膀胱瘤の初期症状は?進行するとどうなる?原因・検査・治療法 - 銀座リプロ外科
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膀胱瘤の初期症状は?進行するとどうなる?原因・検査・治療法

日頃から頻尿や尿の出にくさなどの症状を抱えており、原因や解決策を知りたいとお考えではありませんか。

排泄トラブルのほか「股間に何か挟まっている感じがする」といった違和感があるなら、膀胱瘤の可能性が高いでしょう。膀胱瘤は、出産を経験した女性や高齢の方が発症しやすい疾患で、骨盤底筋の緩みが原因で起こります。

本記事では、膀胱瘤の症状や原因を詳しく解説します。実践しやすい治療法も紹介するので、日頃感じている不安やストレスを解消し、イキイキと生活したい方はぜひ参考にしてください。

 

膀胱瘤の初期症状は?

膀胱瘤を発症すると、以下のような初期症状を感じるようになります。

  • 股のあたりが下に引っ張られるような感じがする
  • 股の間に何かが挟まっている感じがする
  • 入浴時に腟に触れると小さな玉がある
  • 夕方になると股の異物感が強くなる
  • 咳やくしゃみをすると尿漏れする(腹圧性尿失禁)

膀胱瘤は、緩んだ骨盤底筋が膀胱を支えられず、腟から出てきてしまう疾患です。「なんとなくいつもと違う」といった曖昧な感覚から始まり、軽度のうちは腟から出てきた膀胱が短時間で引っ込むため、違和感があっても放置しがちです。

膀胱瘤は放置していると進行する恐れのある疾患で自然治癒はしないため、早期発見が推奨されます。違和感を覚えた時点で、自己判断せずに受診しましょう。

 

膀胱瘤の進行により起こる症状

膀胱瘤の症状が進むと起こる主な症状は、以下のとおりです。

  • 排尿障害
  • 膀胱炎
  • 排便困難
  • 性交痛
  • 歩行困難

病状の進行により、排尿や排便でストレスを感じる瞬間が多くなり、生活の質が下がりかねません。膀胱瘤の症状を理解し、早めの対策で悪化を防ぎましょう。

排尿障害

排尿障害は、膀胱瘤が進行すると表れる以下のような症状です。

  • トイレが近い
  • 尿が出にくい
  • 残尿感がある
  • 尿失禁が起こる

膀胱が正常な位置から逸脱して尿道を圧迫したり、腟側に脱出した部分に尿が溜まったりすることで起こります。残尿が増えるため、少しの水分摂取で膀胱が満杯になり、頻尿や切迫性尿失禁のリスクが高い状態です。

切迫性尿失禁とは、突発的な強い尿意を感じ、トイレまで我慢できず尿漏れしてしまうことです。

排尿障害があると、「人前で尿漏れしたらどうしよう」「落ち着いて外出できない」といった心理状態に陥る可能性が高くなります。生活の質を落とさないためにも、膀胱瘤の早期治療が重要です。

膀胱炎

膀胱瘤により残尿の頻度が高くなると、膀胱炎を発症しやすくなります。重度の膀胱瘤を患っている方の体は、尿道が常に圧迫されて排尿しにくかったり、脱出した膀胱の中に出しきれない尿が溜まっていたりする状態です。

古い尿が残っていると細菌が急速に増殖し、膀胱炎を引き起こす場合があります。女性は尿道が短く感染が起きやすい構造なので、特に注意が必要です。

膀胱炎の悪化は、腎臓の炎症につながる場合もありますが、なかなか人に相談できず、重症化してから受診する方が少なくありません。治療が遅れると改善するまでに時間がかかりやすくなるため、膀胱炎の症状に気づいたら早めに泌尿器科へ相談しましょう。

排便困難

膀胱瘤と直腸瘤を併発すると表れる症状の1つが、排便困難です。膀胱のみではなく複数の骨盤内臓器が下垂するケースは多くあり、骨盤臓器脱という総称で呼ばれます。

排便困難は、直腸瘤の代表的な症状です。直腸瘤では、直腸の一部が腟のほうへ落ち込み、膨らんだ部分に便が入り込んでしまい、肛門から排出されにくくなってしまいます。

便意があるにもかかわらず、スムーズに排便できないことは、大きなストレスになりかねません。

性交痛

膀胱瘤の症状として、性交時の違和感や痛みが挙げられます。性交中に「腟の奥で何かに当たるような感覚がある」といった症状がある場合は、膀胱瘤を疑ってください。

性行為が可能なうちは軽度の可能性が高く、自覚症状は違和感程度です。症状が進行すると、性交時に下垂した膀胱が腟の壁に当たり、摩擦や痛みを感じたり、出血したりするケースもあります。

膀胱瘤の症状が自然に改善することはないため、徐々に性行為を避けるようになり、パートナーとの関係が悪化する要因になるかもしれません。性交時にいつもと違う違和感や痛みが気になる方は、早期に医師へ相談してください。

歩行困難

歩行困難は、膀胱瘤が重症化した場合に表れる症状です。

初期には膀胱が出たり入ったりするため、腟から脱出している時間が短く、生活への影響が少なく済むでしょう。

しかし、症状が進行すると、常に膀胱が腟から飛び出ている状態になり、歩行時に下着と擦れて痛みや出血を引き起こします。痛みや出血により歩くこと自体がつらくなり、仕事や家事などの動きや日常動作に制限がかかるリスクもあるため、すみやかな対処が大切です。

 

膀胱瘤の原因

膀胱瘤の主な原因としては、以下の4つが挙げられます。

原因
骨盤底筋への影響
加齢
エストロゲン(女性ホルモン)が減少して骨盤底筋が衰える
経腟分娩による出産
胎児が産道を通る際に骨盤底筋が伸びたり傷ついたりする
慢性的な疾患
咳や便秘による排便時の強い力みは骨盤底筋を弱める
腹圧
重い物を持つ習慣・長時間の立ち仕事が骨盤底筋に負荷をかける

 

腟の違和感や排尿・排便トラブルがあり、原因にも当てはまる方は、膀胱瘤の可能性が高いため、医療機関での受診を検討しましょう。

 

膀胱瘤の検査方法

膀胱瘤の検査は、以下の方法を組み合わせて実施されます。

  • 問診・触診
  • 残尿・尿流量検査
  • チェーン膀胱造影検査
  • 超音波検査
  • CT検査

軽度の膀胱瘤は、腹圧をかけた際の膀胱の突出具合を確認します。

チェーン膀胱造影検査とは、骨盤底筋や膀胱・尿道の下垂の状態を調べる検査です。尿道にチェーンと造影剤を入れて行われます。女性は尿道が短く、通常の造影検査では下垂状態を評価しにくいため、有効な検査といわれています。

CT検査では、尿が溜まった状態での膀胱の位置や、ほかの臓器が脱出していないかを確認可能です。

 

膀胱瘤の治療法①|手術

膀胱瘤の治療で行われる主な手術は、以下のとおりです。

メッシュ使用
経腟メッシュ手術(TVM手術)
腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)
ロボット支援下仙骨腟固定術(RSC/RASC)
メッシュ不使用
腟閉鎖術

 

メッシュは、下垂した臓器を骨盤内の正しい位置に保持する役割を果たします。

術後は、時間の経過とともに組織がメッシュの網目に入り込むため固定力が安定するうえ、傷の痛みが少ない点が特徴です。一方で、出血・びらんなどのリスクがあることに注意が必要です。

腟閉鎖術には、術後に性交渉ができなくなるデメリットがあります。

手術方法を検討する際は、メリット・デメリットを把握し、医師と相談しながら決めることが大切です。

 

膀胱瘤の治療法②|保存的治療

膀胱瘤の保存的治療は以下の3つで、すべての骨盤臓器脱に効果的です。

  • 骨盤底筋体操
  • ペッサリー療法
  • フェミクッションの使用

手術が難しい方でも、日常的に実践できる膀胱瘤の治療法を紹介します。複数の臓器が脱出している状態の方でも、諦めずに対処しましょう。

骨盤底筋体操

骨盤底筋を鍛える体操は、軽度の膀胱瘤の症状改善が期待できる治療法の1つです。

骨盤底筋体操は、以下のように進めます。

  1. 仰向けになり両膝を立てて肩幅に開く
  2. 尿道・肛門・腟にゆっくりと力を入れて10秒間静止する
  3. 力んだ筋肉をゆっくりと緩めて元の状態に戻す

締めたり緩めたりする動作を10回繰り返し、1日5セットを目標に行なってください。効果が表れるまでには3週間から数か月程度がかかるといわれているので、毎日欠かさずに継続することが大切です。

動作に慣れてきたら、椅子に座っている状態や立った姿勢でも実践できます。テレビを見ているときやデスクワークの途中などに行いましょう。

ペッサリー療法

膀胱瘤の保存的治療では、ペッサリー療法を勧められる場合があります。ペッサリー療法とは、腟内にリングを入れて、脱出した臓器を正常な位置に戻す治療法です。

ペッサリーを入れて膀胱の位置が正常に戻ると、尿が出にくい症状が改善されます。ただし、潜在的に腹圧性尿失禁の症状があり、膀胱瘤により抑えられていた方は、尿が漏れやすくなる可能性があるため注意してください。

ペッサリーの使用には、以下のようなデメリットもあります。

  • 挿入時の痛み
  • リングの脱落
  • 定期的な通院
  • 感染リスク増大

ペッサリーによるトラブルを減らすには、自身に合った形・サイズの使用と適切な管理が欠かせません。

フェミクッションの使用

フェミクッションの使用は、膀胱瘤の保存的治療に有効な方法です。フェミクッションとは、膀胱瘤をはじめとするすべての骨盤臓器脱の治療に対応した医療機器です。

臨床研究では、フェミクッションの装着により、脱出した臓器が高い位置で支えられ、症状が改善したという報告があります。腟口にクッションを当てることで効果が見られ、体内に入れるペッサリーとは違い、痛みや感染症などのリスクがほとんどありません。

装着時の不快感も少なく、仕事や家事などの活動時にも不安なく使用可能です。骨盤底筋体操と組み合わせると、膀胱瘤の進行を抑える効果が高まります。

「膀胱瘤を治療したいけど、手術やペッサリーは怖い」という方には、フェミクッションの使用がおすすめです。

 

膀胱瘤の症状にお悩みの方はフェミクッションを

膀胱瘤の症状にお悩みの際は、フェミクッションの使用を検討しましょう。

フェミクッションはクッション・ホルダー・サポーターの3つで構成されており、すべてご自宅で洗えます。クッションには、S・M・Lの3サイズがあります。

サポーターの種類も複数あり、ジッパーで開け閉めできるタイプや、面ファスナーで簡単に着脱可能な形状などからお好みで選択可能です。下着のようなデザインのため、人の目を気にせずに治療を続けられるでしょう。

膀胱瘤の悩みを解消し、快適な毎日を過ごしたい方は、ぜひ一度フェミクッションを試してください。

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この記事の執筆医師

永尾 光一 先生

永尾 光一 先生

一般社団法人日本精索静脈瘤協会 理事長
医療法人社団マイクロ会 理事長
銀座リプロ外科 院長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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