女性の尿漏れ・尿失禁の原因7選|種類・治療法と放置するリスクとは
「最近トイレに間に合わないことが増えてきた」「くしゃみをした拍子に漏れてしまう」と、尿漏れに悩んではいないでしょうか。
年齢のせいだとあきらめて尿漏れ・尿失禁を放置すると、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。原因や症状によって対処法が異なるため、正しい知識を身につけましょう。
本記事では、尿漏れの主な原因と種類、治療法や放置するリスクをわかりやすく紹介します。尿漏れの悩みを少しでも軽くしたい方は、ぜひ参考にしてください。
尿漏れ・尿失禁の原因
尿漏れ・尿失禁は、以下のような原因によって起こります。
・骨盤臓器脱
・膀胱や神経の病気
・膀胱の機能低下
・過活動膀胱
・薬物治療や手術の影響
・肥満
・ストレス・不安
自身に合ったケアで快適な生活を取り戻すために、原因を正しく理解しましょう。
骨盤臓器脱
尿漏れの原因の1つは、骨盤臓器脱です。骨盤臓器脱とは、膀胱・子宮・直腸などの臓器が本来あるべき位置から下がり、腟の外に出てしまう病気です。臓器が膀胱や尿道を圧迫することで尿漏れが起きます。
骨盤臓器脱のリスクを高める要因は、以下のとおりです。
・妊娠・出産
・加齢
・長時間の立ち仕事
・重い物を持つ習慣
・慢性的な咳
・便秘
・肥満
尿漏れとともに「何かが落ちる感覚が下腹部にある」「夕方になると違和感が強くなる」といった症状に心当たりがあれば、骨盤臓器脱が疑われます。
骨盤臓器脱では、尿漏れだけでなく、頻尿や排尿のしにくさが表れることもあります。軽度であれば自分でケアできることも多いため、早めの対処が肝心です。
膀胱や神経の病気
膀胱炎や神経障害による排尿異常も、尿漏れの原因です。
膀胱炎を発症した場合は、膀胱が過敏になり、少量の尿でも強い尿意を感じやすくなります。炎症が悪化すると、排尿のタイミングをうまく調整できず尿漏れが起こることがあります。
膀胱炎の特徴的な症状は、排尿時の痛みや尿のにごりです。加齢とともに腟内の環境が悪くなったり、残尿が多くなったりすると膀胱炎が起こりやすくなります。
また、脳卒中やパーキンソン病、糖尿病などによって神経の働きが阻害されれば、膀胱や尿道をうまくコントロールできなくなります。「尿意があっても排尿できない」「トイレに行きたくないのに漏れてしまう」といった、排尿障害が起こることもあります。
尿漏れ以外の自覚症状がなくても、何らかの病気が隠れているかもしれません。気になる症状があれば、早めに病院で相談してください。
膀胱の機能低下
尿をためて排出するという膀胱の基本的な機能の低下も、尿漏れの原因となります。膀胱にたまった尿が少量でも頻繁にトイレに行きたくなったり、強い尿意を急に感じたりします。
健康な膀胱なら、尿が一定量たまると脳へ信号が送られ、自身の意思で排尿できます。しかし、以下のような要因で膀胱の機能が低下すると、排尿の仕組みが乱れ、尿漏れを引き起こします。
・加齢
・膀胱・骨盤周辺の筋力低下
・過去の病気・手術の影響
排尿の勢いの弱さや残尿感といった症状がある場合は、膀胱の働きが弱まっている可能性があります。膀胱機能の変化は「年齢のせい」と我慢しがちですが、放置せず適切にケアしましょう。
過活動膀胱
尿漏れは、過活動膀胱が原因で起こる場合もあります。過活動膀胱とは、膀胱に尿が十分にたまっていないにもかかわらず、急に強い尿意を感じる状態です。
症状には個人差があるものの、1日に10回以上トイレに行ったり、夜中に何度も目が覚めたりする方もおり、生活の質が著しく低下しかねません。
過活動膀胱の原因は、大きく以下の2種類に分けられます。
神経因性 |
・脳出血や脳梗塞の後遺症 ・パーキンソン病 |
---|---|
非神経因性 |
・加齢による膀胱機能の衰え ・膀胱や尿道などを支える骨盤底筋の衰え ・膀胱がんや膀胱結石 ・精神的ストレス |
原因ごとに適切な対応をすれば、症状の緩和が期待できます。骨盤底筋の強化や膀胱トレーニング、薬物療法などによる治療が一般的です。
薬物治療や手術の影響
以下のような薬や過去の手術の影響でも、尿漏れが起こりえます。
原因 | 具体例 | 尿漏れへの影響 |
---|---|---|
薬の副作用 |
・利尿薬 ・カルシウム拮抗薬 ・抗うつ薬 ・睡眠導入剤 |
・尿量が増えてトイレに間に合わない ・膀胱や尿道の筋肉がゆるむ ・反応が鈍くなり排尿タイミングを逃す |
骨盤周囲の 手術歴 |
・子宮の手術 ・直腸の手術 ・尿道スリング手術 ・尿道形成術 |
神経や筋肉が傷つき排尿を制御しにくくなる |
手術が原因の場合は、経過とともに症状が治まることもあります。尿漏れが続く方は、手術を受けた病院や泌尿器科に相談しましょう。
肥満
肥満は、尿漏れ・尿失禁のリスクを高める大きな要因です。腹部に脂肪が蓄積すると、膀胱や骨盤底にかかる圧力が増し、くしゃみをしたり笑ったりした際に腹圧がかかって尿が漏れる、腹圧性尿失禁が起きやすくなります。
また、肥満によって骨盤底筋が常に負荷を受け続けることで、尿道をしっかりと締める力は弱くなります。肥満は糖尿病・高血圧・睡眠障害などとも深く関連しており、疾患によって尿トラブルはさらに悪化してしまいます。
体重を適正に保つことは、尿漏れの予防や改善だけでなく全身の健康維持にもつながります。定期的な運動が難しい場合は、骨盤底筋を鍛えられるサポートアイテムを使用し、無理のない範囲でケアを続けてください。
ストレス・不安
ストレスや不安といった心理的な要因も、尿漏れや尿失禁の引き金になりかねません。
強い緊張や不安を感じると、自律神経のバランスが乱れ、膀胱が過敏に反応しやすくなります。結果として、強い尿意を急に感じ、トイレまで間に合わずに漏れてしまう「切迫性尿失禁」を引き起こすことがあります。
ストレスによる便秘やホルモンバランスの乱れは、骨盤底筋の働きを間接的に低下させる原因の1つです。「また漏らすかも」という不安から、外出を控えるようになる方も多く見られます。
尿漏れには、体と心の両面からアプローチすることが大切です。症状が気になるときは、生活習慣の見直しやセルフケアグッズの活用を通じて改善を目指しましょう。
尿漏れ・尿失禁の種類
尿漏れ・尿失禁は、以下の種類に分類されます。
・腹圧性尿失禁
・切迫性尿失禁
・混合性尿失禁(腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方の症状がある)
・溢流性(いつりゅうせい)尿失禁
・機能性尿失禁
症状の表れ方や原因に応じてタイプが分けられているものの、併発する場合もあります。尿漏れの種類を知り、効果的なセルフケアや治療法を選びましょう。
腹圧性尿失禁
腹圧性尿失禁は、くしゃみ・咳・笑う・重い物を持ち上げるなど、腹部に力が加わった際に尿が漏れるタイプの尿漏れです。骨盤底筋のゆるみにより、腹圧が膀胱を圧迫したときに尿道をうまく閉じられずに起こり、出産経験がある方や便秘がちな女性に多く見られます。
初期には少量の尿漏れで済んでいても、放置すると漏れる頻度・量が増えていく可能性があります。「また漏れたらどうしよう」と常に不安がつきまとい、外出や運動を避けることで、行動範囲が狭くなってしまう人も少なくありません。
腹圧性尿失禁の予防・改善には、手術や骨盤底筋トレーニング、骨盤底を支えるサポートアイテムの使用といった選択肢があります。
切迫性尿失禁
尿漏れのタイプのうち、突然強い尿意に襲われ、トイレまで我慢できずに漏れてしまう状態が切迫性尿失禁です。冷たい水に触れたり、鍵を開ける音を聞いたりすることをきっかけに尿意を感じる場合もあります。
切迫性尿失禁の原因は、以下のとおりです。
・骨盤臓器脱
・膀胱や尿管の病気
・神経系の異常
・過活動膀胱
・ストレス
・加齢
複数の要因が絡み合うケースも少なくありません。頻尿や夜間頻尿をともなう方が多く、症状の程度や出現頻度には個人差があります。
切迫性尿失禁の原因や治療法を詳しく知る
溢流性(いつりゅうせい)尿失禁
膀胱に尿がたまりすぎ、溢れるように漏れてしまうタイプの尿失禁が溢流性尿失禁です。排尿したいときに出ないにもかかわらず、尿が知らないうちに少量ずつ漏れてしまうため、気づいたときには下着が濡れているケースもあります。
溢流性尿失禁を起こす主な原因は、以下のとおりです。
・排尿の指令がうまく伝わらない神経の障害
・膀胱や尿道の結石
・糖尿病による神経障害
・尿道狭窄症
・子宮筋腫
・骨盤臓器脱
尿をうまく出せない状態が続くと、尿路感染症や腎機能障害のリスクが高まるため、放置せずに泌尿器科へ相談しましょう。
機能性尿失禁
機能性尿失禁は、膀胱や尿道に問題がないにもかかわらず、身体的・認知的な理由でトイレに間に合わず尿漏れしてしまう状態を指します。機能性尿失禁が起こりうる状況の例は、以下のとおりです。
・足腰が弱くてトイレまでたどり着けない
・認知症の影響で排尿のタイミングがわからない
・視覚や聴覚の障害がある
室内の動線を整えたり、トイレの場所をわかりやすくしたりなど、環境・介助面の工夫が対応策として有効です。尿意を感じた際にスムーズにトイレへ行けるよう、物的・人的環境を整えましょう。
尿漏れ・尿失禁の治療法
尿漏れや尿失禁のタイプによって、以下のような治療法・対処法が選択されます。
タイプ | 治療法・対処法 |
---|---|
腹圧性尿失禁 |
・手術 ・骨盤底筋トレーニング ・フェミクッション ハピネスの活用 |
切迫性尿失禁 |
・薬物療法 ・膀胱訓練 ・骨盤底筋トレーニング ・フェミクッション ハピネスの活用 |
溢流性尿失禁 |
・原因疾患の治療 ・薬物療法 ・間欠導尿(カテーテルで残尿を出す) |
機能性尿失禁 |
・トイレ環境の整備 ・介助体制の構築 ・ポータブルトイレの導入 |
悩みを我慢せず、症状に合った対策を知ることが、快適な日常生活を取り戻すための第一歩です。
尿漏れ・尿失禁を放置するとどうなる?
尿漏れ・尿失禁を放置すると、以下のようなリスクが高まります。
・症状の悪化により尿漏れの頻度・量が増加する
・外出や人付き合いを控えることでストレスや孤立感が深まる
・尿による皮膚のかぶれや感染症が発生する
・骨盤臓器脱の進行によって手術が必要になる
・活動範囲が狭まることで運動不足・運動機能の低下につながる
排泄にまつわる悩みは、体だけでなく精神面にも影響を及ぼします。恥ずかしがらず早めに泌尿器科へ相談し、適切な治療やケアを受けましょう。
尿漏れの症状緩和はフェミクッション ハピネスで
尿漏れの症状を緩和するには、フェミクッション ハピネスがおすすめです。
フェミクッション ハピネスは、特許取得済みの独自構造で骨盤底を下からサポートし、日常生活のなかで自然に骨盤底筋を鍛えられるケア用品です。ショーツの上から着用でき、骨盤臓器脱の予防・改善だけでなく尿漏れ対策にも効果があります。
伸縮性に優れた素材で作られているので、長時間の使用でも快適に過ごせることが特徴です。尿漏れにお悩みの方は、ぜひフェミクッション ハピネスをお試しください。
年齢とともに骨盤底筋の機能が低下し、腟から臓器が脱出する「骨盤臓器脱」が原因で尿漏れが起こることもあります。尿漏れに「腟から何か出ているような違和感がある」という症状をともなう方は、骨盤臓器脱専用の医療機器であるフェミクッションの使用をおすすめします。
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この記事の執筆医師

永尾 光一 先生
一般社団法人日本精索静脈瘤協会 理事長
医療法人社団マイクロ会 理事長
銀座リプロ外科 院長
昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。
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