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妊活のために男性ができることは?男性の妊活の始め方

妊活とは、赤ちゃんを授かるための様々な活動を指します。妊活は女性だけで行うものではなく、「男性も一緒に」行うことが不可欠です。

とはいえ、「男性の妊活って、具体的に何をすればいいのだろう?」と疑問に思っている方もいるかもしれません。

この記事では、男性の妊活の始め方やポイントについて解説していきます。

 

妊活を始める時にまず男性が準備すること

不妊の原因の約半数は男性にあることを知る

始めに、不妊の原因の約半数は男性側によるもの(2017年 WHO(世界保健機構)の不妊症原因調査より)ということを知っておきましょう。

不妊は、女性に限らず男女半々に原因があります。そのため夫婦で足並みをそろえ、一緒に取り組んでいくことが大切です。

男性の具体的な妊活準備としては、まず以下の3つを行いましょう。これらを行うことで、妊活をスムーズに進めていくことができます。

①精液検査

妊活準備のファーストステップは、精液検査です。精液の中に、元気な精子がたくさんいるかどうかを調べます。

検査結果の数値によって、精子の状況を確認できます。つまり自然妊娠が望めるのか、それとも人工授精や体外受精等の不妊治療に切り替える方がいいのかといった、今後の妊活の方向性を検討できるのです。

精子の状況を確認しないまま不妊治療を行うと、効果のない治療に多くの時間やお金を費やしてしまう可能性もあるため、始めに精液検査を行うことは非常に重要です。

精液検査は、泌尿器科や専門のクリニックなどで受けられます。緊張せずリラックスして検査を受けましょう。

②風しん抗体検査

風しんとは、風しんウィルスの感染によって引き起こされる発疹性感染症です。
妊娠中の女性が風しんに感染すると、目や耳、心臓などに障がいを持つ子どもが生まれてくる可能性が高くなります。(先天性風しん症候群)

風しんウィルスは強い感染力を持っているため、女性本人だけでなく、パートナーや周りの人も風しんにかからないようにすることが大切です。

風しんは予防接種を二回受けることによって99%防止できると言われているため、まずは夫婦で過去の接種履歴を確認しましょう。

接種回数が足りない、もしくは抗体が低下していると思われる場合は、必ず予防接種を受けておきましょう。

③パートナーと話し合う

本格的な妊活を始める前に夫婦でよく話し合い、今後の方向性を決めておくことも重要なステップです。

話し合いがきちんと行われていないと、夫婦間で意識のズレが生じて夫婦仲が悪くなったり、トラブルが起こったりする原因になり得えます。

妊活前だけでなく妊活を進める中でも、お互いの気持ちを共有しながら協力して取り組んでいくことが大切です。

 

男性の不妊原因

男性の不妊原因は大きく分けて3つあります。

①精子自体に問題がある

不妊原因の約8割は、精子自体に問題があるというケースです。
原因としては、精巣でうまく精子を作ることができない「造精機能障害」によるものが最も多く、精子がそもそもない、または質の低い精子が産生される症状を引き起こします。

精子の通り道に問題がある

精巣機能ではなく、精子の通り道(精路)に問題があるケースもあります。精路が何らかの原因でふさがっていたり狭くなったりしていることで、精液中に精子がない、または精子の数が少ないといった症状が出ます。このような症状を「精路通過障害」と呼びます。

性交渉に問題がある

精子や精子の通り道には問題がないが、性交渉時にトラブルがあるケースです。
性交ができても膣内で射精できない膣内射精障害や、勃起ができない勃起障害(ED)などがあります。

 

精子の質を高めるためにできること

精子の質を高めるためにできること

具体的な不妊原因がなくても、早期に赤ちゃんを授かるためには、精子の質を高めておくことが大切です。

精子の質は普段の行動で高められるので、以下のポイントを意識しながら健康的な生活を送るように心がけましょう。

禁煙する

妊活のために、禁煙は必須事項です。タバコを吸うと血管が収縮するため、血流が悪くなります。血流が悪くなると、勃起障害が起こったり精子の質が低下したり、精子のDNA構造が損傷される危険性があります。また、精子のDNAが傷つくと、流産や死産のリスクが高まります。加熱式タバコもタールが含まれるので、控えましょう。

運動する

運動不足により精子の数が減少することが分かっています。軽い筋トレやウォーキングなどで、普段から適度に体を動かすようにしましょう。

適度に射精する

射精されずに古くなった精子は、質が下がります。禁欲はせず2~3日に一度のペースで射精をして、新しい精子と入れ替えるようにしましょう。

食生活を整える

栄養が偏ると精子の質や性欲に影響が出るため、バランスの取れた食生活を送ることが大切です。特に、男性に良いと言われている葉酸や亜鉛、ビタミンEなどの栄養素を意識して摂るようにしましょう。

睡眠時間をしっかりとる

十分な睡眠は、ストレス緩和や疲れの軽減のためにとても重要です。最低6時間、できれば7~8時間の睡眠時間を確保できるように心がけましょう。

 

男性不妊に多い精索静脈瘤とは

男性不妊の原因として多いのが「精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)」という症状です。

造精機能障害による不妊とそれ以外の不妊

上記2.で述べたように、男性不妊の原因の約8割は、精巣で精子をうまく作ることができない「造精機能障害」によるものです。それ以外に、精子の通り道がふさがっている「精路通過障害」や、勃起障害などの「性機能障害」があります。

造精機能障害のうち最も多い不妊原因が精索静脈瘤

造精機能障害は、半数以上が原因不明と言われていますが、原因が分かっているものの中で最も多いのが精索静脈瘤です。

精索静脈瘤とは

精巣のまわりに静脈のこぶができている症状を、精索静脈瘤と呼びます。
このこぶがあると、温められた血液が精巣に逆流し、精巣の温度が上がります。精子は熱に弱いため、精巣が温まると精子の質が下がってしまうのです。
精索静脈瘤の治療によって、精子の質を高めることが期待できます。

造精機能障害以外の不妊原因

造精機能障害以外の「精路通過障害」「性機能障害」の原因については、以下が考えられます。

精路通過障害…生まれつき精管がない、尿道炎、精巣上体炎の後遺症など
性機能障害…ストレスなどによる心因性のもの、脊髄損傷などによる神経性のものなど

 

精索静脈瘤の治療について

精索静脈瘤の治療は2種類

精索静脈瘤の治療は、大きく分けて「薬物治療」と「手術」の2つ。重症であったり、精液所見に問題があったりする場合は手術を受けることが可能です。手術が適応されない場合や、手術だけでは効果が不十分な場合に薬物治療が行われます。

薬物治療

抗酸化作用を持つビタミン剤やサプリメント、精巣の血液の流れを良くするための漢方薬などを服用することで、精液所見の改善を目指します。治療の効果が出るまでに約3か月かかるため、薬物治療も3~4か月の間は継続して様子を見る必要があります。

手術による治療

手術により、精索静脈を結紮(けっさつ・血管を糸などで縛って結ぶこと)・切断して、逆流が起きないようにすることで、根治治療を行います。手術後は、一般的に50~70%の割合で精液所見の改善を見込むことができます。

手術方法としては、高位結紮術、低位結紮術、腹腔鏡(ふくくうきょう)手術など様々な種類があります。

低位結紮術は日帰り手術が可能ですが、腹腔鏡手術は1週間程度の入院が必要です。具体的な手術方法は主に以下の通りです。

  • 顕微鏡下低位結紮術・ナガオメソッド
  • 顕微鏡下精索静脈瘤高位結紮術
  • 顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術(一括結紮)
  • 腹腔鏡下精索静脈瘤手術

ナガオメソッドについて

本サイトを運営している銀座リプロ外科が取り扱っているのが、顕微鏡下低位結紮術・ナガオメソッドです。高度な技術と経験が必要であるため、他の手術方法と比較して合併症や再発のリスクが非常に少ない方法です。

ナガオメソッドでは、逆流静脈だけを細やかに結索・分離し、正常な組織をすべて温存できます。そのため合併症の危険性がほとんどなく、再発率は0.5%、精液所見の改善率も87%と高い実績があります。

また、手術は日帰りで行うことができ、手術中の痛みもほぼ感じない、というのも安心できるポイントです。

銀座リプロ外科では、年間約1,000例のナガオメソッドによる手術実績があります。男性不妊や精索静脈瘤のことなら、是非銀座リプロ外科までご相談ください。

 

まとめ

男性の妊活のスタートラインは、精液検査です。子どもが欲しいと思ったら、まずは精液検査を受けましょう。その上で、夫婦二人で力を合わせて妊活に取り組んでいくことが大切です。

なお、もし「精索静脈瘤」が疑われる場合は、早急に専門機関で精密検査を受けましょう。
精索静脈瘤は進行性の疾患であるため、治療は早ければ早いほど効果的です。

銀座リプロ外科では、精索静脈瘤の手術は日帰りで可能であるため、生活への負担を最小限にすませることができます。精液検査も行っていますので、不妊治療をお考えの場合は、是非当院での受診をご検討ください。

■お問い合わせはこちらから
https://ginzarepro.jp/contact/appointment-first/

■以下関連ページもご参照ください
・精索静脈瘤
https://ginzarepro.jp/sinryo/varicocele/

・男性不妊症とは?原因や種類、検査・治療方法を解説
https://ginzarepro.jp/column_category/infertility/

施術の紹介

精索静脈瘤とは?症状や検査方法、治療・手術方法を解説

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この記事の執筆医師

永尾 光一 先生

永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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