切なサイズのものを提案してくれるでしょう。
リンパ浮腫の治療法
ここからは、専門医によるリンパ浮腫の治療法をお伝えします。「腕がむくんでいるような気がする……」「もしかしたらリンパ浮腫かも?」と不安に思ったら医師に早めに相談すると良いでしょう。
用手的リンパドレナージ
先述したように、リンパドレナージとはリンパ浮腫専用のマッサージです。専門家が行うものを用手的リンパドレナージといい、一般的には手の先から心臓に向かってマッサージをしていきます。
たまってしまったリンパ液を正しい場所に移動させるイメージです。専門家に正しいやり方を教えてもらうとよいですね。
手術
これまで紹介したリンパドレナージなどの保存的治療に外科治療を併用すると効果が高まります。
リンパ浮腫の手術は以下のようなものがあります。
- リンパ管静脈吻合手術
- リンパ節・リンパ管移植手術
リンパ管静脈吻合手術は、がん手術などで切除されたところより先のリンパ管と静脈をつなぎます。リンパ液が流れる道をつくる手術です。
ただ、リンパ浮腫が悪化している場合は、効果がありません。症状によっては、健康なリンパ節・リンパ管を移植します(リンパ節・リンパ管移植手術)。移植手術は、全身麻酔で行う手術です。
病院での検査は何をする?
検査内容は病院によって異なります。問診・診察のほか、超音波検査などを行うところもあります。
銀座リプロ外科で行っているのは、以下の検査です。
- 計測
- 写真撮影
- 高周波エコー検査
- ICGリンパ管造影
ICGリンパ管造影とは、薬剤を注射し近赤外線カメラでリンパ液を確認する検査です。リアルタイムで確認でき、早期の異常もわかります。
1回の診察時間はおよそ30~60分です。
手術はどんなことをする?内容や流れについて
銀座リプロ外科の手術は、リンパ管静脈吻合手術が中心です。局所麻酔を使用し、日帰り手術を行なっています。
リンパ管静脈吻合手術とは、先述したように、リンパ管と静脈をつないでリンパ液が流れる道つくる手術です。
皮膚切開を行なった傷には、防水のテープで保護をします。皮膚の内側にある真皮を縫合する真皮縫合と、皮膚の外側を縫う表皮縫合を行うため、術後2週程度で抜糸が必要です。
初診費用
初診費用は5,500円です。
現金またはクレジットカードでお支払いいただけます。
費用
全て保険適応です。手術の場合は、高額療養費が適応になります。
腕のリンパ浮腫の手術なら銀座リプロ外科
銀座リプロ外科は、銀座にあるクリニックです。顕微鏡手術を中心とした高度で専門的な外科手術の実績があり、腕のリンパ浮腫にも対応しています。
腕のむくみを感じたら、すぐにリンパ浮腫に精通した専門医に診てもらいましょう。当院では、長年リンパ管静脈吻合手術を行なってきた経験豊富な医師が手術を行います。
また、オリジナルのリンパドレナージ方法「銀座リプロ式リンパドレナージ」を採用しており、初診のときに体験していただけます。体験後はお家で毎日簡単にセルフケアが可能です。来院の度に、サイズ測定と弾性着衣の確認も行いますのでご安心ください。
当院は完全予約制になっており、初診のご予約・お問い合わせは公式HPから受け付けております。リンパ浮腫にお悩みの方は、お気軽に銀座リプロ外科へお問い合わせください。
お問い合わせ・ご予約はこちら
〒104-0061 東京都中央区銀座2-8-19 FPG links GINZA 6F
この記事の執筆医師
永尾 光一 先生
東邦大学 医学部教授
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 形成外科センター長
昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。形成外科診療科部長を経験する(基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。
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