
このページの監修医師
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陰のうに違和感があり、「10代でも精索静脈瘤になるのかな」と不安に感じていませんか。精索静脈瘤は、陰のうに膨らみや痛み、不快感などが生じることのある病気です。
本記事では、小学生・中学生・高校生でも発症するリスクがある精索静脈瘤の症状や原因、放置するリスクなどを紹介します。治療しなければ、将来的にさまざまなデメリットが生じるため、早めの検査がおすすめです。
精索静脈瘤を疑いながら、「検査の内容がわからず勇気が出ない」「手術は不安」と受診をためらっている10代の方は、ぜひ参考にしてください。
10代の子どもでも精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)を発症する場合があります。精索静脈瘤とは、精巣から心臓へ血液を送る精索静脈で血液が逆流し、陰のうや精索こぶのような膨らみが生じる病気のことです。
こぶによって血液が流れにくくなると、精巣が温められ、働きが悪くなる恐れがあります。精索とは、血管やリンパ管、精子の通り道である精管などが集まったヒモのような組織で、精巣の上にあります。
精索静脈瘤の症状や発症しやすい年齢を紹介するため、自分に当てはまるかチェックし、不安な点があるときはすみやかに病院に行きましょう。
10代でも発症する精索静脈瘤の症状は、以下のとおりです。
・片方の陰のうが腫れる
・陰のうが重く感じる
・陰のう・鼠径部に痛みがある
精索静脈では、心臓に血液を戻すために腎臓から出る血管の方向に血流が生まれています。
通常であれば、静脈内の弁の働きにより血液が戻ってこないようになっています。しかし、弁がうまく働かず逆流した血液が、精索静脈内に溜まって太くなり、こぶができた状態が精索静脈瘤です。
精索静脈瘤の重症度は、3段階に分けられています。
グレード1 |
・立ってお腹に力を入れるとこぶに触れる ・超音波を使えば診断できる |
---|---|
グレード2 |
・立って触れるとわかる ・見た目ではわからない |
グレード3 | ・見るだけでわかる |
数字が大きくなるほど重症だと判断されます。
精索静脈瘤は、自分では気づきにくい病気なので注意が必要です。陰のうの腫れに気づいたり、痛みや違和感が生じたりしたときには病気が進行していることもあります。
精索静脈瘤を発症しやすい年齢は、血管がよく発育する時期である10~15歳の頃です。一方で、思春期に入る前の10歳未満の子どもには、ほとんど精索静脈瘤は見られないとの報告もあります。
精索静脈瘤は自覚症状が少ないため、発症していても病気に気づかない人も大勢います。大人になって「パートナーの女性との間に赤ちゃんを授かりたい」と思い、検査を受けたときに、初めて精索静脈瘤であると診断されることも珍しくありません。
小学生、中学生や高校生のうちに病気に気づく人は、陰のうに痛みや違和感を覚えたり、サイズの差を自覚したりして受診するケースが多く見られます。精索静脈瘤は進行するので、気になる症状があるときは、すみやかに検査を受けましょう。
10代でも精索静脈瘤ができてしまう理由・原因には、主に以下の2つがあります。
・精索静脈の逆流防止弁の機能が弱い
・ナットクラッカー現象が起こる
精索静脈瘤は、精巣から出る静脈の流れが悪くなることで起こる病気です。静脈の機能が低下する原因をチェックし、不安な点があるときは専門家に相談しましょう。
10代でも精索静脈瘤ができてしまう理由・原因は、精索静脈の逆流防止弁の機能が弱いことです。
静脈には血液を全身から心臓へと戻す役割があり、逆流を防ぐために「静脈弁」と呼ばれる弁が備わっています。静脈弁は、血液が心臓へ戻る方向のみに開くことで、逆流させない仕組みになっています。
精巣から心臓へ戻る血液は重力に逆らって流れているため、静脈弁の役割が重要です。静脈の逆流防止弁の機能が弱くなると、血液を心臓へ送り返す力が鈍り、静脈瘤ができる原因となります。
静脈弁の働きが低下する原因として加齢が挙げられますが、生まれつき機能が弱い人もいます。
ナットクラッカー現象(くるみ割り現象)が起こることも、10代でも精索静脈瘤ができてしまう理由・原因です。
ナットクラッカー現象とは、左の腎臓から心臓へ血液を戻す左腎静脈が、大動脈と上腸間膜動脈(じょうちょうかんまくどうみゃく)に挟まれて起こる状態です。2本の動脈に挟まれた静脈は常に圧迫され、血液の流れが悪くなります。
左精索静脈は左腎静脈とつながっているので、ナットクラッカー現象が起こると静脈血が精巣に戻ってしまうことがあります。ナットクラッカー現象と精索静脈の長さの違いなどから、患者さんの90%が左側に発症することが、精索静脈瘤の特徴の1つです。
精索静脈瘤の手術をすべきかどうかは、検査・診断を行なったあとで判断されます。10代で精索静脈瘤の手術が行われる主なケースは、以下のとおりです。
・精巣の発育障害が見られる
・痛みが強い
・15歳以上で精液所見が悪い
精索静脈瘤は進行性の病気で、放置すると、将来男性不妊の原因となる可能性があります。男性不妊とは、カップルが赤ちゃんを授かれない原因が男性にある状態です。また、見てわかる精索静脈瘤を中学生までに治療すると精巣萎縮が予防できます。
10代の方が精索静脈瘤を治療せずに放置するリスクと、おすすめの手術を紹介します。
精索静脈瘤を放置する主なリスクは、以下のとおりです。
・精巣が正常に成長しない
・精巣の大きさに左右差が生じる
・陰のうに痛みや違和感が生じる
・精液・精子の状態が悪くなる
・男性ホルモンの分泌量が減少する
精巣の温度は、通常であれば体温よりも2~3℃ほど低く、精子の形成に適した環境になっています。しかし、精索静脈瘤ができ、お腹の温かい血液が逆流すると、精巣の温度が上昇して環境が損なわれてしまいます。
精索静脈瘤により子どもの頃から温度が高い状態が続くことで、精巣が正常に発育しなかったり、萎縮したりすることがあるため、注意が必要です。
精索静脈瘤は自然には治らず、徐々に進行する病気です。デリケートな部位の病気なので言いづらいかもしれませんが、1人で抱え込まずにぜひ専門家へ相談してください。
10代の方が精索静脈瘤の手術を受けるなら、日帰り顕微鏡下精索静脈瘤手術・ナガオメソッドをおすすめします。
日帰り顕微鏡下精索静脈瘤手術・ナガオメソッドは、顕微鏡を使ってリンパ管・神経・血管を1本ずつ分離し、逆流している静脈のみをしばって切り離す高度な手術です。正常な組織をすべて残す手法なので、合併症のリスクが低いことがメリットです。
再発率は0.5%ほどで、一度治療すれば大人になっても効果が続きます。
小学生の多くは全身麻酔での手術になりますが、小学6年生や中学生からは局所麻酔で施術可能です。手術後の痛みはほとんどなく、入院せず当日中に家に帰れます。
手術の詳しい内容については、「日帰り顕微鏡下精索静脈瘤手術・ナガオメソッド」をご覧ください。
精索静脈瘤が疑われる場合にすべきことを2つ紹介します。
1. セルフチェック
2. 診察・検査
「精索静脈瘤ではないか」と不安な方は、セルフチェックを行なってみましょう。陰のうのあたりに違和感や痛みがある際は、1人で抱え込まず、すみやかに専門家へ相談することを推奨します。
セルフチェックは、精索静脈瘤が疑われる場合にすべきことです。陰のうを見たり触ったりしながら、以下のポイントを確認してください。
・サイズに左右差がないか
・いつも垂れ下がっていないか
・やわらかい膨らみ(こぶ)がないか
・表面がデコボコしていないか
・ミミズがはっているような見た目になっていないか
精索静脈瘤を発症してすぐは、セルフチェックではわからない場合もあります。しかし、明らかに腫れていたり、陰のうのあたりに痛みや違和感があったりするときは、すみやかに専門家による検査・診断を受けましょう。
精索静脈瘤が疑われる場合は、泌尿器科や専門の医療機関で診察・検査を受けることが大切です。「セルフチェックで異常があった」「陰のうに違和感がある」といったケースは、医師による診察が必要です。
精索静脈瘤の検査は、視診や触診、エコー検査によって行われます。
視診・触診とは、立ったり横になったりしながら、陰のうの腫れや、精巣・精管に異常がないかなどを医師がチェックすることです。静脈の膨らみをわかりやすくするために、息を止めてお腹に力を入れ、腹圧をかけることもあります。
エコー検査では、血管の膨らみや、逆流している血液の有無・量などの詳しいデータをチェックできます。
診察・検査によりグレードを確認し、病気の状態がわかったら、適切な治療法を提案してもらいましょう。
当院で精索静脈瘤の治療を受ける場合にかかる費用は、以下の表のとおりです。
診察 | 初診料 | 5,500円 |
---|---|---|
再診料 | 5,500円 | |
検査 | 精索静脈瘤検査 | 5,500円 |
術前検査 | 22,000円 | |
手術 | 日帰り顕微鏡下精索静脈瘤手術 (ナガオメソッド) |
440,000円~ (永尾医師の担当をご希望の場合は別費用) |
局所麻酔 | 22,000円 | |
土曜・日曜・祝日 | +22,000円 | |
夜間(17時以降) | +110,000円 |
永尾医師は、日本における精索静脈瘤手術の第一人者で、日帰り顕微鏡下精索静脈瘤手術・ナガオメソッドの開発者です。
日帰り顕微鏡下精索静脈瘤手術・ナガオメソッドは自由診療にあたるため、3割負担の保険診療と異なり、全額をご負担いただく必要があります。
10代の精索静脈瘤でお悩みの方は、当院へご相談ください。
当院は、精索静脈瘤の豊富な治療経験があるクリニックです。完全予約制でプライバシーが守られているので、「誰かに話を聞かれるのではないか」という心配なくご受診いただけます。
精索静脈瘤は、10代で発症することが多い病気で、若いうちから症状で悩む方も珍しくありません。治療せずに放置すると症状が進行し、さまざまなリスクが生じます。「精索静脈瘤かもしれない」と気になっている方は、ぜひ一度お気軽に当院の初診をご予約ください。
〒104-0061 東京都中央区銀座2-8-19 FPG links GINZA 6F
永尾 光一 先生
東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長
昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。
所属医療機関
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