ペッサリーによる痛みの原因や改善策|骨盤臓器脱治療の選択肢も紹介 - 銀座リプロ外科
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ペッサリーによる痛みの原因や改善策|骨盤臓器脱治療の選択肢も紹介

骨盤臓器脱の治療でペッサリーを使用しており、「痛みや違和感があってつらい」とお悩みではありませんか。

ペッサリーは骨盤臓器脱の症状緩和に役立ちますが、装着位置のズレや長期使用により、痛みや排尿トラブルが起こることもあります。

本記事では、ペッサリーで痛みが起こる原因をわかりやすく解説し、正しい装着方法のポイントを紹介します。ペッサリー以外の治療法も取り上げるので、自身に合った方法を選び、快適な毎日を取り戻すための参考にしてください。

 

ペッサリー装着時の痛みの原因

ペッサリー装着時に痛みがある場合は、以下の原因が考えられます。

  • サイズや形状の不適合
  • 装着位置のズレ
  • 腟壁のただれ
  • 感染による炎症
  • 腟口の炎症
  • 瘻孔(腟壁に穴があいた状態)

ペッサリーは骨盤臓器脱の症状を和らげるために使う医療器具ですが、異物を体に挿入するので、痛み・違和感のリスクは避けられません。長期間使い続けると、圧迫による炎症や、腟炎・尿路感染症で痛みが出る場合もあります。

少しでも痛みや違和感を覚えたら、放置せず原因を特定して対処しましょう。

 

ペッサリー装着時の痛みを軽減する方法

ペッサリー装着時の痛みを軽減する方法は、以下のとおりです。

  • 医療機関に相談する
  • ペッサリーのサイズや形状を見直す
  • 自己脱着を練習する
  • ペッサリーを清潔に保つ

少しの痛みでも、放置すると症状が重くなりかねません。「仕方がない」と諦めず、痛みを軽減できる方法を試しましょう。

医療機関に相談する

痛みを感じた時点で、ペッサリーを処方した医療機関に相談してください。病院では、医師が腟粘膜の状態や装着位置をチェックし、必要に応じて薬の処方やペッサリーのサイズ・形状の変更を行います。

痛みとともに出血や悪臭をともなうおりものがある場合は、感染症が疑われるため、特にすみやかな受診が必要です。「次の受診まで待とう」と痛みを我慢し続けると、症状が徐々に悪化してしまう恐れがあります。

症状が軽くても自己判断はせず、早めに病院へ行きましょう。

ペッサリーのサイズや形状を見直す

圧迫・ズレは痛みの原因となるため、自分に合ったサイズや形状のペッサリーを使用することが重要です。

ペッサリーが大きすぎれば圧迫痛、過度に小さいと脱失、ズレで痛み・違和感が生じます。リング型や皿型など、形状によっても装着感は変わるため、合わないと感じた際は医師に相談して見直しましょう。

体に合ったペッサリーのサイズは、年齢とともに変化することもあります。以前は問題なく使えていたにもかかわらず、閉経後は腟粘膜が薄くなったり、腟壁が萎縮したりして抜け落ちやすくなったというケースも多く見られます。

定期的に医師と相談し、現段階で適切なサイズや形状のペッサリーを選びましょう。

自己脱着を練習する

自己脱着でペッサリーを管理する方法を選び、専門家の指導を受けたうえで適切な位置に装着できるよう練習することも、痛みを軽減させる手段の1つです。

ペッサリーのズレを調整し、以下のポイントを押さえた適切な位置に収まれば、圧迫や擦れを防げ、痛みの軽減が期待できます。

  • 不快感がない
  • 咳をしたり立ち上がったりした際にも抜け落ちない

自己脱着の習得により、外出先でズレた際にもすぐに調整でき、トラブル予防につながります。必ず清潔な手で扱い、粘膜の負担が気になるなら潤滑剤を活用してください。

自己脱着する場合、ペッサリーは基本的に日中に装着し、夜は外します。毎日取り外し・洗浄をするので、腟内の衛生状態を保ちやすくなるでしょう。装着時間の短縮により、腟粘膜の長期間圧迫による炎症・痛みも防げます。

ペッサリーを清潔に保つ

ペッサリー使用中の痛みは、腟内を清潔に保てていないことによる感染症が原因の1つとして考えられます。ペッサリーを腟内に長時間留置している状態は、細菌が繁殖しやすい環境です。

以下のポイントを守って衛生面に注意すると、感染予防につながります。

自己脱着する場合
毎晩取り外して石鹸で洗ってよく乾かす
病院で脱着する場合
医療機関で定期的に交換してもらう

 

自身で脱着する方も、定期的に通院し、腟内の状態確認とペッサリー交換をしてもらいましょう。

すでに痛みや悪臭をともなうおりものがあり、感染が疑われる方は、抗生剤を処方してもらい、症状を抑えることが必要です。

 

ペッサリーには痛み以外の欠点もある

ペッサリーは、痛みのほかに以下のような欠点もあります。

  • 定期的な通院が必要である
  • 尿漏れしやすい
  • おりものの増加や悪臭が生じる
  • 思わぬタイミングで外れることがある
  • 自己脱着が難しい

手術を避けたい方にとっては魅力的な選択肢に感じられるものの、きめ細かな管理ができない場合はデメリットが多い方法だといえます。

定期的な通院が必要である

ペッサリーを安全に使用するには、感染予防対策や適切なサイズの確認のために、定期的な診察とケアが欠かせません。適切な通院頻度は、ペッサリーの管理方法によって以下のように異なります。

自己脱着する人
3~6か月ごと
病院で脱着する人
2~3か月ごと

 

受診では腟内の様子も確認してもらえるため、炎症があっても即座に治療を受けられます。

定期的な通院を怠ると、感染症や粘膜の傷に気づかず悪化する恐れがあり、必ず医師の指示に従うことが必要です。しかし、1人で外出できなかったり移動手段が限られていたりする場合、頻繁な通院は難しく、治療の中断につながってしまうでしょう。

尿漏れしやすい

骨盤臓器脱のなかでも子宮脱や膀胱瘤の患者さんは、ペッサリーの装着により尿漏れしやすくなることがあります。

子宮脱や膀胱瘤では、尿道も一緒に下垂しているケースが多く見受けられます。初期に尿漏れがあっても、病状が進行して尿道が圧迫されると、尿が出にくくなったり、排尿できない尿閉になったりするでしょう。

ペッサリー装着により、下垂した臓器が支えられて正常な位置に戻るものの、尿道周辺の圧迫が解消され、隠れていた尿漏れが起きやすくなります。

ペッサリー使用にともなう尿漏れを防ぎたいなら、骨盤底筋の筋力を上げるといった、ほかの対策も並行することが求められます。

おりものの増加や悪臭が生じる

腟内の環境が変化し、おりものが増えたり悪臭をともなったりすることも、ペッサリーの欠点です。おりもの過多と悪臭を引き起こす原因は、以下のとおりです。

  • 粘膜の損傷
  • 雑菌の繁殖
  • ペッサリーの不適切な管理

病院で脱着する方は数か月の間ペッサリーを挿入したままになるため、同じ部位が圧迫され、粘膜が傷つくリスクが高いといえます。粘膜の損傷を放置すると、細菌性腟炎や腟内の炎症が起こり、症状が悪化しかねません。

おりものトラブルの予防には定期的な腟内の状態確認やペッサリー交換が重要なため、医師から指示された通院頻度を守ってください。ペッサリーを自己脱着する方は、清潔に保つことを忘れずに管理しましょう。

思わぬタイミングで外れることがある

ペッサリーは、以下のような腹圧がかかる動作をきっかけに外れてしまうことがあります。

  • くしゃみ
  • 重い物を持ち上げるとき
  • 排尿・排便時
  • 運動

外出先で外れると再装着が必要になり、困ることもあるでしょう。いつでも慌てずに再装着できるよう練習しておくことが大切です。

あまりにも頻繁に外れる場合は、ペッサリーのサイズが合っていない、もしくは適切な位置に装着できていない可能性があります。医療機関に相談しつつ、サイズや形状を見直すことが必要です。

サイズ調整や正しい装着練習で、ペッサリーを外れにくくできます。しかし、日常生活のなかで決して外れないようにすることは困難です。「外出先で外れるのは心配」という方は、ほかの治療法への変更を検討しましょう。

 

ペッサリー以外の骨盤臓器脱の治療法

ペッサリー以外で骨盤臓器脱を治療したい場合は、以下の方法があります。

  • 手術
  • 骨盤底筋体操
  • フェミクッションの装着

骨盤臓器脱の根本的治療は手術のみですが、自身でできるケアも選択可能です。生活への取り入れやすさも考え、適切な治療法を選びましょう。

手術

骨盤臓器脱を根本的に改善できる方法が手術です。術式には以下の種類があり、持病の有無や年齢、本人の希望に沿って選択されます。

術式
手術内容・特徴
腟式子宮全摘術
腟断端固定術
腟壁形成術
  1. 腟から子宮を摘出する
  2. 靭帯に腟断端を固定する
  3. ゆるんだ腟壁を整える
腟閉鎖術
  • 下垂した腟を縫合して閉鎖する
  • 子宮を摘出する方法もある
経腟メッシュ手術
(TVM手術)
  1. 腟からメッシュを挿入する
  2. ハンモック状に臓器を支えて下垂を防ぐ
腹腔鏡下仙骨腟固定術
(LSC)
腟壁とメッシュを仙骨に固定して吊り上げる

 

手術で合併症が起こったり、再発したりする可能性もあります。費用や入院期間、生活への影響を含め、医師と十分に相談したうえでの決断が重要です。

骨盤底筋体操

骨盤底筋体操は、骨盤内の臓器を支える筋肉を鍛えて症状の軽減を目指す方法です。軽度の骨盤臓器脱や、手術後の再発予防に効果的とされます。

骨盤底筋体操は、以下の流れで行いましょう。

  1. 肛門や腟を意識的に10秒間ギュッと締める
  2. 10秒かけてゆっくりゆるめる
  3. 1と2の動作を10回繰り返す

誤ってお腹に力を入れると腹圧が高まって骨盤底筋へのダメージとなり、逆効果になる恐れがあります。専門家から正しいフォームの指導を受け、効率的に鍛えることが重要です。

骨盤底筋体操に即効性はないものの、リスクの心配もありません。継続により筋力が向上すれば、骨盤臓器脱の症状軽減や尿漏れ・便秘などの排泄トラブル改善も期待できます。

フェミクッションの装着

ペッサリーによる痛みに悩んでいる方には、フェミクッションでの骨盤臓器脱治療がおすすめです。

フェミクッションは、外陰部からやさしく骨盤内の臓器を支える医療機器で、体に挿入せずに症状を和らげられることが特徴です。下着のようなデザインのため、外出や友人との旅行の際にも目立ちにくいでしょう。

フェミクッションは、以下のような方に向いています。

  • 持病の関係で手術が難しい
  • 手術したけど再発した
  • ペッサリーの痛みに悩んでいる
  • ペッサリーが脱出してしまう
  • 合併症や感染症のリスクを避けたい
  • 通院・入院が難しい
  • 自宅でケアしたい

腟口に直接当たるクッションは、やわらかいシリコンゴムで作られており、座る・立つ・歩くといった日常動作を妨げません。洗って繰り返し使用でき、衛生的に保てます。

 

ペッサリーによる痛みにお困りならフェミクッションを

ペッサリーによる痛みが気になる方は、フェミクッションを試しましょう。

ペッサリーは骨盤臓器脱の症状を和らげる有効な医療器具ですが、長期間の装着による痛み・違和感に悩む方が多く見られます。

フェミクッションはペッサリーと異なり、腟内に挿入する必要はありません。痛みや感染リスクを避けられ、日常生活に取り入れやすいことが魅力です。自宅にいながらオンラインで注文できるので、病院に行かなくても気軽に治療を始められます。

生活の質を保ちつつ骨盤臓器脱の症状を和らげる手段の1つとして、フェミクッションの購入をぜひご検討ください。

フェミクッションで痛みがない骨盤臓器脱治療を試してみる

この記事の執筆医師

永尾 光一 先生

永尾 光一 先生

一般社団法人日本精索静脈瘤協会 理事長
医療法人社団マイクロ会 理事長
銀座リプロ外科 院長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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