COLUMN

前立腺がん手術後のEDへの対策とは?陰茎注射(陰茎海綿体自己注射)が有効

ED治療のスタンダードは薬物療法(バイアグラ、レビトラ、シアリスなど)ですが、前立腺がん手術後のEDでは、これら薬物療法が無効な場合があります。
ここでは、前立腺がん手術後のEDに対して有効な、陰茎注射(陰茎海綿体自己注射)についてご紹介します。

なぜ前立腺がん手術後にEDが起きるのか?

前立腺がん治療には、手術、放射線治療、ホルモン治療があります。前立腺がん手術は、癌細胞を残さないため、前立腺全摘出術が行われます。前立腺がんの根治性を高めるためには、前立腺周囲の勃起神経を切除する必要があります。勃起神経を切除してしまうことでEDになります。

 

神経温存手術を受ければEDは起きない?

もともとEDの症状がなく、手術時に勃起神経を残すことができれば、手術後にEDが起きたとしても、薬物療法でEDを改善することは可能です。
しかし、ED治療薬が無効な場合は、陰茎注射(陰茎海綿体注射)が有効です。

 

陰茎注射とは?

陰茎注射は、ED薬が使用できない方や使用しても効果が無い方が適応となります。

血管拡張剤であるプロスタグランジンE1を陰茎に自己注射して、勃起を促します。通常、性行為の10分前に自己注射を行います。

詳しくはこちらのページをご参照下さい。
海綿体・陰茎注射(ICI治療)で治す勃起障害

 

陰茎注射は国が認可していない?

当院の永尾教授が理事長を勤める日本性機能学会では、厚生労働省と交渉を行い、プロスタグランジンE1陰茎注射は認められたものの、自己注射(患者自身が注射する)は認められていないため、自己責任で行っております。費用についても自己負担となります。
詳しくは東邦大学リプロダクションセンターのページをご参照下さい。

 

合併症の心配は?

前立腺がん手術後の患者に対する陰茎自己注射は、日本性機能学会専門医の指導のもとであれば、安全に行うことができます。

 

陰茎自己注射の注意点とは?

薬剤を陰茎に注射することは認められていますが、患者自身による自己注射は認められていないので、日本性機能学会専門医の指導のもと自己責任で行っています。

注意が必要なのは、持続勃起症です。持続勃起症とは、痛みを伴う完全勃起の状態が持続的に4時間以上続く場合です。その場合は、泌尿器科を受診していただく必要があります。

※ やわらかい勃起(手で90度曲げられるような柔らかさ)や、繰り返す勃起は、正常な血液の循環があるので問題ありません。

陰茎注射の際に使用したアンプルや注射器は、家庭ごみには捨てず、ペットボトル等に集めて必ず病院で処分してもらうようにしてください。

 

陰茎注射の費用

陰茎注射は、全額自費です。
当院では自己注射1回分が5,000円です。詳しくは費用のページをご参照下さい。

初診
5,000円
検査
10,000円
検査用薬剤
5,000円
処方
1式 5,000円
(薬剤、生理食塩水、注射器、アルコール綿)

(税別)

この記事の執筆医師

永尾 光一 先生

永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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