COLUMN

ブライダルチェックとは、子どもを迎えることを検討している方がご結婚を迎えるにあたり、お互いの健康状態をチェックするためにおこなう検査のことです。妊娠・出産をする女性のものと思われがちですが、実は男性にとってもブライダルチェックはとても重要なもの。ここでは、男性のブライダルチェックについて、検査項目や重要性についてご紹介しています。

ブライダルチェックとは?

ご結婚を迎えるにあたって、お互いの健康状態を知るために行われる検査です。
万が一、感染症にかかっている場合にはパートナーの不妊や胎児への異常を引き起こす原因になります。 原因が見つかればすぐに治療すれば治ることが多いため、出来るだけ早めに調べておくことをお勧めします。
妊娠に向けての改善点を見つけたい方にもおすすめです。

男性のブライダルチェックとは?

男性のブライダルチェックとは、結婚前や、結婚して妊活をしているときに、子供をつくる上で、自分の精子に問
題が無いか、また性病がないかを調べることを言います。

男性のブライダルチェックの重要性

男性不妊の症例は非常に多く、WHO(世界保健機構)の不妊症原因調査では、男性不妊48% 女性不妊65%、夫婦両方24%で、男性に原因がある場合が珍しくありません。
もし問題が隠れていても、精査しないまま、人工授精や体外受精の無駄な 処置が増える傾向が強くなりがちです。男性の適切な検診をすることが大切です。

男性のブライダルチェックでみる項目

ここでは、男性のブライダルチェックでみる項目を詳しく説明しています。
主に「性感染症について」「精液について」「そのほかの感染症について」の3つの軸から検査がおこなわれます。いずれも、生まれてくる赤ちゃんに大きく影響を及ぼす項目です。

性感染症

「性行為で感染する病気」を総称して、性感染症(STI)といいます。
ウイルス、細菌、原虫などが、性器、泌尿器、肛門、口腔などに接触することで感染します。男性側に性感染症があると、女性に感染させてしまうだけでなく、子どもにも悪影響を及ぼします。そのため、男性のブライダルチェックでは必ずチェックされる項目です。

HIV

エイズはHIV(ヒト免疫不全ウイルス)という、ウイルスによって引き起こされる感染症で、体を病気から守っている免疫力を破壊してしまう病気です。妊娠した母親が感染していると、母子ともに悪い影響を及ぼすため、ブライダルチェックの際、感染の有無を確認します。

梅毒

梅毒は、性的な接触によってうつる性感染症です。
梅毒に感染している人の粘膜や皮膚と接触することで感染するため、性行為だけでなく、ペニスに病変部がある人とのオーラルセックスや、キスでも感染します。
梅毒にかかると、陰部周辺だけでなく全身の皮膚に発疹(できもの)やぶつぶつができることが特徴です。いっぽう、症状が出ないまま感染することもあります。無症状の場合でも、重症になると命に関わる病気に進行することがあるので、早期発見・早期治療はとても重要です。

淋病

淋菌が尿道に感染し、炎症を起こすことで発症します。
性交渉などにより、女性の性器や女性の喉から、男性の尿道に感染します。
症状は、排尿時の痛み、尿道の入り口から多くの分泌物や、乳白色の膿が出るなどがあります。
クラミジアと症状が似ていますが、淋病は急激に症状が進み、排尿時の痛みも強く、分泌物の量が多い傾向にあります。

性器ヘルペス

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによって、性器周辺に水ぶくれや赤いぽつぽつ、ただれなどの病変が生じる感染症です。
感染経路は大きく分けて3つあります。感染者からの性感染と、乳幼児期に家族が感染している場合に唾液などを通じて感染する口唇感染、出産時の母子感染などがあります。

性器クラミジア

性器クラミジア感染症とは、細菌の一種であるクラミジアに感染することによって起こる性感染症です。
クラミジア・トラコマチスという病原体が原因で、日本では最も多い性感染症 だと言われています。感染者との性交や性交類似行為により、粘膜を通じて感染します。また、分娩時の産道感染で母子感染することがあります。

B型肝炎・C型肝炎

【B型肝炎】
B型肝炎は肝障害を起こすウイルス感染症です。急性疾患と慢性疾患を起こします。
感染者の血液や体液に接触することで感染します。
現在は、安全で効果的なワクチンを使用することによって予防することができます。

【C型肝炎】
C型肝炎ウイルスはHCV感染者の血液が体内に入ることから感染します。
性行為による感染率は低く 、現在HCVに感染している方は、過去の輸血や使い回しの注射などが原因と考えられています。

精液検査

精液検査も、ブライダルチェックでは必ず検査される項目です。男性側の精子に悪いところがみつかる(悪い精液所見)と、なかなか妊娠につながらなかったり、生まれてくる子どもへの影響も考えられます。

精液検査は、採取した精液の精液量・精子濃度・運動率・正常形態率などから精子の状態を調べる検査です。
採取場所・禁欲期間・採取からの時間、更に体調など条件によって変化しやすい検査です。また、自宅採精では、時間の経過、温度の変化、紫外線などの影響があり、精液所見が悪くなることが多いです。そのため、精液検査は3日間の禁欲で、院内採取がお薦めです。院内採取ができない場合は、体温で保温しながら運ぶことを推奨しています。
以下、精液検査でチェックするポイントを2つ、ご紹介します。

精子の質

精子の質は、一般的には総運動精子数で判断されます。総運動精子数は、精液量と精子濃度と運動率、それぞれの数値を掛け合わせ算出されます。

精索静脈瘤の有無

精索静脈瘤は、成人男性の15%に見つかる病気です。精索静脈瘤があると、精液が悪化する他、陰嚢の萎縮、男性ホルモンの低下、痛みの出現などが起こります。精索静脈瘤は、視診、触診とエコー検査(超音波検査)で簡単に診断できます。
精液所見が悪い場合や、結婚してから妊娠しにくいなどの症状がある場合は、生殖医療専門医(泌尿器科)による検査を受けることをお薦めいたします。
※泌尿器科的検査は、生殖医療ガイドライン推奨グレードAです。

風しん抗体検査

妊娠初期に風しんにかかると障害児が生まれる可能性があるため、日本産婦人科学会では、不妊治療を行う場合は夫婦で風しんの抗体があるかを検査してから行い、十分な抗体が確認できなければ、ワクチン接種をするように全国の医療機関に通達しています。
風しんにかかっているかどうかは、体内に風疹の抗体があるかを検査する抗体検査(血液検査)で検査します。 検査法にはHI法とEIA法があります。

検査の結果、数値が以下である場合は風しんである可能性があります。
HI法:陰性あるいは32倍未満
EIA法:風疹ウイルスIgGが陰性あるいは8.0未満

おおまかな流れ

ブライダルチェックの検査のチェック項目と流れは以下の通りです。
血液検査や尿検査はクリニック内で採取します。精液検査についても基本的にはクリニック内で採取します。

①血液検査(性ホルモン、梅毒、ヘルペス、B型肝炎、C型肝炎、風疹抗体)

②尿検査( 淋菌、クラミジア、トリコモナス、マイコプラズマ、ウレアプラズマ)

③精液検査(精液の量や精子の濃度、数、運動率などを調べます)

④問診(医師からのご説明)

ブライダルチェックはどこで受けられる?

ブライダルチェックは、内科や泌尿器科でおこなうのが一般的です。人間ドックのオプションであることもあります。男性不妊クリニックでは、ブライダルチェックと同時に、不妊治療に関する相談や質問もできるため、おすすめです。

女性のブライダルチェックはどんなものがある?

最後に、女性のブライダルチェックの内容についてもご紹介します。

検査項目は、血液検査、性感染症検査など、男性向けの項目と似たようなものも多いです。
女性特有のものとしては、女性ホルモン分泌検査、内診・超音波検査などの検査項目があり、検査項目や検査の方法、価格は医療機関によって様々です。子宮頸がん・乳がん検診、甲状腺機能や膠原病の検査がついてる物もあります。

この記事の執筆医師

永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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