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男性不妊の検査とは?検査の種類や手順、費用について

男性不妊に関してご存じでしょうか?夫婦で不妊の問題を抱えている場合、約5割は男性側にも問題があることが、WHOの調査で指摘されています。

子どもを望んでいる夫婦にとって、不妊は深刻な問題です。今回は、男性不妊の検査では何をするのか、検査の種類や費用、手順についてまとめました。

不妊を疑っている方や検査を希望している方は、ぜひ参考にしてください。

 

男性不妊の検査とは?

WHO(世界保健機構)が1998年に行った不妊症原因調査では、次の調査結果が判明しました。

【夫婦における不妊の原因】

女性に問題がある 41%
夫婦ともに問題がある 24%
男性に問題がある 24%
不明 11%

 

男性にも不妊の問題があるのは「夫婦ともに問題がある」の24%と、「男性に問題がある」の24%を合わせた48%と、約半数に上ります。

不妊というのは、妊娠を望む男女が避妊をせずに性交をしているにも関わらず、子どもを授かれない状態を指します。一般的に1年経過しても授からない場合を「不妊」ととらえます。

約半数は男性にも問題があるので、不妊症の検査は女性だけでなく、男性も受けるようにしましょう。男性の不妊症の検査は大きく2つに分かれます。

精液検査

精液を採取し、精液量や精子の運動率など、妊娠に必要な働きをしているかを検査します。

泌尿器科的検査

精巣・精巣上体・精管・精索静脈瘤の検査をします。

 

精液検査と泌尿器科的検査について詳しく確認しましょう。

 

精液検査

精液検査では精子に関して次の内容が調べられます。

検査項目 下限基準値
精液量 1.4ml以上
精子濃度 1600万/ml以上
総精子数 3900万/射精以上
全身運動率 32%以上
総運動率 40%以上

 

上記は、2021年にWHO(世界保健機構)が10年ぶりに改訂した精液検査における指標です。

精液検査は1つの項目ではなく、さまざまな要素から総合的に精子の質を調べます。自然妊娠において、精子が着床するのに足る機能が発揮できているかは重要なポイントです。

精液検査について、身体的・精神的な負担を心配する方もいるでしょう。精液検査をする手順を簡単にまとめました。

  1. 3日の禁欲期間を設ける
  2. 検査の30分前にマスターベーションで精液を採取する
  3. 精液の検査をする

精液の採取は自宅で行える場合もありますが、検査前30分以内に採取し、保温して搬送する必要があります。そのため病院での採取が推奨されている場合が多いです。

また、精液の状態は男性の体調などの影響で変化します。1回の検査で良くない結果が出た場合は再検査が推奨されます。精液の状態が悪くなる原因として、次の習慣が挙げられます。

  • 喫煙
  • 不規則な生活(不眠・ストレス)
  • 風通しの悪い下着を履いている(陰部が温まっている)
  • 肥満
  • 長風呂・サウナ

これらの原因の多くは、普段の生活スタイルが原因ともいえます。不妊の問題に悩んだら、パートナーとも相談のうえで生活スタイルを見直し、良い精子が作られやすい環境を整えましょう。

特に喫煙の習慣は、妊娠した後も副流煙などで妊婦や胎児に良くない影響を及ぼします。子どもを望んでいる場合は早期に禁煙するようにしましょう。

 

泌尿器科的検査

泌尿器科の検査では次の項目を確認します。

診察

陰嚢の視診・触診で、陰嚢の腫れや形態異常・精巣サイズ・精巣上体の所見・精管触知の有無や太さ等を観察します。

超音波(エコー)検査

陰嚢・精索・精巣をエコーで検査します。精巣腫瘍・精液瘤・精巣水瘤・精巣上体管拡張・精索静脈瘤を検査します。

内分泌検査(採血)

男性ホルモン(テストステロン)や性腺刺激ホルモン(LH、FSH)を調べます。精巣機能(精子を作る機能と男性ホルモンを作る機能)が分かります。

染色体・遺伝子検査(採血)

精子数が少ない場合や、無精子症の方の原因として染色体に異常がある場合があります。染色体やY染色体の遺伝子検査の結果を確認してから、精巣内から精子を採取する方法を提案できます。

 

検査費用

当院の検査費用はこちらです。

【泌尿器科的検査】
■5,500円~

どちらの検査も、検査費用の他に初診料や再診料がかかります。

詳細は費用についてをご覧ください。

 

男性不妊の原因、精索静脈瘤とは

男性不妊の原因、精索静脈瘤とは

男性不妊の原因の約半数が精索静脈瘤だといわれています。
精索静脈瘤は、精巣と心臓をつなぐ静脈がうっ滞するなどして血流が滞り、本来心臓へと流れる血液が逆流する状態を指します。血液が逆流し、精巣へ流れるため精巣や陰嚢が温まるため健康な精子を作りづらい環境になります。
また、老廃物も流れ着きやすく、精巣の低酸素状態も引き起こします。結果として精子を作る環境が悪くなっている可能性があります。精索静脈瘤と診断されたら早期に治療を行うと良いでしょう。

精索静脈瘤は治療が可能な病気です。適切な治療を行えば精子の状態が改善される見込みがあります。精索静脈瘤は検査のうえで重症度を決定します。軽い症状であればコエンザイムQ10、亜鉛、Lカルニチンなどの服薬をお薦めしています。

重症度が高く、根本的な治療を望まれている場合は外科手術をお勧めします。日帰りで行える手術なので身体的な負担も少ないのが特徴です。

 

精索静脈瘤の治療

精索静脈瘤の根本的な治療として、外科手術があります。
こぶができた静脈を結紮(しばる)して、他の部位に影響が出ないようにする手術です。
当院で行っている精度の高いナガオメソッドでは、精索静脈瘤の手術で精液所見の改善が87%の方に見られました。

ナガオメソッドでは一般の低位結紮法とは違い、精索を引っ張り出したあとは神経やリンパ、静脈を一本ずつ調べ、静脈瘤ができている逆流静脈のみ結紮します。また、ナガオメソッドでは、内精逆流静脈だけでなく、外精逆流静脈も結紮するので再発率がきわめて低くなっています。その結果、精子を作る機能や男性ホルモンを作る機能の改善が期待できます。

一般的な低位結紮法では、正常に機能している動脈・リンパ管・神経もまとめて結紮してしまうため、その結果、精巣水瘤(陰嚢水腫)や血流悪化・痛みなどの合併症を引き起こす可能性があります。一方で、まとめて結紮する分比較的手術がしやすく、短時間で終わるのが特徴です。

また、肉眼的高位結紮術と呼ばれる方法もあります。肉眼的高位結紮術は研修医でも行える難易度の低い手術です。腹部を横に切開し、後腹膜腔に達してから精巣静脈を結紮します。精巣水腫の合併症を引き起こす可能性があります。また、外精(逆流)静脈が残ってしまうので再発のリスクが高くなります。全身麻酔なので2-3日の入院が必要で、退院後3週間は腹部が動くような運動を控える必要があります。

ナガオメソッドの施術は20年以上、計9000例の実績があり、永尾医師をはじめ、数名の医師のみが行える施術です。再発率が0.5%、合併症のリスクも少ないので、精索静脈瘤の手術を検討されている方は一度当院にてご相談ください。

精索静脈瘤の手術に関して詳しくはこちらをご覧ください。

 

まとめ

不妊の問題を抱える夫婦で、男性に問題がある場合は48%です。更に、男性不妊の根本的な治療が可能なのが49%もあり、その多くが精索静脈瘤です。奥様の負担を軽減するためにも精索静脈瘤の検査と適切な治療が必要です。
銀座リプロ外科では、初診時に手術の予約・お急ぎの方には初診・同日手術も可能です。ぜひ一度当院にお越しください。

この記事の執筆医師

永尾 光一 先生

永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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