顕微鏡下動脈温存パイプカット手術|特徴・費用や痛みの有無について - 銀座リプロ外科
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パイプカット(精管結紮術・精管切断術)とは、男性が行う避妊手術のことです。精管を結紮(結ぶ)または切断し、精子の通り道を塞ぐ避妊方法です。夫婦・パートナーとの間に子どもがいて、これ以上子どもは作らないと希望した方が行う手術で、パートナーとの話し合いが必要です。

「パートナーに妊娠の心配をさせたくない」「避妊しないで性交渉を楽しみたい」と、パイプカットの手術をお考えではありませんか。

コンドームは、正しく装着しなければパートナーが妊娠する可能性がありますが、パイプカットであれば高い避妊効果が望めます。

子どもを望まないカップルが妊娠を心配せずに性行為を楽しめれば、今まで以上に素敵な関係を築けるでしょう。パートナーとよく話し合い、お互いにとってより良い選択をすることが大切です。

本記事では、当院が手がける顕微鏡下動脈温存パイプカット手術の詳細について解説します。メリットのみならず、デメリットや手術によるリスクもあることを知り、パイプカットについて理解を深めましょう。

 

 

パイプカットとは

パイプカットとは男性が行う避妊手術で、精管切断術ともいわれています。陰のうを1cmほど切開して精管を結紮(けっさつ)・切断し、精液に精子が混ざらないようにする方法です。

パイプカットは、女性に負担をかけることなく、男性の手術のみでほぼ100%の避妊効果が期待できます。手術前後で性欲や精液の見た目には変化がないため、性行為に影響を及ぼしません。

再度精管をつなげる手術も可能ですが、必ず元通りに戻る確証はなく慎重な判断が必要です。パイプカットの実施は、パートナーとよく話し合ったうえで決めましょう。

 

パイプカットのメリット

パイプカットを行う大きなメリットは、以下のとおりです。

・避妊具(コンドーム)不要で避妊できる
・性生活を楽しめる

手術によって性生活を充実させられるというメリットを確認し、パイプカットの実施を検討する際の判断材料にしてください。

避妊具(コンドーム)不要で避妊できる

パイプカットの手術を行うメリットは、避妊具(コンドーム)を使わなくても妊娠を防げる点です。

コンドームをつけた性行為では必ず避妊できるわけではなく、装着方法によって妊娠を防げる確率が変わります。

正しい装着方法 約98%
一般的な使い方 約85%

 

一方で、パイプカットにより精子が射出されなくなれば、ほぼ100%の確率で避妊が可能です。

コンドームの破損やズレによる避妊失敗のリスクもなくなります。パイプカットは、ゴムアレルギーでコンドームの着用が難しい方の性生活を充実させる方法としても、有効です。

一度パイプカットを行えば、避妊を意識する必要がなくなるため、コンドームを買い続けるコストがかかりません。パイプカットは初期費用がかかりますが、長い目で見れば経済的だといえるでしょう。

性生活を楽しめる

パイプカットの手術を行えば、妊娠する不安を抱えずに性行為を楽しめます。

コンドームを使用しないことで、挿入時の感度が増してより自然な性行為が可能になり、男女ともに性的満足度の向上につながります。コンドームの装着による性行為の中断もなくなるので、ムードを大切にしたい方には嬉しい効果でしょう。

ほぼ100%避妊できるパイプカットであれば、意図しない妊娠を心配する必要はありません。「避妊方法をどうするか」というデリケートな問題の解決により、不安から解放されたパートナーとの信頼関係が深まることも期待できます。

パイプカットの手術を受けた男性の射精感や勃起力にも変化はなく、今までと同様に性行為ができます。

 

パイプカットのデメリット

パイプカットを行うときに認識しておきたいデメリットは、以下の3点です。

・元に戻せる保証はない
・100%確実に避妊できるとは限らない
・性感染症の予防ができない

デメリットがあることを、パートナーとともにきちんと理解したうえで手術を受けることが大切です。

元に戻せる保証はない

一度パイプカットを行うと、精管を100%元通りに戻せる保証はありません。

パイプカットした方が子どもを望む場合は、精管を再びつなげる手術(パイプカット再建術)が検討されます。パイプカット再建術が成功するケースは全体の9割ほどで、術後は精子が出現するまでに2~6ヵ月待つ必要があります。

「やっぱり子どもが欲しい」と思い、再建術を受けても妊娠が叶わない可能性があることを把握したうえで、パイプカットを行いましょう。

手術する医師の技量によっては、時間の経過とともに精巣機能が低下することもあるため、注意が必要です。

当院では、再建を視野に入れたパイプカットの術式を採用しています。顕微鏡下でのパイプカット再建も行なっており、再建手術後の患者さんの精子の出現90%、47%で精液所見が正常化しています。

将来的に考えが変わったとしても対応できるかを考慮し、手術する病院を選ぶことがおすすめです。

100%確実に避妊できるとは限らない

パイプカットには高い避妊効果がありますが、「絶対に妊娠しない」とは断言できません。

手術直後は精のうや精管の中に精子が残っているため、精液検査を受けるまでは避妊をしてください。手術の約1~2ヵ月後に、または射精を10~20回程度してから精液検査を受け、精子が射出されないことを確認しましょう。

パイプカット後、2,000分の1の確率で精管が自然につながるケースもあります。

確実に避妊したいのであれば、性交渉を行なっている限り、定期的に精液検査を受けることをおすすめします。

性感染症の予防ができない

パイプカットの手術を受ければコンドームなしでも避妊が可能ですが、性感染症の予防はできません。コンドームは、避妊だけでなく性感染症を予防する効果もあわせ持ちます。

性感染症にかかると強い排尿痛があったり、発熱や全身倦怠感といった症状が出たりする恐れもあり、早急な受診が必要です。薬物療法で完治するケースもあれば、HIVやヘルペスのように薬を一生飲み続けなければならない病気もあります。

決まったパートナー以外とも関係を持つ方は、性感染症を避けるために、パイプカット後もコンドームを使用しましょう。

 

顕微鏡下動脈温存パイプカット手術の特徴

当院で実施している顕微鏡下動脈温存パイプカット手術は、局所麻酔を使用し、高度な技術を持った医師が顕微鏡を使って細やかな処置を行います。日帰りが可能なうえに、痛みのリスクが少ないため、患者さんの負担を最小限に抑えられる手術方法です。

当院でパイプカットをするメリットを確認しましょう。

顕微鏡の使用

手術用の高倍率の顕微鏡を使用し、手術を精密に行う点は、当院のパイプカットの特徴として挙げられます。

陰のう上部の精索は、精管・血管・神経・リンパ管といった大切な組織が束になった器官です。パイプカットでは、多くの索状物のなかから精管を見つけ出し、確実に結紮することが肝心です。

しかし、パイプカットを行なっている病院のなかには、精管に似た別の索状物をしばっていたり、きちんと結紮していなかったりする所も見られます。

当院では、より高度な顕微鏡下動脈温存パイプカット手術を多く手がけた医師が執刀し、精管のみを処置します。顕微鏡の使用により繊細な手術操作が可能で、出血や痛みが少なく済む点もメリットです。

スーパーマイクロサージャンによる執刀

当院の顕微鏡下動脈温存パイプカット手術は、スーパーマイクロサージャンによる執刀で行われます。スーパーマイクロサージャンとは、超微小外科(スーパーマイクロサージャリー)の技術を持った医師のことです。

スーパーマイクロサージャリーでは、20~40倍に拡大できる手術用の顕微鏡を使って、太さ0.5mm以下の血管やリンパ管をつなぎ合わせる手術にも対応できます。高度な技術を習得した医師のみができる手技で、設備が整った環境が必要です。

当院では、スーパーマイクロサージャリーの技術によって、精管を確実に結紮し、精度の高いパイプカットを行います。

 

当院での顕微鏡下動脈温存パイプカット手術の流れ

当院における顕微鏡下動脈温存パイプカット手術の流れを、術前・術中・術後に分けてそれぞれ紹介します。

受診の予約から術後の生活までの流れを知ることで、手術に対する不安を軽減させられるでしょう。手術のイメージをつかむために、ぜひ参考にしてください。

術前

当院は完全予約制のため、パイプカットの手術を希望する際は、初診のご予約ページからお申し込みをしてからの来院をお願いいたします。

最初に問診・触診をし、患者さんのご要望があればエコー検査(超音波検査)をすることもあります。医師からのパイプカットに関する詳しい説明を聞いたうえで、手術を希望する場合は、術前検査として感染症の有無をチェックする血液検査をお受けください。

診察・検査後、手術の予約を取って完了です。

当院は個室診療を行なっており、診察室の声が誰かに聞かれることはありません。待合室が混雑しないよう予約枠を設けているため、「知り合いに会わないか」といったご心配も不要です。

術中

当院のパイプカットでは局所麻酔を使用しており、医師と話をしながら、リラックスした状態で手術を受けられます。切断した精管は、顕微鏡拡大した写真で確認できます。

手術の流れは、以下のとおりです。

1. 局所麻酔をする
2. 陰のうを左右1cmほど切開する
3. 精管を周辺組織から剥離して露出させる
4. 精管の2ヵ所をそれぞれ2重に結紮(4重結紮)する
5. 結紮した2ヵ所の間を切断する
6. 筋膜で切断した精管の端を覆う(再開通予防のため)
7. 精管を戻して切開した皮膚を縫合する

以下の写真は、パイプカットで精管を結紮・切断した際の画像です。タップしている間、表示されます。※術後の患部の画像ですので、お気をつけてご覧ください。

手術後の精管の画像

当院のパイプカットでは、顕微鏡を使って精管とほかの組織を正確に区別し、結紮・切断します。精管動脈の温存により、精巣の血流維持や男性ホルモンの低下予防が見込めます。

精管を上方で切断し、術後の痛みを予防するとともに、パイプカット再建術をしやすくしている点も特徴です。当院では、「再婚したので子どもが欲しい」といった患者さんの心境変化にも対応できるよう、再建を見据えたパイプカットを行なっています。

術後

パイプカット後、当日のうちに帰宅できます。シャワーは手術の翌日、入浴は2週間後から可能です。手術後は医師の指示に従い、1週間ほどは運動や激しい肉体労働を避けましょう。

精のうや精管に残っている精子は、マスターベーションですべて出し切ってください。精液検査前に性行為をするときは、避妊が必要です。1~2ヵ月後に精液検査をし、精子がいないことを確認できたら、膣内射精が可能です。

当院の顕微鏡下動脈温存パイプカット手術を受けた患者さんには、精管を切断したことがわかる写真をお渡ししています。パイプカットの手術を受けた証として証明書も発行しています。証明書は、パートナーを安心させたり、詐欺にあわないために役立ちます。

 

顕微鏡下動脈温存パイプカット手術の費用

顕微鏡下動脈温存パイプカット手術にかかる費用は、以下のとおりです。

項目 費用(税込)
初診 5,500円
エコー検査(任意) 5,500円
術前検査 22,000円
顕微鏡下動脈温存パイプカット手術 440,000円
局所麻酔 22,000円
時間外診療(土日祝日) 22,000円(1.5時間ごと)
夜間診療(17時以降) 110,000円
診断書・各種証明書の発行 8,800円
英文での診断書・各種証明書の発行 17,600円(1ページごと)

 

手術費用は、予約確定後から手術前までに、指定口座への振り込みが必要です。初診料や術前検査費などは、現金・クレジットカードでお支払いいただけます。

パイプカットは自由診療のため、公的保険は適用されません。

 

パイプカットの手術前に知っておきたい注意点

パイプカットの手術前に知っておきたい注意点は、以下のとおりです。

・手術後に腫れや痛みが出現することがある
・合併症のリスクがある

体に傷をつけるパイプカットにはリスクもあると理解したうえで、手術に臨みましょう。

手術後に腫れや痛みが出現することがある

パイプカットは、小さいながらも皮膚を切開する外科手術のため、術後に軽度の腫れや痛みが生じることがあります。

個人差はありますが、陰のうを動かさないように注意し、鎮痛剤で様子を見ることで、一般的に腫れや痛みは数日で回復します。症状が落ち着くまでは、日常生活での無理を避けることが大切です。

腫れや強い痛みが長引く場合は、炎症や感染を起こしている可能性が疑われます。我慢せず、すぐに医療機関へ相談してください。

合併症のリスクがある

パイプカットを行う際は、ごく稀に起こる合併症のリスクにも注意が必要です。

手術後に術部からの出血が続いたり、血液が体内の組織に溜まって凝固する血腫(けっしゅ)が生じたりする場合があります。血腫は体内に自然に吸収されることが多いものの、取り除いたほうが良いケースもあるため、自己判断は禁物です。

傷口から細菌感染を起こした際は、抗生物質での治療が行われます。体の異変は放置せず、すみやかに診察を受けましょう。

 

パイプカットと女性の避妊手術の違い

パイプカットと女性に行われる避妊手術である卵管結紮術の違いは、以下のとおりです。

パイプカット 卵管結紮術
手術部位 陰のう(精管) 腹腔内(卵管)
手術時間 20分〜1時間ほど 30分~1時間ほど
手術タイミング いつでも可能 ・帝王切開の手術中
・経膣分娩での出産直後
・月経終了後~排卵まで
麻酔 局所麻酔 腰椎・全身麻酔
合併症リスク ・軽度の腫れや痛み
・出血・血腫
・感染
・痛み
・感染
・周辺臓器の損傷
・子宮外妊娠
体への負担 小さい 大きい
入院 不要 必要(術後1~4日ほど)
安静期間 手術当日は自宅安静 1週間ほどは自宅安静
避妊率 ほぼ100% ほぼ100%

 

卵管結紮術とは、卵管をしばり、卵巣から排出された卵子の通り道を遮断し、受精が成立しないようにする手術です。お腹の内部へのアプローチとなるため、ほとんどが全身麻酔下で行われ、なかにはアレルギー反応を起こす方もいます。

卵管結紮術で多く用いられる腹腔鏡手術は、傷が小さい一方で、周辺の臓器を傷つけるといった特有の合併症が生じる恐れもあります。

避妊手術は、男性よりも女性のほうが体への負担が大きいため、パートナーを大切に思うのであれば、パイプカットはおすすめの選択肢です。

 

当院のパイプカット手術で確実な避妊を

パイプカットで確実に避妊したいとお考えの男性は、当院へご相談ください。パイプカットは、避妊がほぼ100%叶う手術方法です。

当院の顕微鏡下動脈温存パイプカット手術は、精管だけを結紮・切断し、動脈や神経を温存する術式です。精管動脈の温存により、精巣の機能が正常に保たれ、性欲減退や勃起障害につながる可能性は低くなります。また、予定変更によるパイプカット再建手術をしやすい状態のパイプカットを行います。

痛みは軽度で済むことが多く、日帰りで手術できるため、日常生活に大きな影響を及ぼしません。

パイプカットをご希望の方は、高い技術を持つスーパーマイクロサージャンがいる当院での手術をご検討ください。

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この記事の執筆医師

永尾 光一 先生

永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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