「急にトイレに行きたくなり、漏れてしまうことがある」といった悩みを抱えていませんか。
切迫性尿失禁は、突然強い尿意に襲われてトイレまで我慢できない状態で、膀胱の過活動や神経系の異常、骨盤底の支持性低下などが原因で起こります。誰にも相談できず、「失禁が不安で人付き合いや外出を控えている」という方もいるでしょう。
本記事では、切迫性尿失禁の原因に加え、検査法・治療法を詳しく解説します。尿漏れの不安を軽減したい方は、ぜひ最後までお読みください。
切迫性尿失禁とは?
切迫性尿失禁とは、突然強い尿意を感じ、トイレまで我慢できずに尿が漏れてしまう状態です。
・夜間に何度も排尿のために起きる
・冷水に触れる・鍵を開ける音を聞くと急に尿意をもよおす
・自分の意思とは関係なく失禁する
以上のような経験がある方も、切迫性尿失禁の可能性があります。
尿失禁の種類|切迫性尿失禁との違いを知ろう
病態に応じて分けられている尿失禁の種類は、以下のとおりです。
尿失禁の種類 | 病態 |
---|---|
切迫性尿失禁 | 強い尿意が急に起こってトイレまで我慢できずに漏れる |
腹圧性尿失禁 | 咳・くしゃみ・運動などで腹圧がかかると漏れる |
混合性尿失禁 | 切迫性と腹圧性の両方の症状がある |
溢流(いつりゅう)性尿失禁 | 残尿が膀胱の容量を超えて尿が少しずつ溢れ出る |
機能性尿失禁 | 身体的・認知的な障害でトイレに間に合わない |
症状によって対処法が異なるので、自身が尿漏れしてしまう状況を把握・記録しておくと受診の際に役立ちます。
切迫性尿失禁の原因
切迫性尿失禁を引き起こす代表的な原因は、以下のとおりです。
1.膀胱の過活動
2.神経系の病気
3.骨盤臓器脱
4.加齢・ストレス・膀胱や尿管の病気
自身に思い当たる病気や行動がなくても起こりえるため、適切に対策できるよう、切迫性尿失禁の原因について理解を深めましょう。
1. 膀胱の過活動
切迫性尿失禁は、過活動膀胱という病気の症状の1つとして起こることがあります。過活動膀胱とは、尿がたまっていなくても膀胱が勝手に収縮してしまう状態です。
本来、膀胱は尿が十分にたまるまでは収縮しないよう、神経によってコントロールされています。しかし、膀胱の弾力や周辺組織の機能の低下といった要因があると、少量の尿でも収縮してしまい、突然の尿意と失禁が起こります。
過活動膀胱を患う方は年齢を重ねるにつれ増加し、多くの高齢者が悩む症状の1つです。
2. 神経系の病気
脳や脊髄といった神経系の病気も、切迫性尿失禁の原因の1つです。以下のような病気やケガで尿意や排尿をコントロールする神経が障害されると、膀胱の収縮をうまく制御できなくなり、失禁につながります。
・脳卒中(脳梗塞・脳出血)
・パーキンソン病
・多発性硬化症
・脊髄損傷
・糖尿病による神経障害
神経系の病気を完全に治すことは難しく、パーキンソン病や多発性硬化症のように進行する疾患も多くあります。神経の異常による切迫性尿失禁の治療では、排尿の状態を適切に評価したうえで、薬物療法や骨盤底筋トレーニングでの対症療法を試すことが一般的です。
3. 骨盤臓器脱
骨盤臓器脱も、切迫性尿失禁の原因として挙げられます。骨盤底の筋肉や靱帯のゆるみにより、骨盤内にある臓器(子宮・膀胱・直腸など)の位置が下がり、腟から体外へ出てしまう病気が、骨盤臓器脱です。
骨盤臓器脱では、膀胱が腟のほうに下がったり、下垂したほかの骨盤内臓器に圧迫されたりすることがあります。骨盤内臓器の位置の変化により、膀胱の動きや排尿反射に異常が生じることが、尿意のコントロールが困難になる原因です。
骨盤底筋がゆるんだ状態では、強い腹圧に膀胱が耐えられないため、切迫性尿失禁だけでなく腹圧性尿失禁も併発するケースがあります。
尿失禁のほかに、下腹部の違和感や腟から何かが出てくるような感覚がある場合は、骨盤臓器脱が原因となっている可能性を疑いましょう。
4. 加齢・ストレス・膀胱や尿管の病気
以下のような要因も、切迫性尿失禁発症のリスクとなりえます。
要因 | 詳細 |
---|---|
加齢 |
・膀胱の弾力性や筋力が低下して尿をためにくくなる ・神経の働きの鈍りにより尿意のタイミングがずれる |
ストレス | 自律神経の乱れが膀胱の異常収縮を引き起こす |
膀胱炎 | 炎症によって神経が過敏になると少量の尿でも尿意を感じる |
尿路結石や腫瘍 | 膀胱・尿管内の異常が刺激となることがある |
切迫性尿失禁は、体の不調だけでなく心理的要因によっても起こります。原因が1つとも限らないため、生活習慣・環境や体調にも注意しながら対処することが大切です。
切迫性尿失禁の症状
切迫性尿失禁の代表的な症状は、以下のとおりです。
症状 | 詳細 |
---|---|
尿意切迫感 | 我慢できないほどの強い尿意を急に感じる |
失禁 | トイレまで我慢できず尿が漏れる |
頻尿(ひんにょう) | 1日に8回以上排尿する |
夜間頻尿 | 夜中に1回以上起きて排尿する |
誘発される尿意 |
以下のような日常のささいな刺激で尿意を感じる ・解錠時・蛇口の水の音を聞く ・冷たい水に触れる |
症状には個人差があり、「尿意が急に来るけど、なんとかトイレに間に合う」といった軽度の人もいれば、毎回のように漏れてしまう方もいます。当てはまる症状がある場合は、泌尿器科や女性泌尿器科で診察を受けましょう。
切迫性尿失禁の検査法
切迫性尿失禁の原因を明らかにし、ほかのタイプの尿失禁と区別するために、以下のような検査が行われます。
検査法 | 詳細 |
---|---|
問診 | 既往歴や生活パターンを確認する |
排尿日誌 | 排尿の回数・失禁のタイミング・尿量などを記録する |
尿検査 | 膀胱炎や尿路感染症の有無を確認する |
残尿量測定 (超音波検査) |
排尿後の膀胱内に残る尿の量を測定し、排尿障害や神経系の異常がないかを確認する |
内診 | 骨盤臓器脱の有無を確認する |
CT・MRI検査 | 膀胱や尿道に腫瘍や構造異常がないかを確認する |
内診とCT・MRI検査は、必要に応じて実施されます。各検査は比較的簡単に受けられ、外来で済むケースがほとんどです。早めに医師へ相談して症状の悪化を防ぎ、快適な日常生活を取り戻しましょう。
切迫性尿失禁の治療①|薬物療法
過活動膀胱と膀胱炎が原因の切迫性尿失禁には、薬物療法が試みられます。
原因が過活動膀胱の場合に用いられる薬は、以下のとおりです。
薬剤名 | 効果 |
---|---|
抗コリン薬 | 膀胱の筋肉(排尿筋)の過剰な収縮を抑える |
β3アドレナリン受容体作動薬 | 膀胱をゆるやかに拡張させて尿をためやすくする |
漢方薬 | 体質改善や膀胱の興奮抑制といった目的で補助的に使う |
薬の効果が出るまでには、2週間ほどかかるケースがあります。すぐに改善が見られない場合でも、医師の指示に従って継続することが大切です。
膀胱炎による切迫性尿失禁は、細菌を殺す抗生物質の内服で治療します。
切迫性尿失禁の治療②|行動療法
切迫性尿失禁の治療には、以下のような行動療法も効果的です。
・膀胱訓練
・骨盤底筋トレーニング
・摂取する水分に気をつける
・フェミクッション ハピネスの使用
自分で取り組めるうえに身体的なリスクも少ないため、高齢の方にも向いています。今日から取り入れられそうな項目があれば、さっそく試してみましょう。
膀胱訓練
膀胱訓練は、切迫性尿失禁に対する行動療法の1つです。尿意を感じてもすぐトイレに行かず、排尿間隔を少しずつ延ばす訓練を指します。
軽度の切迫性尿失禁の方は、以下の手順で膀胱訓練に取り組むと、膀胱にためられる尿の量を増やせるでしょう。
1.訓練前の排尿の間隔を把握する
2.尿意を感じたときにトイレに行くまで5~10分我慢する
3.我慢する時間を15分・20分のように長くしていく
4.排尿間隔が約3時間になることを目標にする
頻回な失禁をともなっている方には、薬物療法で症状を改善してからの導入をおすすめします。膀胱訓練がストレスにならないよう、無理のない範囲で取り組むことが大切です。
骨盤底筋トレーニング
切迫性尿失禁は、骨盤底筋トレーニングによっても症状軽減が期待できます。骨盤の底を支える骨盤底筋を鍛えることで尿道をしっかりと締める力をつけ、排尿をコントロールしやすくします。
肛門や腟、尿道をキュッと締めて10秒キープし、ゆっくりと力を抜いて10秒リラックスしてください。10回を1セットとし、朝晩1回ずつ行うところから始めましょう。慣れてきたら5セット以上を目標に、1日あたりの回数を増やします。
仰向けや、立ったり椅子に座ったりなど、行いやすい姿勢でトレーニングを実施します。
切迫性尿失禁の原因が骨盤臓器脱である場合は、骨盤底筋を鍛えることで、下腹部の違和感といったほかの症状の軽減も期待可能です。
摂取する水分に気をつける
切迫性尿失禁に悩んでいる方は、以下のポイントを参考に、水分摂取の方法を見直しましょう。
・1日の水分摂取量は約1.5~2Lにする(体重の2~2.5%)
・就寝前2時間は水分摂取を控える
・利尿作用のあるカフェイン・アルコールの摂取を控えめにする
「トイレが近いと思っていたら、水を飲みすぎていた」という方も多く見られます。1日の尿量が体重1kgあたり25~30mlを大きく超えている場合は、日中に飲んでいる水分の量が多すぎないかチェックしてください。
「尿漏れが心配だから」とあまり水を飲まない方もいます。しかし、水分摂取量が足りないと脱水や膀胱炎のリスクが高まるので、バランスを意識した調整が大切です。
フェミクッション ハピネスの使用
フェミクッション ハピネスの使用は、切迫性尿失禁の対処法として有効なうえ、手軽に始められます。
フェミクッション ハピネスは、骨盤底筋のトレーニング効果が見込めるケア用品です。特許を取得した、骨盤を下からサポートする構造で、骨盤底筋や尿道をしっかりと持ち上げます。
装着して動くことで、加圧トレーニング効果も期待可能です。特別なトレーニング時間を設ける必要がなく、買い物や散歩といった普段の動作がケアにつながります。骨盤底の支持性が低下し、骨盤内臓器が下垂して尿漏れが起きている方にもおすすめです。
フェミクッション ハピネスは、切迫性尿失禁に悩む方の生活の質を高める心強いアイテムなので、ぜひ活用しましょう。
切迫性尿失禁にはフェミクッション ハピネスがおすすめ
切迫性尿失禁にお悩みの方は、フェミクッション ハピネスをお試しください。
フェミクッション ハピネスは骨盤底筋を下から支え、トレーニング効果が期待できるフェムテック用品です。横から締め付ける骨盤ベルトとはまったく異なる構造で、尿漏れや骨盤臓器脱のリスク軽減が望めます。
ショーツの上から履くだけなので、スポーツや旅行、長時間のドライブなど、尿漏れが気になっていたシーンでも気軽に着用可能です。軽く伸縮性に優れた生地を用い、快適で続けやすい履き心地を実現しました。
切迫性尿失禁の不安を軽減し、毎日をいきいきと楽しむために、フェミクッション ハピネスをぜひお役立てください。
お問い合わせ・ご予約はこちら
〒104-0061 東京都中央区銀座2-8-19 FPG links GINZA 6F
この記事の執筆医師

永尾 光一 先生
一般社団法人日本精索静脈瘤協会 理事長
医療法人社団マイクロ会 理事長
銀座リプロ外科 院長
昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。
所属医療機関