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男性不妊治療を行う際、必ず行うのが精液検査です。精液中に精子が居るかどうか、運動率はどうかなどが検査されます。ここでは、精液検査の結果からどのようなことが分かるのか、精液検査の所見が悪い理由はどんなものなのかについて、ご紹介します。

精液検査とは?

精液検査とは、射出した精液を顕微鏡で観察して精液量、精子濃度、運動率、正常形態精子率を調べる一般的な検査で、条件や体調によって結果が変動することが良くありますので、再検査することもあります。
採精には厳格な条件が必要です。特に禁欲期間は3日間、採精場所は、検査する施設内がよく、採精時によい勃起だと良い射精ができます。

禁欲期間が短いと精子濃度が低くなり、自宅採精では、時間の経過、温度の変化、紫外線などの影響があります。採精時に緊張して勃起が不十分だと射精機能に影響します。

当院で手術を行う方で精液検査希望の方は、東邦大学大森病院リプロダクションセンターをご紹介しています。

精液検査の結果の見方

医学的根拠の高い2010年のWHOの精液検査の基準値を紹介します。古い基準値や独自の基準を使用しているクリニックがありますのでご注意ください。

精液検査 基準値
精液量 1.5ml以上
精子濃度 1500万/ml以上
運動率 40%以上
総運動精子数(精液量×精子濃度×運動率) 1560万以上
正常形態率 4%以上(奇形率96%未満)

※精液検査が正常でも精索静脈瘤がありますと、精子のDNAダメージが起こり、なかなか妊娠しないことがあります。

精液所見が悪い理由

医学的根拠(エビデンスレベル)が高い疾患として、精索静脈瘤、精路閉塞(精子の通り道の閉塞)、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(下垂体ホルモン低下)があります。精液所見の悪い方の有病率は、精索静脈瘤40%、精路閉塞2%、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症0.0001%ですので、治療可能な疾患のほとんどは精索静脈瘤です。

医学的根拠(エビデンスレベル)が高くはないが気をつけるものとして、喫煙、肥満、サウナ、長風呂、風通しの悪い下着などがあります。また、男性型脱毛症治療薬のプロペシア、フィナステリド、ザガーロ、デュタステリドは精液所見を悪化させますので不妊治療中は、中止また変更をお勧めいたします。

精液所見を改善する方法

ファーストステップとして精索静脈瘤の手術を提案します。当院の局所麻酔下日帰り顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮手術(ナガオメソッド)では、精管温存は当たり前ですが、大事な細い動脈・リンパ管・神経もすべて温存し、悪い逆流静脈をすべて結紮するので安全で効果的です。精液所見は87%の方で手術前より改善しています。

補助的療法として、喫煙、肥満、サウナ、長風呂、風通しの悪い下着に気を付けてもらいます。サプリとして、コエンザイムQ10 100-200㎎/日や亜鉛をお勧めしています。

婦人科治療の目安は?

総運動精子数「精液量×濃度×運動率=総運動精子数」による婦人科治療の目安は、以下の通りですが、精液正常でも精索静脈瘤がありますと精子のDNAダメージが起こりますので、婦人科治療前に精索静脈瘤の治療をお勧めいたします。

総運動精子数が1560万以上の場合

総運動精子数が1560万以上の場合、性行為で自然妊娠する可能性があります。しかし、2年間不妊なら人工授精をお薦めしています。

総運動精子数が1560万未満—900万以上の場合

総運動精子数が1560万未満—900万以上の場合、人工授精をお薦めしています。しかし、5回程度行ってもだめなら体外受精・顕微授精もお薦めしています。

総運動精子数が900万未満—500万以上の場合

総運動精子数が900万未満-500万以上の場合、体外受精をお薦めしています。

総運動精子数が500万未満の場合

総運動精子数が500万未満の場合、顕微授精をお薦めしています。

不動精子しかない場合

不動精子しかいない場合は、精巣内精子採取術(TESE)をお薦めしています。
精巣内精子は、不動精子でも顕微授精(ICSI)に使用できます。

妻の年齢が40歳に近い場合

また、妻の年齢が40歳に近いと男性不妊の治療を行わずに人工授精や体外受精・顕微授精などを選択する場合が多くなりますが、男性の精索静脈瘤治療が婦人科的治療効果を高めますので男性も並行して治療をお勧めいたします。

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