精液量が多い人の特徴3選|多すぎると不妊になる?妊活に良い習慣 | 男性不妊治療は銀座リプロ外科            
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自身の精液量に不安があり、「多い人には特徴があるの?」「少ないと妊活に影響するのかな」と疑問に思っていませんか。

妊活において精液量は多いほうが有利といわれており、子どもを授かるためには、精子の質も重要です。妊活がスムーズに進まない場合は、精子の質を下げる疾患が隠れているケースもあるため、注意しましょう。

本記事では、精液量が多い人の特徴について解説します。WHO(世界保健機関)が発表している基準値や、精液量が妊活に与える影響も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

 

 

男性不妊・精索静脈瘤にお困りのかたへ
男性不妊の40%精索静脈瘤が原因

男性不妊の40%にある精索静脈瘤は、精巣やその上の精索部(精管、血管、神経、リンパ管などを覆う膜)に静脈瘤(じょうみゃくりゅう・静脈の拡張)が認められる症状のことを指します。一般男性の15%に認められ、男性不妊症患者の40%がその疑いであるとされています。

精液量が多い人の特徴3選

精液量が多い人の特徴は、以下のとおりです。

1. 良好な生活習慣で健康を保っている
2. 男性ホルモン値が高い
3. 年齢が低い

精液の量は、健康状態や年齢、性的興奮度などのさまざまな要素に左右されます。精液量の多さに影響を与えている可能性があるポイントについて、詳しく確認しましょう。

1.良好な生活習慣で健康を保っている

精液量が多い人の特徴の1つは、食事や運動、睡眠などの習慣が整っており、健康的な生活を送っていることです。

栄養バランスの良い食事は、精液の生成や精子の質の向上に効果的なうえ、肥満防止にもつながります。肥満体型は精液量を減少させるとの報告もあるため、適正体重を保つことは大切です。

質の良い睡眠や適度な運動は、ストレスを発散させたり、ホルモンの分泌を促したりします。ホルモンが正常に分泌されると、精巣機能の活性化が期待できます。

ただし、激しい運動は体内で活性酸素を発生させ、精子にダメージを与える酸化ストレスを引き起こす恐れがあるため注意しましょう。

2.男性ホルモン値が高い

男性ホルモン値が高い人には、精液量が多くなりやすいという特徴が見られます。

代表的な男性ホルモンであるテストステロンは、主に精巣で作られており、分泌量には個人差があります。精巣機能を向上させ、性欲に影響を与えるため、妊活中の方にとって非常に重要です。

男性ホルモン値が高い人の特徴は、以下のとおりです。

・ひげや体毛が濃い
・声が低い
・筋肉量が多い
・体脂肪率が低い
・性的欲求が強い

男性ホルモンの分泌量には、遺伝的要因や生活習慣、ストレスなどが影響を与えます。身内に男性ホルモン値の高い人が多い場合は、遺伝的にテストステロンの分泌が盛んな体質の可能性もあるでしょう。

3.年齢が低い

年齢が低いことも、精液量が多い人の特徴です。

精液量が最も多い年齢は30~35歳であるという研究結果も存在します。30代と比較して50代の精液量は3~22%も低下するともいわれており、年齢を重ねるにつれて男性不妊のリスクは上がります。

男性ホルモン(テストステロン)の分泌量は20代がピークで、35歳を過ぎると徐々に減少し、精液量や性欲も低下していくでしょう。ただし、年齢が高い男性でも運動習慣のある人は、男性ホルモンの分泌が促進され、精液量の低下を抑制できる可能性があります。

 

一般的な男性の精液量は?

一般的な男性の射精1回あたりの精液量は、平均すると約3mlです。平均値より精液量が多い人は、性交渉時に快感を強く感じたり、妊娠率が向上したりといった特徴が見られます。

禁欲期間が長いほうが精液量は増えるといわれていますが、精子の質とは必ずしも比例関係にありません。長すぎる禁欲期間は精子のDNA損傷率(断片化率)を高め、流産率が上がったり、出生児の健康に悪影響を及ぼしたりといったリスクが増加します。

精液量の基準や調べ方についてチェックしましょう。

精液量の基準

2021年にWHOが発表した精液量の正常値は、1.4ml以上です。1.4mlという数値は自然妊娠が期待できる基準値なので、下回っている場合は子どもを授かりにくくなります。

生まれつきの体質で精液量が少ない方もいるものの、逆行性射精といった疾患が隠れているケースもあります。

精液量が基準値を上回っていても、必ず妊娠できるわけではありません。妊活を始める際は、医療機関で超音波検査や精液検査を行い、不妊につながる疾患がないかを調べると良いでしょう。

精液量の調べ方

精液量に問題がないか調べる方法は、以下の2つです。

1. クリニックで精液検査をする
2. 精液検査キットを使って自宅で調べる

医療機関で検査を受ける際は、病院内で精液を採取します。自宅で採取できる場合もありますが、より良い状態で精液を検査するためにはクリニックでの採精がおすすめです。

検査キットを使えば、自宅で気軽に精液の状態を調べられます。専門機関に精液を郵送して調べてもらったり、スマートフォンを使って自分で測定したりする方法があります。

スマートフォンを使った検査キットは主に濃度や運動率を測定するもので、精液量に対応していない場合があります。

ただし、クリニックの検査と比較して、精液所見の結果が悪くなりやすいため、注意しましょう。

精液検査の結果は、禁欲期間や体調、精子の温度管理、採精から経過した時間などの影響を受けます。検査の精度を求める方には、クリニックでの実施をおすすめします。

精液検査の結果にばらつきが出ることは珍しくないため、基準値を下回った場合は、再チャレンジを検討しましょう。

 

妊活と精液量の関係

妊活と精液量には密接な関わりがあります。

精液には受精に必要な成分が含まれており、量が十分でなければ妊娠しにくくなるため、妊活する際は基準値以上を保つことが大切です。

妊娠するまでの過程で精液が果たす役割や、多いほうが良い理由を解説します。精液量が多すぎることでマイナスに働く病気も確認しましょう。

妊活において精液量は多いほうが良い

妊活においては、精液量が多いほうが良いといわれています。

精液は、精漿(せいしょう)と呼ばれる液体が約90%を占めており、精子の割合は1~5%ほどです。精漿は、精子に栄養を与えたり、運動率を高めたりする成分を含み、大切な役割を担っています。

精子は酸性の膣内では生きられないため、アルカリ性の精漿による保護が不可欠です。精漿の量が少ないと膣内での中和が不十分となり、精子がスムーズに活動できないばかりか、死滅リスクが高まるでしょう。

精液量が不足している場合は、精子も精漿も少ない可能性が高く、不妊の原因になりかねません。

精液量が多くなる病気もある|精液過多症

精液量が通常よりも多くなる精液過多症という病気も存在します。一般的な男性の射精1回あたりの精液量(2~5ml程度)を上回る人は、精液過多症が疑われます。

精液過多症の原因は、過剰なストレスやホルモンバランスの乱れなどです。精液の成分を分泌している前立腺や精巣の機能に起因するケースもあります。

精液が多すぎる場合は、精子濃度が相対的に低くなり、妊娠率の低下につながる可能性があります。精液量の多さに加え、倦怠感や性器周辺の不快感、射精への欲求を頻繁に感じる際は、医療機関の受診を検討してください。

 

精液量を増やすポイント

男性不妊の治療方法
 

生活習慣を整え、心身ともに良い状態になることで、精液量の増加が期待できます。精液量が多い人は、日頃から健康的な生活を送っている傾向があります。

精液量を増やす具体的な生活習慣は、以下のとおりです。

取り入れたい ・良質な睡眠
・バランスの良い食事
・適度な運動
避けたい ・過度な飲酒
・タバコ
・長風呂・サウナ
・下半身の長時間の圧迫
・過度なストレス

 

下半身を圧迫する衣類や、長時間にわたるバイクや自転車の運転は、血流悪化を招くとともに精巣を温めてしまうため極力避けることが大切です。

精液量には、ストレスも影響を与えます。軽い運動をしたり趣味に没頭したりなど、自分にぴったりのストレス解消法を見つけ、溜め込まないようにしてください。

 

精液量だけではない|男性不妊の見分け方

男性不妊かどうかは精液量だけでは正確に判断できず、以下のような見分け方が存在します。

・精巣・陰のうの状態をチェックする
・精液の色をチェックする

男性不妊になりやすい人は、特定の病歴や治療歴があったり、見た目に特徴があったりするため、いち早く気づけるよう見分け方を知りましょう。

精巣・陰のうの状態をチェックする

男性不妊の人に見られる特徴が自身の精巣や陰のうに当てはまらないか、以下の項目を参考にチェックしてください。

見た目でわかること ・精巣が小さい・以前よりも小さくなった
・精巣がやわらかい
・精巣が陰のうの上方や鼠径部(そけいぶ)にある
・精巣の上方にこぶがある
・陰のうの表面に血管が多い
・陰のうの中にうどんのような形状がある
身体的に感じること ・陰のうが熱を帯びている
・陰のうが腫れている
・陰のうに痛みがある
精巣や陰のうに影響のある
病歴や治療歴
・おたふく風邪で精巣が腫れたことがある
・抗がん剤治療や放射線治療を受けたことがある
・停留睾丸の手術を受けたことがある
・鼠径ヘルニアの手術を受けたことがある

 

精巣や陰のうのチェックは、男性不妊や病気を特定するうえで非常に重要です。自身の状態と合致する項目がある場合は、泌尿器科や男性不妊専門のクリニックに相談することをおすすめします。

精液の色をチェックする

男性不妊を見分けるためには、精液の色もチェックしてください。正常な精液は、乳白色でやや粘り気があります。水っぽかったり、色が透明に近かったりする精液は、精子が少ない可能性が高いでしょう。

膿精子症により精液に白血球が混じると、色が黄色くなります。精液中の白血球は精子のDNAにダメージを与え、運動率の低下が起こり、男性不妊につながります。

精液の粘り気も精子に影響を与えるため、注意深くチェックしてください。通常であれば射精後10~30分たつと、粘り気のあった精液は液状化していきます。30分以上たっても液状化しないときは、精子の動きが悪くなり受精に至らない恐れがあります。

 

妊活には精液量とともに精子の質も大切

妊活を進める際は、十分な精液量とともに精子の質を良い状態に保つことが大切です。

精液量が不足していると精子が子宮内でうまく動けず、卵子へたどり着けません。しかし、精液量が十分にあっても、精子の運動率が低かったりDNAが損傷していたりすれば、妊娠率の低下や流産率の上昇を招きます。

過度な飲酒や喫煙をはじめとする、精子に悪影響を及ぼす生活習慣は少しずつ改善しましょう。

精子の質を下げる代表的な疾患である精索静脈瘤にも注意してください。精索静脈瘤を治療すると精液所見の改善が望めるため、早期に泌尿器科で診察と超音波検査を受けてください。

精索静脈瘤の基礎知識や治療法について解説します。

精索静脈瘤|精子の質を低下させる原因

精子の質を低下させる原因の1つに精索静脈瘤があります。

精索静脈瘤とは、精巣から心臓へとつながる静脈で逆流が起こり、陰のうのあたりでこぶ状になる病気です。逆流した血液により精巣温度が上昇すると、熱への耐性が弱い精子に悪影響を及ぼします。

自覚症状がないケースも多く、初期の段階では気づきにくいでしょう。病気が進行すると、以下のような症状が見られる場合があります。

・陰のうに痛みや腫れが現れる
・陰のうの表面がデコボコしている
・精巣のサイズに左右差がある

精索静脈瘤は、男性不妊の原因の40%を占める病気ですが、適切な治療により自然妊娠が期待できます。妊活が順調に進まないときは、男性に不妊の原因がある可能性を考慮しましょう。

精索静脈瘤は治療できる病気

精索静脈瘤は、治療によって精液所見の改善が見込まれる病気です。

当院では、独自の術式である「日帰り顕微鏡下精索静脈瘤手術・ナガオメソッド」による治療を行なっています。血管やリンパ管、神経を1本ずつ分離し、問題のある逆流静脈のみをしばって切り離す点は、一般的な手術と大きく異なります。

欧米で再発の原因とされている外陰部逆流静脈(外精逆流静脈)もナガオメソッドでは処理しています。

局所麻酔を使った手術なので日帰りででき、次の日から普段と同様の生活を送れます。手術枠が大学病院の10倍以上あり、2週間くらいで手術を受けることができます。麻酔は局所麻酔ですが、小学6年生でも通常の採血ができる方であれば痛みは最初の麻酔だけで、問題ありません。

日帰り顕微鏡下精索静脈瘤手術・ナガオメソッドの術者は、もともと顕微鏡手術のスペシャリストが担当し、合併症の発症リスクがほとんどなく、再発率は0.1%で、精液所見改善率が87%という高い実績を誇る術式です。

進行性の疾患である精索静脈瘤を治療しないまま放置すると、時間の経過とともに精巣機能の低下が進む可能性があります。妊娠を実現させるためには、早期の治療が大切です。

日帰り顕微鏡下精索静脈瘤手術・ナガオメソッドの詳細を知りたい

 

男性不妊に関するお悩みは当院へご相談を

男性不妊でお悩みの場合は、ぜひ当院へご相談ください。当院は、男性不妊治療を専門的に行なっているクリニックです。

精液量が多くても、精子の質に問題があれば不妊につながるケースがあります。妊活が順調に進まないときは、女性だけでなく男性も自分の体に原因がないかを確認することが大切です。

当院は完全予約制で、男性不妊の主要な原因である精索静脈瘤の診察や超音波検査を行なっています。「自分に不妊の原因があれば治療し、妊活を成功させたい」とお考えの男性は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の執筆医師

永尾 光一 先生

永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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