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【保険適用後】不妊治療の値段はいくら?|男性不妊治療についても紹介

不妊治療は、「タイミング法」「人工授精」「体外受精」などがありますが、心身の負担・経済的負担が大きい治療です。特に、経済的負担が気になって治療を迷われている方も多いのではないでしょうか。

2022年4月から不妊治療費が保険適用となり、経済的負担が軽減されるようになりました。そこで、今回は保険適用後の不妊治療費がどれくらいかかるのか、また男性不妊治療についても詳しくご紹介します。

男性不妊・精索静脈瘤にお困りのかたへ
男性不妊の40%精索静脈瘤が原因

男性不妊の40%にある精索静脈瘤は、精巣やその上の精索部(精管、血管、神経、リンパ管などを覆う膜)に静脈瘤(じょうみゃくりゅう・静脈の拡張)が認められる症状のことを指します。一般男性の15%に認められ、男性不妊症患者の40%がその疑いであるとされています。

不妊治療の保険が適用される対象者の条件

2022年4月から保険適用範囲が拡大された不妊治療ですが、治療によって対象者の条件が異なるので注意しましょう。

不妊治療の保険が適用されるのは、夫婦ともに健康保険に加入している場合で、婦人科や泌尿器科での診療が対象です。また、事実婚の男女に関しても新たに保険適用の対象になりました。

不妊治療には一般不妊治療と生殖補助医療があり、新たな保険適用の対象は次の通りです。

一般不妊治療 タイミング法、人工授精
生殖補助医療 採卵、採精、体外受精、顕微授精、受精卵・胚培養、胚凍結保存、胚移植、精巣内精子採取術

 

一般不妊治療のタイミング法の処方や人工授精は、誰でも保険適用を受けられます。一方、生殖補助医療の体外受精や顕微授精などの高度な不妊治療については、下記の通り条件があります。

初めての治療開始時点の女性の年齢 保険適用回数の上限
40歳未満 1子ごとに最大6回まで
40歳以上43歳未満 1子ごとに最大3回まで

 

年齢制限は女性のみで、男性にはありません。条件を満たさない場合でも治療可能ですが、その場合はすべて自己負担となります。

不妊治療の値段

不妊治療が保険適用の条件を満たせば、窓口負担が軽減され、自己負担額が治療費の3割で済みます。

では、実際に保険適用された場合の不妊治療の値段を見ていきましょう。

見落としやすい注意点として、体質がやせ型の方は、脂肪が付きにくいためむくみが見えづらく、自覚症状が出る頃には重症化してしまっていることがあります。また、更年期症状のだるさやむくみと混同し、発見が遅れる例もあります。

見た目や自覚の有無だけではリンパ浮腫と判断することは難しいため、不安や違和感があれば早めに医療機関で受診し、適切な処置につなげましょう。

ホルモン療法

ホルモン療法は保険適用される場合が多く、自己負担額は少ないです。しかし、治療内容や病院によって費用は異なります。1回の治療費が1万円~3万円程度とすると、自己負担額は3,000円~1万円程度です。さらに維持管理や検査費用が加算される場合があるので、受診前に診療費用を確認し、保険適用範囲を把握しておくと良いでしょう。

精索静脈瘤手術

不妊の原因は男性側にもあり、男性不妊の原因の約半数が精索静脈瘤だといわれます。精索静脈瘤とは、精巣やその上の精索部に静脈瘤ができて血流が悪くなり、精巣温度が上昇するため精巣機能が悪くなる症状です。

精索静脈瘤は、治療すれば精液所見に大幅な改善が期待できます。治療の相場は、顕微鏡下高位結紮術の場合、約40~60万円なので自己負担額は約14~17万円です。

2018年より精索静脈瘤手術が保険適用され、手術を受ける方が増えています。しかし、日帰り手術の場合は自己負担で行うクリニックがほとんどで、保険適用で行っている大きな病院は入院が必要になることが多いです。

顕微鏡下精索静脈瘤手術・ナガオメソッドは非常に高度な手術なので、自費で行っております。

人工授精(AIH)

人工授精は、夫側の精子を妻の排卵の時期に合わせて直接子宮内に注入する治療法です。タイミング療法の次のステップで行われ、不妊治療のなかでも自然妊娠に近い治療法です。

病院や治療内容によって異なりますが、1回の治療費が約5万円~10万円の場合、自己負担額は約1万5000円~3万円です。保険適用と自費で、1回あたり3万円以上の差が出ます。治療回数やそれに伴う検査費用などによって、さらに費用がかかることもあります。

体外受精(IWF)

体外受精は、卵子と精子を体外で受精させ、受精卵を子宮内に戻す治療法です。人工授精と比べ、高い妊娠率が期待できるため費用も高額になりますが、高額な治療ほど大幅な経済的負担軽減が期待できます。

治療内容によって異なりますが、1回の治療費は約30万円~50万円で、自己負担額は約9万円~15万円です。さらに、受精卵の凍結保存や融解移植などで費用が必要になる場合もあります。

顕微授精(ICSI)

顕微授精は体外受精の一種で、精子を卵子に直接注入するという高度な不妊治療です。精子の数や運動能力が低い場合などに行われ、体外受精に比べて高い成功率が期待できます。

費用は、通常の体外受精よりも高額になり、1回あたり約50万円~70万円かかりますが、保険適用で自己負担額は約15万円~21万円となり、経済的な負担が大幅に減るでしょう。

ただし、顕微授精にも付帯費用が発生します。例えば、卵子採取時の麻酔費用・受精卵の凍結保存費用・凍結受精卵の融解移植費用や治療を継続する場合の維持管理費用などもかかります。これらの費用も含めたうえで、全体の負担額を把握することが重要です。

自己負担額をさらに軽減させるには

自己負担額をさらに軽減させるには、自治体が提供する不妊治療助成制度や高額療養費制度を利用する方法があります。助成金の金額や対象は自治体ごとに異なりますが、年齢制限や所得制限の条件を満たせば利用可能です。

<東京都特定不妊治療費(先進医療)助成事業>

保険適用となった体外受精や顕微授精を受けた際、あわせて実施した先進医療にかかった費用について助成を行います。助成対象の方の条件は下記の通りです。

  • 治療開始時点で夫婦(事実婚を含む)
  • 治療開始日の女性の年齢が43歳未満
  • 治療開始日から申請日までに男女いずれかが都内に住民登録している
    (事実婚の場合は男女ともに住民登録が必要)
  • 保健医療機関で先進医療とされている治療や技術を受けている

年齢要件や助成回数の制限は保険診療と同様で、所得制限はありません。助成金は1回の治療で先進医療にかかった費用の10分の7まで、上限は1回につき15万円です。

対象の先進医療の治療または技術は下記の通りです。

  • SEET法
  • タイムラプス
  • 子宮内膜スクラッチ
  • PICSI
  • ERA/ ERPeak
  • EMMA / ALICE / 子宮内フローラ検査
  • IMSI
  • 二段階胚移植法
  • 不妊症患者に対するタクロリムス投与療法

ただし、先進医療を実施する医療機関として厚生局へ登録しているものが対象となります。保険診療とは別に単独の先進医療を実施した場合や、保険適用されない周期で先進医療の治療を行った場合は対象外です。

<高額療養費制度>

高額療養費制度という、医療費が同一月(1日~末日まで)で上限を超えた場合に、自己負担限度額を超えた金額を払い戻してくれる制度も利用できます。自己負担額の上限は年齢や所得金額によって異なりますが、保険適用でも治療費が高額の場合に利用可能です。

例えば、1か月の治療が50万円の場合、自己負担の上限額(70歳未満)は以下の通りです。

所得 1ヶ月あたりの自己負担の上限額 高額療養費制度からの給付額
年収約1,160万円~ 260,847円 239,153円
年収約770~1,160万円 178,487円 321,513円
年収約370~770万円 94,097円 405,903円
年収約370万円以下 57,600円 442,400円
年収約370万円以下 57,600円 442,400円
住宅非課税者 35,400円 464,600円

 

保険診療と併用できない自由診療のみの治療や、保険診療と併用できる先進医療は高額療養費制度の対象にはなりません。

最新の情報は、厚生労働省のホームページ「高額療養費制度を利用される皆さまへ」をご確認ください。

特定不妊治療助成制度が終了したことで実質的に負担増になる方も

特定不妊治療助成制度が廃止になったことで、経済的負担が増える方がいるということも説明していきます。

2022年4月からの保険適用では、すべての人工授精・体外受精が保険適用というわけではなく、着床不全の方・反復不成功の方・不育症の方が必要とする高度な治療は保険適用外です。

近年希望者が増えている着床前診断PGT(受精卵の染色体異常を調べることが可能な検査)では、治療費が全額自己負担になります。

保険適用外の治療を必要とする方からすれば、以前の特定不妊治療費助成制度の方が負担が少なかったことになります。

タイミング法とは:不妊治療のファーストステップ

不妊症には男性側にも48%近く原因があります|男性不妊治療の紹介

不妊症の原因は、女性だけでなく男性側にも約48%存在します。不妊治療を決意したら、男女ともにできるだけ早く検査を受けて不妊の原因を知ることが治療費を抑えるうえでも重要です。

男性不妊の原因は、精子の量や運動能力の低下、精索静脈瘤などがあり、下記の治療が行われます。

補助的療法 サプリメント・ホルモン薬・漢方薬などの使用
対症療法 人工授精・体外受精・顕微授精・精巣内精子採取術
根本的治療法 精索静脈瘤手術・ナガオメソッド・精路再建手術・低コナドトロピン性性腺機能低下症治療

 

精索静脈瘤について詳しくはこちらをご覧ください。

ナガオメソッド

銀座リプロ外科で行われているナガオメソッドは、顕微鏡手術の専門家がスーパーマイクロ術(0.5㎜の吻合手術)で行う最もおすすめの手術です。

精管・動脈・リンパ管・神経を1本1本確認し、悪い逆流静脈だけをすべて結紮します。最も大切な動脈はドプラ血流計で確認し、正常な組織をすべて残すという技術的にも高度な精索静脈瘤手術です。

さらに、血流障害・リンパ浮腫・神経障害が起こらず、再発の可能性0.5%、精液所見の改善87%という実績があります。

顕微鏡下精索静脈瘤手術・ナガオメソッドは非常に高度な手術なので、自費で行っております。

 

少しでも妊娠確率を上げるには

適切な治療を早い段階で受けることで妊娠の確率は上がります。不妊の原因をはっきりさせ、少しでも妊娠確率を上げるポイントをご紹介します。

男性の検査をする

不妊の半分は男性に原因があります。婦人科治療を考える前に、男性が生殖医療専門(泌尿器科)を受診し、診察とエコー検査を受けることをお勧めいたします。
精索静脈瘤が見つかれば、根本的な治療が可能です。治療することによって自然妊娠の可能性も高まり、奥様の負担も軽減されます。

この下は、附番を変更してください

タイミングや人工授精の周期は毎回見直す

不妊治療は長期間になることも多いため、タイミングや人工授精の周期を毎回見直す必要があります。自然周期で妊娠が認められない場合、薬剤を3回に分けて使用しますが、効果を見ながら見直しましょう。
1回目:排卵誘発剤(卵胞を発育する)
2回目:LHサージ誘起(卵胞が適切なタイミングで排卵をおこす)
3回目:黄体補充剤(排卵後に黄体期を維持する)

早い段階で体外受精・顕微授精を行う

妊娠率の高い治療法である体外受精・顕微授精は高額になり奥様の負担が増しますが、人工授精が難しい場合の次のステップです。長期間人工授精を続け、体外受精に踏み切れず後から後悔する方も多いため、早い段階で行うと良いでしょう。

受精卵のみ凍結する

グレードの低い胚の移植を希望しない場合は、凍結前に医療機関に相談し、受精卵(胚移植する胚)のみの凍結をするという方法があります。保険適用の診療で胚移植の回数に制限があるためです。その場合、体外受精で得られた胚はすべて移植後でなければ、次の採卵を行うことができません。

LHサージ誘起、排卵誘発剤、ホルモン剤の選択を

採卵数が少ない場合や受精後の胚分割が思うように進まない場合は、LHサージ誘起(トリガー)、排卵誘発(卵巣刺激)剤やホルモン剤などの選択の幅を広げる方法もあります。同じ薬剤を使い続けるのではなく、効果を確認しながら選択しましょう。

先進医療

保険診療で体外受精を行う場合、妊娠確率を上げるために先進医療を取り入れることもできます。ただし、先進医療の導入は医療機関によって異なるのできちんと確認しましょう。

不妊治療の値段まとめ

不妊治療が保険適用の治療となり、自己負担額がかなり抑えられ、これまで経済的負担が理由で諦めていた方には大きな支えとなります。

人工受精や顕微授精は回数や条件によっては自己負担となり、費用が高くなる可能性がありますが、不妊治療助成制度や高額療養費制度を利用すれば自己負担額の軽減ができます。
不妊治療の費用は、治療内容やクリニックによって異なるので、詳細はクリニックのWEBサイトやパンフレットでも確認しましょう。

経済的負担を抑えるためには、治療を少しでも早く始めることが重要です。女性だけが通院していても、原因が男性側にあった場合、費用や時間が無駄になってしまいますので、必ず男性も生殖医療専門医(泌尿器科)の検査を受けましょう。

男性側に自覚症状がある場合はもちろん、症状がない場合でも、不妊治療を検討されている方・少しでも気になる方は、男性不妊専門クリニックの銀座リプロ外科までぜひご相談ください。

当院では精索静脈瘤の検査を専門に行っております。男性不妊の4割で精索静脈瘤があり、治療しないと精巣機能の悪化、精子のDNAダメージ、精巣萎縮、痛み、男性ホルモン低下などが起こります。治療をすることで、精子のDNA・染色体が良くなり、よって受精卵も良くなります。顕微授精・体外授精・人工授精・自然、全てて妊娠率や出生率が上昇し、流産や奇形が減少します。奥様の負担を軽減できます。

顕微鏡下精索静脈瘤手術・ナガオメソッドは非常に高度な手術なので、自費で行っております。

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この記事の執筆医師

永尾 光一 先生

永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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