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男性がすべき妊活とは?妊娠のコツや不妊治療を解説

子どもが欲しいと考えている方の中には「男性の妊活ってまずは何をすれば良いの?」と考える方もいるのではないでしょうか。

妊活は、パートナーと話し合って2人で取り組むことが大切です。男性の場合、質の良い精子は妊娠しやすいと言われています。

本記事では、男性が妊活をする重要性と妊娠のコツ、不妊治療について解説します。妊活には、生活の見直しからクリニックでの治療までさまざまな方法がありますが、できることから始めていきましょう。

男性不妊・精索静脈瘤にお困りのかたへ
男性不妊の40%精索静脈瘤が原因

男性不妊の40%にある精索静脈瘤は、精巣やその上の精索部(精管、血管、神経、リンパ管などを覆う膜)に静脈瘤(じょうみゃくりゅう・静脈の拡張)が認められる症状のことを指します。一般男性の15%に認められ、男性不妊症患者の40%がその疑いであるとされています。

男性でも妊活をすべき?

妊活をするときはどちらか1人ではなく、2人で一緒に取り組みましょう。

WHO(世界保健機構)の不妊原因調査によると、不妊症のカップルのうち、48%は男性不妊であったと言います。なお、女性不妊が65%、男女両方の不妊が24%です。この結果からわかるように、男性不妊は決して珍しいことではありません。また、男性不妊原因の半分は根本的治療が可能な疾患で、自然妊娠が期待できます。女性だけ婦人科受診するのではなく、積極的に泌尿器科を受診し自分の状態を理解し、パートナーと話し合うことが重要です。

妊活中は精神的に不安定になることもあるため、お互いに気持ちを共有し、助け合って不安や心配ごとを解消していきましょう。

妊娠の確率を上げる男性の妊活について

質の良い精子は妊娠しやすいと言われています。まずはそもそも「質の良い精子」とは何なのかについて解説します。ブライダルチェックについてもお伝えするので、妊活の参考にしてみてください。

妊娠しやすい精子とは

精子の質は、妊娠させる力があるのかという点で見られます。質の良い精子には、たとえば以下のような特徴があります。

  • 数が多い
  • 損傷がない
  • 運動率が高い

これらはブライダルチェックで確認できます。検査の結果が正常値の範囲であれば、精子の質に問題はありません。妊活を始めるカップルは、まずブライダルチェックを受けてみると良いでしょう。

妊活をする前に検査を受けよう

男性もブライダルチェックで精子に問題がないか、性病がないかを調べておくとその後の妊活がスムーズに進みます。具体的には、精液検査や血液検査での確認です。

ここからは精液検査と風疹抗体検査の詳細を見ていきましょう。

検査①精液検査

精液検査とは、男性の精子に問題がないか調べる検査です。ブライダルチェックでは必ず行われ、精子の数や正常形態率、精子量、運動率などを調べます。

検査前は2〜7日程度の禁欲期間があり、禁欲期間は短すぎても長すぎてもいけません。マスターベーションで精液を採取し検査をする流れです。

精液の状態はストレスや体調により変わるため、最初の結果が基準値を超えていない場合であっても再度検査を受けてみると良いでしょう。

検査②泌尿器科的検査

泌尿器科的検査には、生殖医療を専門とする泌尿器科に受診して行われます。主に診察とエコー検査で10分程度の痛くもない検査ですが、一度検査するだけで今後の方針がわかります。陰毛の状態・陰嚢の形・精巣サイズ・精管の状態・精巣上体の状態・エコー検査で精巣内腫瘍や石灰化の有無、精索静脈瘤の有無などを検査します。

検査③風疹抗体検査

風疹抗体検査は血液検査のひとつです。風疹ウイルスが原因で起こる風疹の抗体があるかどうかを調べます。

検査方法はHI法とEIA法の2つがあり、数値から風疹の可能性があるかどうか確認できます。「なぜ風疹?」と不思議に思うかもしれませんが、妊娠初期の女性が風疹になると、生まれてくる赤ちゃんの目や耳、心臓など身体の発達に影響が出る可能性があるためです。

男性も2回の予防接種を受けているか確認しておくと良いでしょう。すでに2回の予防接種を受けていても抗体が低下している可能性があります。風疹は周囲の人にもうつってしまうため、検査を受けておくと良いですね。

風疹抗体検査

男性の不妊治療について

ここでは、男性の不妊治療を4つ紹介します。

①生活習慣の改善
②一般不妊治療
③生殖補助医療
④精索静脈瘤手術

妊活で不妊治療を行う場合は、まず普段の暮らしから見直していくことが大切です。

それぞれの治療について詳細をお伝えしますね。

治療①生活習慣の改善

質の良い精子にするために、健康的な生活習慣を心がけましょう。

まずは食事の栄養バランスに気をつけると良いです。コエンザイムQ10、亜鉛、Lカルニトンなどは評価の高い論文がありますので摂取をおすすめします。反対にAGA(薄毛)の内服薬は精液所見を悪化させるので、妊活注は中断しましょう。長風呂・サウナ・ブリーフ(ピッタリしたパンツ)は精巣の温度を挙げるので控えましょう。肥満やストレスも予防しましょう。また、デスクワークなどで運動不足の男性は気をつけましょう。運動不足により精子の数が減ると言われています。できるだけ歩くようにしたり、簡単な筋トレをしたりすると良いでしょう。

治療②精索静脈瘤手術

精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)とは、男性の精索の静脈が拡張して瘤(こぶ)ができた状態のことです。男性不妊原因の40%もあり、根本的な治療の代表的な疾患です。

精索静脈瘤になると、精子がつくられにくく、精子の質も低下(精子のDNA損傷)するため、不妊の原因になります。精索静脈瘤手術は逆流静脈を止める手術で、日帰り手術が可能です。

手術が成功すると、自然妊娠や人工授精、体外受精、顕微授精などで妊娠しやすくなります。

治療③一般不妊治療

一般不妊治療にはたとえば以下のような方法があります。

  • タイミング法
  • 人工授精

タイミング法は、医師による最初の不妊治療です。男性と女性に不妊の原因がない場合に行われます。基礎体温表から女性の排卵日を診断して性交渉のタイミングを指導します。

人工授精は、女性の排卵のタイミングに合わせて子宮から精液を注入する治療です。「人工」と付いているものの、精液が子宮内に入ったあとは自然妊娠と変わりません。

5〜6回続けても妊娠できない場合は、人工授精で妊娠する可能性が低いため、生殖補助医療の体外受精や顕微授精を検討します。

治療④生殖補助医療

生殖補助医療にはたとえば以下のような方法があります。

  • 体外受精
  • 顕微授精

タイミング法や人工授精の次のステップとして行われる治療で、どちらも体外で受精します。

体外受精は、精子と卵子を専用の入れ物に一緒に入れて自然に受精させる治療です。一方、顕微授精は体外で卵子に精子を直接注入し受精させます。男性の精子の数が少ない場合でも受精が可能で、精子を凍結し保存しておくこともあります。

男性の妊活についてよくある質問

ここでは、男性の妊活にかかわるよくある質問に回答します。

質問①妊活に年齢は関係ある?

男性・女性にかかわらず、年齢が上がるに連れて妊娠率が下がり、35歳を超えると大幅に低下すると言われています。男性は、年齢が上がるにつれて精子の質が低下していくため、妊娠を望む場合は、早めに生活習慣の改善から始めていきましょう。

質問②妊活中に気を付けることは?

精液検査をする場合は、条件を整えて適切な検査を行いましょう。禁欲期間は、短すぎても長すぎても良くありません。3日間の禁欲をお勧めします。精液を採取する場所は院内をお勧めします。自宅採取の場合は、温度・紫外線・時間などの影響で精子の運動率が悪くなります。自宅で採取した場合は、体温に近い温度で保温して短時間(30分以内)で搬送してください。

精巣機能に影響するのは、温度があります。長風呂・サウナは控え、ブリーフよりはトランクスをお勧めします。喫煙・肥満・ストレスも精液には良くありません。

質問③妊活中のサプリは?

医学的評価の高い論文に記載されたサプリは、コエンザイムQ10、亜鉛、Lカルニチンですので、これらのサプリをお勧めします。

質問④ブライダルチェックはどこで受ければ良い?

妊活でブライダルチェックを受ける方法は、男性不妊専門のクリニックに行く方法と検査キットを使って自宅で行う方法の2つがあります。

検査キットは、自宅で精液を摂取したあと、検査機関へ郵送する流れです。ただ、時間の経過や体調、温度などが検査結果に影響するため、クリニックでの検査の方が精度は高いと言えるでしょう。

まとめ-男性の不妊治療なら銀座リプロ外科-

男性の不妊治療の第一歩は、ブライダルチェックです。妊活をスムーズに進めるためにも、最初の段階で不妊の原因がないか確認しておきましょう。

銀座リプロ外科は、東京・銀座にある男性不妊治療を中心にしたクリニックです。精液検査(および精液検査を必要とするブライダルチェック)は実施しておりませんが、精索静脈瘤の日帰り手術を行なっています。高度な技術を要する実績豊富な医師が手術を行いますのでご安心ください。

初診のご予約・お問い合わせは公式ホームページから受け付けております。精液検査で所見が悪いなど、精索静脈瘤の可能性がある場合は、一度当院を受診ください。

この記事の執筆医師

永尾 光一 先生

永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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