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早期発見が重要!リンパ浮腫の初期症状は?症状を5段階で解説

腕や脚がむくみ、重症化すると日常の生活に影響がでてしまう「リンパ浮腫」。リンパ浮腫は、乳がんや婦人科系のがんの手術でリンパ節を切除したこと、放射線治療や一部の薬物療法を行ったことが誘因となり発症します。

一度重症化すると完全に治すのは難しい病気で、早期に発見し、治療を始めることが重要です。本記事では、リンパ浮腫のメカニズムや初期症状、段階ごとの症状について詳しく説明します。

 

リンパ浮腫とは

リンパ浮腫とは、がんの治療をした部位に近いところで、リンパ液がうまく流れずにむくんだ状態のことを言います。

重症化してしまうと完全に治癒するのは難しく、進行が早い病気です。むくんだところが重たく感じたり、関節を曲げづらくなったりと生活にも支障がでてきます。

リンパ浮腫は、がん(主に乳がん・子宮がん・卵巣がん)でリンパ節の切除を行った場合や、放射線治療や一部の薬物療法を行った場合に多く発症する病気です。

 

リンパ浮腫のメカニズム

乳がんや子宮がん、卵巣がんなどのがんの手術では、がんの転移を防ぐためがんの近くのリンパ節を切除します。この切除のことを「リンパ節郭清(リンパせつかくせい)」といいます。

リンパ節は、リンパ液が流れるリンパ管が集合する場所です。リンパ節を切除するとリンパの流れが滞りむくみが生じます。

このように、リンパの循環が正常に行われないとむくみが生じ、リンパ浮腫になるというわけです。

また、稀ですが、原発性のリンパ浮腫といって、はっきりと原因がわかっていないリンパ浮腫もあります。

 

症状別!リンパ浮腫5つの病期分類

早期発見が重要!リンパ浮腫の初期症状は?症状を5段階で解説

リンパ浮腫は、軽度であればセルフケアを続けながら普段の生活を送ることができますが、進行すると腕や脚が太くなり、皮膚が硬くなったり、関節を曲げにくくなったりといった症状がでてきます。

リンパ浮腫は多くの場合、切除したリンパ節の場所に近いところからむくみ始め、徐々に手や足の先へと広がっていきます。

国際リンパ学会が分類する、リンパ浮腫の病期を紹介しましょう。

引用:リンパ浮腫の病期分類(国際リンパ学会)

0期 リンパ液輸送が障害されているが、浮腫が明らかでない潜在性または無症状の病態。
I期 比較的蛋白成分が多い組織間液が貯留しているが、まだ初期であり、四肢を挙げることにより軽減する。圧痕がみられることもある。
II期 四肢の挙上だけではほとんど組織の腫脹が改善しなくなり、圧痕がはっきりする。
II期
後期
組織の線維化がみられ、圧痕がみられなくなる。
III期 圧痕がみられないリンパ液うっ滞性象皮病のほか、アカントーシス(表皮肥厚)、脂肪沈着などの皮膚変化がみられるようになる。

 

0期は、リンパの流れは悪くなっているものの、外見からはわからない状態です。ICG蛍光リンパ管造影という検査で変化が確認できます。重さやだるさ、張りといった自覚症状がでてきます。

Ⅰ期になると、むくみが生じているものの、寝るときに軽く腕や脚を上げて寝れば朝にはだいぶ改善されます。注意していただきたいのは、慢性的な症状が続くとリンパ液を運ぶ能力が落ちてきて、張り感や痛みが軽減するということです。実際はリンパ浮腫が進行しているのに、気付かずに受診を見送ってしまうケースがあります。リンパ浮腫のリスクがある人は初期症状を見逃さず、受診することが大切です。

さらに進行してⅡ期のリンパ浮腫になると、寝るときに腕や脚を上げて寝るだけではむくみが軽減されず、皮膚を押すと痕(あと)が残るなど、外見からもはっきりとむくみがわかるようになります。Ⅱ期後期では、皮膚が硬くなり、押しても痕が残らない状態です。

さらに悪化してⅢ期になると、皮膚が肥厚して硬くなる、脂肪がつくなどの変化、象皮病などがみられます。象皮病は、慢性的なリンパの循環障害が原因で皮下の結合組織が著しく増殖し、皮膚が象の皮のように厚く硬くなる病気です。

リンパ浮腫で気を付けておきたい合併症に「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」があります。蜂窩織炎は、リンパ浮腫によって免疫力が低下したところに、小さな傷や水虫などがきっかけで細菌に感染し発症する皮下組織の急性炎症です。蜂窩織炎を繰り返すことによって象皮病に進行すると言われています。

リンパ浮腫は、早期に治療を開始するほど治療は楽で、高い効果を期待できます。何より、予防と早期発見・早期治療が重要です。

 

早期発見のためのポイント

リンパ浮腫は、がんの手術の後すぐに発症する人もいれば、5年や10年経ってから発症する人もいます。また、リンパ節郭清を行えば必ずしも発症するというわけではなく、リンパ管の発達具合によって発症しない人もいます。

がんの手術でリンパ節郭清を行った場合は、リンパ浮腫を発症したときに早期発見できるよう、日ごろから意識しておきましょう。初期に自覚する症状には次のようなものがあります。

● 手足がだるく感じたり、重く感じたりする
● 部分的にむくんでいる
● ちょうどよかった靴がきつく感じる
● 指輪がきつく感じる
● 腕時計のベルトを止める位置が太くなる
● 静脈がみえにくくなる

また、リンパ浮腫でむくみやすい場所の太さを測定しておくのもおすすめです。

乳がんの手術後では肘の上下、子宮がんや卵巣がんの手術後では下腹部や陰部、脚の付け根(内もも)あたりがむくみやすい場所です。

朝晩でも太さが変わってくるので、同じ時間帯に測るようにして、なるべく早い段階でむくみを見つけられるようにしてください。

 

リンパ浮腫の予防、セルフケア

リンパ浮腫のリスクがある人は、ぜひ予防を行ってください。また、発症してもセルフケアを行うことにより改善に向かう場合があります。

身体に負担をかけたり、きつい下着などで締め付けたりすることがリンパ浮腫発症の原因となります。日常生活の、ささいなことの積み重ねに注意してください。

例えば左胸の乳がん手術をした場合、リンパ浮腫は左の腕に起こりやすくなります。重い荷物などで負担をかけないように注意しましょう。

また、軽いひっかき傷からでも、傷口から細菌が入り込み、蜂窩織炎などの合併症を起こすことがあります。長袖や長ズボン、手袋などで肌を保護するとよいでしょう。

予防とセルフケアについては、スキンケアと体重管理が大切です。この2つについては少し詳しく説明します。

スキンケア

リンパ浮腫が生じると皮膚が薄くなってしまうので、外からの刺激に対する防御力が下がってしまいます。細菌などに感染しやすい状態です。

肌が乾燥するとバリア機能などが低下しますので、皮膚を清潔に保ち、潤いを与え、皮膚が働きやすい状態を持続しましょう。

石けんやボディソープは、自分の肌質に合ったものを選んで使用してください。また、ゴシゴシこすったりせずに優しく洗います。水虫など皮膚の病気があれば、早めに治すなど、肌を清潔に保つよう心掛けてください。

また、入浴後は必ず保湿をするようにします。自分の肌に合った保湿ローションやクリームなどを使用して、乾燥を防ぎましょう。

体重管理

肥満はリンパの流れに悪影響を与えます。体重が増加しないよう、生活習慣を見直してみてください。特に、BMI30以上の肥満の方は注意が必要です。

リンパ浮腫でリンパ液の流れが滞っている状態で脂肪があると、さらにリンパの流れは悪くなります。肥満気味ではない人も、急激な体重増加がないように気を付けましょう。
 

リンパ浮腫の診察

リンパ浮腫を診ているのは、外科や形成外科です。専門のリンパ浮腫外来も増えています。ただし、がん(悪性腫瘍)の治療直後は体力を消耗しているので、主治医と相談してみるとよいでしょう。

リンパ浮腫の治療は、早く始めるに越したことはありません。まずは医師の診察を受けて治療を開始してください。

銀座リプロ外科では、ICG検査により、早期診断・早期治療を行っております。四肢の重だるさや、皮膚の知覚過敏、浮腫みなどがある場合には、是非受診してみてください。
保存的治療では、自宅で気軽に行える、銀座リプロ式リンパドレナージの指導をしております。
その他、既製品の着圧ストキングが合わない場合は、オーダーメイドによる患者様個々の症状に合ったストッキングをご提供しています。是非お気軽にご相談ください。

リンパ浮腫の手術に関して詳しくはこちらをご覧ください。

この記事の執筆医師

永尾光一(東邦大学泌尿器科教授 リプロダクションセンター長)

永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター長
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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