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月経は通常、25~38日の周期で起こり、排卵日は月経開始日から数えて12~24日目で、黄体期は13日(±2日)とされています。この間、受精・妊娠が起きなければ、翌周期に再び月経を迎えます。
妊娠を望む夫婦が1年間避妊せずに妊娠しない場合に、不妊症と定義されます。

また、不妊の原因には、女性因子と男性因子があります。女性側の3分の2、男性側の2分の1で何らかの原因が見つかります。
ここでは女性側の不妊の原因についてお話しいたします。

※男性側の不妊については、「男性不妊症とは?その原因と不妊治療・対策 」のページで詳しくご紹介していますので、併せてご覧ください。

女性不妊の原因は、月経異常(排卵障害)、卵管異常、子宮異常、頸管粘液分泌異常、免疫異常などが主な原因です。

月経異常(排卵障害)

月経異常(排卵障害)は、高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群、ストレス、過度なダイエット、早期卵巣不全などが原因で起こります。

高プロラクチン血症

高プロラクチン血症は、血中のプロラクチン値が高値になった状態のことを指します。女性では、月経異常などが起こります。
原因は薬剤(抗精神病薬、高潰瘍薬、血圧降下薬、エストロゲン製剤などの常用)によるものや、甲状腺機能低下症、下垂体の病気、視床下部の病気によるものなどが挙げられます。

症状としては、無月経や月経不順です。更には、乳頭から汁が出てきたり、頭痛、視野障害などが起こることがあります。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS-polycystic ovarian syndrome)

多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)とは、排卵障害の中では多い疾患で、女性の20〜30人に1人の割合みられます。
卵巣で男性ホルモンが沢山作られてしまうため卵胞が発育するのに時間がかかり、なかなか排卵しないという疾患です。
症状としては、月経周期が35日以上または無月経、月経不順、肥満、多毛、にきびなどが出現します。

ストレス

女性が強いストレスを感じることにより、稀にホルモンバランスが変化し排卵が不規則になることがあります。その他、ストレスは卵管痙攣を起こすこともあり、せっかくの受精卵を子宮に搬送できなくなります。

また、不妊治療中の場合は、身体的・精神的・経済的な負担も強いストレスとなることがあります。

ダイエット

過度なダイエットをすると、エストロゲンが低下し、女性ホルモン分泌不全の状態になることがあります。
月経周期はエストロゲンの分泌によってコントロールされているので、生理不順になると妊娠もしにくく、不妊となります。

早期卵巣不全

女性は通常、45~56歳で閉経を迎えると言われていますが、早期卵巣不全では、一般的に40歳未満で月経が来なくなります。早期卵巣不全は、卵巣機能が低下し排卵しなくなるため、妊娠は非常に困難となります。

また、早発卵巣不全には、完全に閉経するタイプと、頻度は低いですが卵巣に卵胞が少数存在するため卵胞発育や排卵が起こるタイプとがあります。その他、卵巣の手術や化学療法、放射線治療によるものや、染色体異常、甲状腺の病気などの自己免疫の影響で発症することもあります。

卵管異常(卵管閉塞、卵管狭窄、卵管癒着)

卵管閉塞、卵管狭窄、卵管癒着などの卵管の異常は、女性の不妊症の因子でも多くみられます。卵管は精子が卵子に向かい、受精した卵(胚)が再び子宮に戻るための道です。卵管が炎症などによって閉塞していたり、詰まっていたり、また、卵管が周辺の子宮や卵巣や腸管と癒着してしまうと妊娠は起こりません。

卵管の異常は、子宮内膜症や子宮と周囲の炎症(クラミジア感染などの性行為感染症、分娩や中絶後の炎症など)が原因となります。

性器クラミジア感染症

性器クラミジア感染症は、日本で最も多い性感染症です。
クラミジアは、生きた細胞内でのみ増殖が可能な微生物で、性行為以外の場で感染することはありません。感染から発症までの潜伏期間は、1~3週間と報告されており、自覚症状がない場合が多く、感染に気付かないことがよくあります。
しかし、進行すると不妊症や母子感染など様々な病気の原因になるので、きちんと治療する必要があります。進行すると子宮頚部から腹腔内へと進展し、クラミジア性卵管炎をはじめ子宮付属器炎や骨盤内炎症性疾患も発症します。

子宮内膜症

子宮の内側を覆う「子宮内膜」に似た組織が、子宮の内腔以外の場所(腹膜、卵巣、卵管、腸など)にできてしまう病気です。
子宮内膜症も通常の子宮内膜と同じように女性ホルモンの影響を受けて増殖し、月経のときには出血が起こりますが、その血液を外に出すことができないため、たまった血液で炎症し、卵管周囲をはじめとする周囲の組織との癒着を引き起こします。

子宮筋腫・子宮内膜ポリープ

子宮筋腫とは、子宮を構成している平滑筋という筋肉組織由来の良性腫瘍で、比較的若い方から閉経後の方まで高頻度に見られる疾患です。 特に症状もなく健康診断で偶然指摘されることも多くあります。 子宮筋腫は発生する部位により、漿膜下筋腫、筋層内筋腫および粘膜下筋腫に分類されます。

また、子宮内膜が過剰に増殖し、子宮内腔に腫瘍(ポリープ)ができる病気が子宮内膜ポリープです。 子宮内膜がエストロゲン(卵胞ホルモン)によって過剰に増殖して起こると考えられています。 ほとんどが良性のものですが、ごく稀に悪性の場合があります。 大きさはさまざまですが、通常2~4cm、大きいものでは10cmにも達するといわれています。
粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープが卵管子宮口を塞いだり、漿膜下筋腫や筋層内筋腫が卵管を圧迫してしまうこともあります。

子宮異常(子宮筋腫、子宮内ポリープ、子宮奇形)

子宮筋腫や子宮の先天的な形態異常などにより、子宮内膜の血流が悪かったり、子宮内に過去の手術や炎症による癒着などがあると、子宮内に到達した胚がくっ付いて育つことを妨げ、妊娠に至りません。子宮筋腫、子宮内ポリープ、子宮奇形などがあります。

子宮筋腫

子宮筋腫とは良性腫瘍で、比較的若い方から閉経後の方まで高頻度に見られる疾患です。 特に症状もなく健康診断で偶然指摘されることも多くあります。 子宮筋腫は発生する部位により、漿膜下筋腫、筋層内筋腫および粘膜下筋腫に分類されます。

子宮内膜ポリープ

子宮内膜ポリープは、子宮の内腔に発生する良性のポリープですが、受精卵の着床を阻害等するため不妊の原因となりえます。子宮内膜ポリープは、子宮の内腔に発生する良性のポリープですが、受精卵の着床を阻害等するため不妊の原因となりえます。

子宮奇形

子宮の形の先天的(生まれつき)な異常をいいます。 女性の5%にみられるといわれていますが、着床不全を来すため不妊症の原因のひとつとされています。

子宮内腔癒着症(Asherman症候群)

子宮内腔癒着とは、子宮内膜が炎症を起こし、内膜の組織同士がくっついてしまった状態です。アッシャーマン症候群とも呼ばれます。子宮内膜に必要な卵巣ホルモンが十分に行き渡らないため、子宮内膜が十分な厚さに成長しない可能性が報告されています。

頸管粘液分泌異常

頸管粘液によって精子が子宮内に入りやすくなるのですが、この頸管粘液の分泌が不十分だと精子の侵入が十分ではなく、妊娠しにくくなってしまいます。クロミッドを長期間服用した場合や子宮頸管に炎症がある人に多い症状です。また子宮頸部円錐切除術を受けた方(初期の子宮頸がんやその前がん病変のために)にもこの状態は起こり得ます。

免疫異常(抗精子抗体)

人間には、細菌やウイルスなどの外敵と闘い自分を守るための「免疫」という仕組みがあります。異物の侵入を容易に許容しないための大切な仕組みですが、時に「抗体」といわれる免疫の力で精子を攻撃してしまうことがあります。精子を外敵とみなし、精子の動きを妨げてしまう抗体のことです。精子を攻撃する抗体(抗精子抗体)を持つ女性の場合、子宮頸管や卵管の中で抗精子抗体が分泌されると、精子の運動性が失われ、卵子に到達できず妊娠が起こりません。

まとめ:女性側だけでなく、男性の原因も把握すべき

ここでは女性側の不妊の原因についてお話しましたが、不妊カップルの半数で男性側にも原因が見つかります。婦人科治療を始める前に、生殖専門医(泌尿器科)を受診し、検査することをお薦めいたします。男性側に精索静脈瘤がある場合は、治療することにより精液が改善し、自然から顕微授精まで全ての方法で、妊娠率・出産率が上昇し、流産・奇形が減少します。

この記事の執筆医師

永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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